トップITガジェットAIロボティクスSaaSサイエンスこのサイトについて

約50年前のバイキング2号の揺れ、北京大学などが火星の地震の候補として再検討

北京大学などのチームは、NASAの着陸機バイキング2号が1976年に記録した2つの揺れを、探査機インサイトの知見で見直した。1つは、インサイトの記録で揺れの震源とされる地域で起きた可能性があるが、別の読み方も残るとした。

TECHNOVA編集部AIにより執筆チェック済み公開 2026年10月23日 08:27・ 読了 約3分
シェアXFacebookはてなLINE
サイエンス
画像: NASA/JPL / NASA Photojournal「First Color Image of the Viking Lander 2 Site」(PIA00568・バイキング2号が着陸したユートピア平原で撮った最初のカラー画像)(パブリックドメイン(NASA))
TECHNOVA まとめ
要するに
  • ●バイキング2号が1976年に記録した2つの揺れを、インサイトの知見で見直した
  • ●80ソル目の揺れは、条件つきで、インサイトが見た揺れの震源域と重なる
  • ●遠くの地震や、隕石の衝突だった可能性も残り、正体は決めていない
じぶんごと

運用を終えた探査機の古い記録も、新しい観測と合わせれば読み直せる。宇宙の研究で、データを残しておく意味を示す例でもある。

この先どうなる

論文は、80ソル目の揺れの正体を1つに決めていない。データとプログラムは公開されており、ほかの研究者も同じ手順で確かめられる。

北京大学などの研究チームは2026年9月30日、NASAの火星着陸機「バイキング2号」が約50年前に記録した揺れを見直した論文を、学術誌「AGU Advances」で発表した。探査機「インサイト」による火星の地震の知見と照らし、火星の地震の候補として読み直した。

何が発表されたのか

バイキング2号は1976年9月3日、火星の北部のユートピア平原に着陸した。地震計は着陸機の本体に付いていた。

調べたのは、着陸後の53ソル目と80ソル目(ソルは火星の1日)に記録された2つの揺れだ。論文の要旨によると、正体は50年近く分からなかった。地震計の感度が低く、記録は機体の中で圧縮して送っていた。比べられる火星の地震の知識もなかった。

チームはバイキングの観測の流れを再現した。公開されたプログラムの説明によると、インサイトがとらえた火星の地震を、バイキングの地震計ならどう記録したかに変換した。バイキングの記録からは、地面の揺れの形を組み立て直した。

何が候補とされたのか

論文は、80ソル目の揺れに2つの読み方を示した。

  • P波(先に届く速い波)とS波(後から届く遅い波)の到着の差が、当時読み取った「10秒」のとおりだった場合: 震源は北部の平原の広い範囲と重なる。インサイトが観測した、季節ごとにくり返す揺れの震源とされてきた場所だ
  • 最初に届いた波が、地殻(表面の岩の層)の中で形を変えた波だった場合: 遠くで地下の岩盤が動いた地震となる。規模はモーメントマグニチュード(地震の規模の目安)4.6〜4.8か、4.9〜5.1とみる

到着の差が長いほど震源は遠い。差の読み方1つで、場所も大きさも答えが変わる。

風の揺れとの見分け方

本体に載った地震計は、風で機体が揺れると、それも記録する。NASAの最終報告書によると、当時のチームは候補を1つずつ、着陸機の動作や突風の記録と照らした。どちらとも重ならないものだけを地震とみなし、残ったのは80ソル目の1件だった。ただ、前後20分以内に風の測定はなく、突風の可能性も残るとしていた。2023年には今回の著者の1人が、風のデータと照らし直し、2つとも地震だったと結論する論文を出している。

論文が示す限界

  • 正体は1つに決めていない。隕石の衝突による揺れの可能性も除けないとする
  • バイキングの地震計は高い周波数の揺れに合わせてあり、低い周波数の揺れには鈍かった

2つの揺れは、インサイトがとらえた一般的な地震より早く弱まった。地下での揺れの弱まり方が、場所で違うことを示すという。

日本ではどうなるのか

この研究に日本の機関は加わっていない。論文は誰でも無料で読めるが、英語だけだ。バイキング2号の地震計のデータは、JAXA宇宙科学研究所のデータの保管庫「DARTS」でも公開されている。

まとめ

インサイトは2018年11月26日に着陸し、地震計を地面に置いて観測した。NASAによると、とらえた揺れは1,300回を超え、2022年12月15日に運用を終えた。その記録からは、マリネリス峡谷の断層がいまも動く可能性を示す研究も出ている。論文は、バイキングの観測を今の火星の地震の研究に組み込んだとしている。

シェアXFacebookはてなLINE
T
TECHNOVA編集部AIにより執筆
この記事は AI が執筆しました。

チェック済み。この記事は監修者によってチェックされました。(2026年10月23日)

監修
佐々木 航株式会社Game

代表取締役。工学部出身で、21歳で起業してからシステム会社の経営一筋で8期目。アプリの受託開発から始め、いまはAIを使ったシステムソリューションを手がけています。150社以上の企業とのプロジェクトで培った開発と情報システムの現場の経験と声を形にし、激動の時代を乗り越えたいと考えています。

関連記事