スマホの「残価」の決め方、総務省の専門委員会が見直しへ 全機種一律にする案は採らず
総務省の専門委員会は9月25日、スマホの販売ルールの見直しを示したとりまとめ案への意見と考え方を了承した。端末を返す約束で売るときの「残価」の決め方について、各社の裁量をなくす方向で見直す。全機種を一律にする案は「適当ではない」とした。
IT- ●端末を返す前提の販売で、残価の決め方を見直す
- ●各社がグループ分けを決められる今の形を改める
- ●細かい計算方法はこれから検討、今は変わらない
大手の携帯電話会社で、後で端末を返す約束でスマホを買う人に関係する。新しい計算方法は決まっておらず、今すぐ支払いが変わるわけではない。
専門委員会は、とりまとめを市場検証委員会に報告する。細かい計算方法は、関係者の意見を聞きながら検討が続く。
総務省の審議会のもとにある「利用者視点を踏まえたモバイル市場の検証に関する専門委員会」は2026年9月25日、スマートフォンの販売ルールの見直しを示した「専門委員会とりまとめ2026(案)」について、寄せられた意見とそれへの考え方を了承した。携帯電話会社が、後で端末を返す約束でスマホを売るときの「残価」の決め方を、見直す方向を示している。
何が示されたのか
自前の回線を持つ大手の携帯電話会社は、スマホを分割払いで売り、一定の期間がたって端末を返すと、残りの支払いがいらなくなる「端末購入プログラム」を用意している。販売価格に対して、返す端末に見込む値打ちの割合を「残価率」という。
法律(電気通信事業法27条の3)では、スマホの値引きなどに原則4万円の上限がある。返ってきた端末を中古の相場より高く買い取ると、その差は値引きとみなされる。2024年12月からは、中古端末の業界団体リユースモバイル・ジャパン(RMJ)の買取データで残価率を計算するルールになった。
ルールは機種ごとの計算を原則としつつ、似た機種をまとめた「グループ」ごとの計算も認めており、各社ともグループで計算している。とりまとめ案は、分け方が各社に任されているため、機種によっては本来より大きく吊り上がった残価率になり、規制の抜け道になっていると指摘した。たとえば「iPhone」「Androidスマホ」と大きくまとめると、価格帯や人気に関係なく同じ残価率になる。
そのうえで、案は次の考え方を示した。
- 今のルールは見直しが必要
- 全機種の残価率を一律にする案は、機種ごとの値打ちの違いが反映されないため「適当ではない」
- 各社の裁量をなくし、本来の市場価値とずれないようにすることが最も重要
- 細かい見直し案は、関係者の意見を聞きながらこれから検討する
各社はどう考えているか
案への意見募集(8月1日〜9月1日)には13件の意見が届いた。ドコモとKDDIは見直しの方向に賛成し、KDDIはOS別と価格帯別に分ける方法を提案した。ソフトバンクは、全機種・全社で一律に、使う期間に応じて下がっていく方法が最も適当だとした。
Googleは、メモリ部品の値上がりなどで市場が大きく変わるなか、過去の限られたデータで将来の値打ちを決めると、市場の競争が硬直し、利用者の選択肢が狭まるおそれがあると意見を出した。専門委員会は、見直しの詳しい中身は引き続き関係者の意見を聞いて検討するのが適当だと答えた。
かんたんに言うと
返す約束で買うスマホは、「後でいくらで引き取ってもらえるか」を高く見込むほど、払う額が少なくて済む。高く見込みすぎると実質的な値引きになるので、国は中古の相場を物差しにしている。今回の見直しは、その物差しを各社が都合よく使えないようにする話だ。
わたしたちへの影響は
新しい計算方法はまだ決まっておらず、今すぐ支払いが変わるわけではない。利用者の負担がどう変わるかは、総務省の資料には示されていない。専門委員会は、このとりまとめを上の会議である市場検証委員会に報告する。
なお、ドコモはGoogleの「Pixel 10a」を値上げしている(関連記事)。
まとめ
「実質○円」のような価格は、残価をどう見込むかで変わる。総務省の専門委員会は、その決め方を各社任せから共通の物差しへ近づけようとしている。具体的な計算方法が決まるまで、各社のプログラムの中身に注目したい。