NEC、部門長から社員まで全員AIの社内部門を運用 経営分析の時間は約7分の1に
NECは8月、部門長から社員まですべての役割をAIが担う社内の部門を新設し、10月のCEATEC 2026でも紹介した。仕事を進めるのはAIで、最終的な評価や意思決定は人が担う。役員会議向けの経営分析などの時間は約7分の1になったという。
AI- ●NECが、部門長から社員まで全役割をAIが担う社内の部門を8月に新設
- ●仕事を進めるのはAI。最終的な評価・意思決定と品質の統制は人が担う
- ●役員会議向けの経営分析などにかかる時間が約7分の1になった
AIに仕事を任せた職場で、人の役目が「確かめて決める」「AIが働ける環境を整える」に移った例だ。仕事でAIを使う会社員の参考になる。
NECは、この部門の運営で得た仕組みやノウハウを、ほかの企業や組織に提供していくとしている。時期や価格は示していない。
NECは、部門長から社員まですべての役割をAIが担う社内の組織を、2026年8月1日付で新設した。名前は「コーポレートAI・Workforce部門」。発表は8月10日。10月13日〜16日に幕張メッセで開かれた展示会「CEATEC 2026」でも、この部門を紹介した。
何が発表されたのか
部門の「メンバー」は、すべてAIだ。7月からの1か月の社内実証を経て、正式に設けた。NECは、国内の大手企業で初めての取り組みだとしている(従業員数万人規模の国内企業を対象とした、発表日時点のNEC調べ)。
組織は4つの階層でできている。
- AI部門長: 組織全体の動きを把握し、管理する
- AIボード: 役員にあたる役割(CxO機能)。経営の目で組織を評価する
- AIマネージャー: 品質やコストの面から仕事を管理する。社内から頼まれた仕事に合わせてAI社員をその都度つくり、役割を任せる
- AI社員: 一つひとつの作業をこなす
つくられたAI社員には、NECの「Code of Values」や行動規範、社内規定などを、判断の基準として組み込む。新しく入った社員の研修にあたる。たとえば経営分析を担うAI社員「勘定実」は、経営データを分析してレポートを作る。人の経営陣は、それを判断に使う。
人は何をして、AIは何をするのか
この部門で仕事を進めるのはAIだ。一方で、最終的な評価と意思決定、品質やガバナンス(ルールを守らせる仕組み)の統制は人が担う。
部門では毎週、全AI社員から仕事の課題や改善案をアンケートで集め、AIボードで話し合って決める。AIだけで直せることは、人の手を介さず自ら直す。データや権限、知識など、人が整える必要があるものは、人への「リクエスト」として示す。
つまり人の役目は、AIが働きやすい環境を整えることと、意思決定や変革の実行のようなAIには担えない部分に移る。AIの活動はすべて、専用の画面「AI統合マネジメントコックピット」でリアルタイムに見えるようにしている。
約7分の1になったのは何の時間か
発表によると、実証では、役員会議で示す経営分析・シミュレーション・リスク予兆検知をAIが一貫してこなした。この業務にかかる時間は約7分の1になり、人はほかのより高度な仕事に時間を割けるようになったという。NECの仕事全体が7分の1になったという意味ではない。
発表には、AI社員の数や、部門を統制する人の人数は書かれていない。
まとめ
NECは、AIを人の代わりではなく、人の力を広げる「増力」として使う考えだ。仕事をこの部門に集めることで、部署や人ごとにAIエージェントがばらばらに作られるのを抑えるねらいもある。NECは、ここで得た仕組みや運用のノウハウを、ほかの企業や組織にも提供していくとしている。
チェック済み。この記事は監修者によってチェックされました。(2026年10月23日)
代表取締役。工学部出身で、21歳で起業してからシステム会社の経営一筋で8期目。アプリの受託開発から始め、いまはAIを使ったシステムソリューションを手がけています。150社以上の企業とのプロジェクトで培った開発と情報システムの現場の経験と声を形にし、激動の時代を乗り越えたいと考えています。