脳腫瘍の再発を防ぐ薬を、超音波で脳の奥まで MITが厚紙ほどの薄さの埋め込み装置
脳腫瘍の手術で、がんの細胞をすべて取り切るのは難しい。MITのグループは、手術のときに脳に埋め込み、薬を少しずつ出しながら超音波で遠くまで広げる装置「LUCID」を作った。ゲルとマウスで、薬が広く届くことを確かめた。人での試験はまだだ。
サイエンス- ●薬の通り道と24個の小さな超音波の素子を、厚紙ほどの薄い装置にまとめた
- ●超音波で薬の分子を遠くまで広げ、血液脳関門も一時的に通りやすくする
- ●ゲルとマウスで効果を確認。人で使えるかはこれから
脳腫瘍のなかでも膠芽腫(こうがしゅ)は、再発しやすく治療が難しい。手術のあとに残ったがん細胞を、体のほかの臓器への負担を抑えて狙う新しい手段になるかもしれない。
グループは、低分子の薬だけでなく、免疫療法や遺伝子治療の薬を届けることや、脳以外の臓器に使うことも考えている。
脳腫瘍の手術で、がんの細胞をすべて取り切るのは難しい。とくに膠芽腫(こうがしゅ)と呼ばれる腫瘍は、手術で取り除いても再発しやすい。米国では年に1万人あまりが診断され、診断から平均12〜15か月で亡くなるという。
米マサチューセッツ工科大学(MIT)のカナン・ダグデヴィレン准教授らのグループは2026年10月26日、手術のときに脳に埋め込み、残ったがん細胞を狙う装置「LUCID」を発表した。薬を少しずつ出しながら、超音波で脳の奥まで広げる仕組みだ。成果は学術誌「Device」に載った。
薬を出す口の先で、超音波を鳴らす
装置は、厚紙ほどの薄さの曲がる板だ。24個の小さな超音波の素子を並べた上に、薬の通り道を3Dプリンターで直接作り込んである。薬は約100マイクロリットル入る小さな袋から、電気を使わないポンプで押し出される。超音波はBluetoothで離れたところから操作でき、電池も線をつながずに充電できる。
なぜ超音波なのか。今までの、頭の中に置く薬のシートやゲルは、薬が自然に染み出すのを待つだけだった。超音波を当てると、液体の流れが生まれて薬の分子が遠くまで運ばれる。さらに、脳を守る「血液脳関門」という仕組みが一時的に通りやすくなり、薬が脳に入りやすくなるという。
確かめたのは、人の組織に似せたゲルとマウスだ。ゲルでは、超音波を使うと薬の分子がずっと遠くまで広がった。マウスでは、MRIで映る造影剤を流し、超音波を当てたほうが脳の中で広く届いた。研究を進めたジェイソン・ホウ氏は「脳に薬を入れるのは課題の一部にすぎない。周りの組織に広げる必要もある」と話す。
もっとも、まだ人では試していない。患者に使うなら、薬の通り道と超音波の板を頭の骨の内側に置き、電池や電子部品は骨の外に置く形を考えているという。体のほかの臓器に薬が回るのを抑えながら、必要な場所にだけ届ける。抗がん剤の副作用に悩む人には、希望の持てる方向だろう。
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代表取締役。工学部出身で、21歳で起業してからシステム会社の経営一筋で8期目。アプリの受託開発から始め、いまはAIを使ったシステムソリューションを手がけています。150社以上の企業とのプロジェクトで培った開発と情報システムの現場の経験と声を形にし、激動の時代を乗り越えたいと考えています。