デジタル庁、「神Excel」の見直しに使える採点ツール「Harunobu」を紹介
デジタル庁が、ExcelやCSVの表が機械にとって読みやすいかを100点満点で採点するツール「Harunobu」を紹介した。印刷向けに作り込んだ「神Excel」の見直しに使え、AIと組み合わせて表を整える手順も示した。
SaaS- ●デジタル庁、Excelなどが機械に読みやすいか100点満点で採点する道具を紹介
- ●印刷向けにセルを結合した「神Excel」は、機械が読み違える原因に
- ●道具は直さず違反の場所を指摘。AIで表を整える手順も紹介
役所や会社で、印刷用に作り込んだExcelを扱う人に関係する。自分の表がAIやシステムに読みやすいかを、点数で確かめられる。
行政のオープンデータは今後、少なくともレベル1のルールを満たすよう取り組むとされる。役所が公開する表の形が変わっていきそうだ。
デジタル庁は2026年10月21日、ツール「Harunobu」の紹介ページを公式サイトに掲載した。Excelなどの表が、機械にとって読みやすいかを採点する道具だ。公式noteでも、いわゆる「神Excel」の困りごととあわせて紹介した。
何が発表されたのか
Harunobuは、Excel・CSV・TSV(文字だけで表を保存する形式)のファイルを100点満点で採点する。物差しは、2026年3月31日に国の会議で決まった「行政データにおける機械可読性に関するルール」である。機械可読性とは、機械にとっての読みやすさのことだ。
ツールはデジタル庁が開発し、GitHub(プログラムを公開するサイト)で公開している。GitHubの記録では、最初の版(v0.1.0)は2026年7月27日に出ており、10月22日にv0.2.2が出た。
「神Excel」とは
デジタル庁のnoteによると、「神Excel」は紙に印刷したときの見た目を優先したExcelのことだ。セルを結合したり、方眼紙のように行と列を細かく並べたりしたものを指す。
印刷すればそのまま申請書に使えるなど、人には便利な形だ。一方で同庁は、データを使うシステムやAIにとって使いやすいとは限らないと指摘する。見やすくするための結合や項目の省略が、機械の読み間違いの原因になることがあるという。
かんたんに言うと
Harunobuは、表の健康診断のような道具だ。表を直すのではなく、どのセルがどのルールに違反したかと、その理由を一覧で示す。重大な違反があるレベルは「強制0点」になる。
ルールは3つのレベルに分かれる。レベル1は「閲覧・転記可能」、レベル2は「集計・分析可能」、レベル3は「連携・自動化可能」だ。レベル1には、たとえば次のルールがある。
- 1シートに複数の表を掲載しない
- 1セル1データとする
- データ本体と無関係な情報は含まない
判定は決まった手順で行う。同庁は、100回採点すれば100回とも同じ結果になると説明する。AIに判定させる方法では、毎回同じ結果になるとは限らないという。
AIと組み合わせて直す
noteでは、採点結果を使って表を整える例も紹介した。ChatGPTに採点結果とExcelを読ませ、表を整えるプログラムを作らせて実行する。AIに直接書き換えさせず、毎回同じ結果を出すプログラムを通すのが工夫だという。外部のAIサービスでデータを扱うときは、所属組織の利用ルールに従うよう呼びかけている。
だれが、どう使えるのか
HarunobuはGitHubから取り出し、手元のパソコンで動かす。ブラウザ画面でファイルを選んで採点できるほか、コマンドで大量のファイルを点検したり、システムに組み込んだりもできる。動かすにはPython(プログラミング言語)などの準備が必要だ。ツール部分のライセンスはMIT(改変や再配布も認める公開の決まり)だ。
同庁は、AIの補助機能をオンにしない限り、ファイルの中身が外部に送られることはないとしている。ルールは行政だけでなく、民間企業等でも活用できるという。ただし、Harunobuの判定ロジックは「ルールそのものではない」とも注意している。
まとめ
Harunobuは、紙のためのExcelを、機械も読める表に変える最初の一歩を助ける道具だ。今はPythonの準備ができる担当者向けの色合いが強い。自治体や会社で、まず手元の表が何点かを測る使い方が広がる可能性がある。
チェック済み。この記事は監修者によってチェックされました。(2026年10月23日)
代表取締役。工学部出身で、21歳で起業してからシステム会社の経営一筋で8期目。アプリの受託開発から始め、いまはAIを使ったシステムソリューションを手がけています。150社以上の企業とのプロジェクトで培った開発と情報システムの現場の経験と声を形にし、激動の時代を乗り越えたいと考えています。