AIキャラとの会話が続くと幸福度が下がる傾向 スタンフォード大などが利用者を1年追跡
米スタンフォード大学などの研究チームが、AIキャラクターと話すアプリ「Character.AI」の米国の利用者を約1年追いかけた論文を公開した。AIと深く関わり続ける人ほど、人と直接会う時間が少なく、幸福度が低い傾向が見られたという。
AI- ●Character.AIの利用者1,182人を調べ、439人を約1年後に再調査
- ●AIとの関わりが強い人ほど、1年後も関わりが強いままだった
- ●幸福度の低さは、人と直接会う時間の少なさで主に説明できた
AIと話すのが日課になっている人は、家族や友だちと過ごす時間が減っていないか、ときどき振り返っておきたい。
研究チームは、人どうしのつながりを支えるAIの設計が大切だとしている。調査は2回だけで、より細かい追跡は今後の課題だ。
米スタンフォード大学などの研究チームは2026年9月7日、AIキャラクターと会話するアプリ「Character.AI」の利用者を約1年追いかけた研究の論文を、論文の公開サイト「arXiv」で公開した。AIと深く関わり続ける人ほど、人と直接会う時間が少なく、心の満ち足りた度合い(幸福度)が低い傾向が見られたという。専門家による審査(査読)を受ける前の論文だ。
何を調べたのか
チームには、米スタンフォード大学、米カーネギーメロン大学、米ミシガン大学、英オックスフォード大学の研究者が加わっている。対象は、米国に住み、英語を母語とするCharacter.AIの利用者だ。1回目の調査は2024年9月から2025年8月にかけて1,182人に行った。平均で約1年後に、そのうち439人が2回目の調査に答えた。
関わり方は3つの面から測った。どれだけAIと話し、生活に入り込んでいるか。AIを友だちや相手として使っているか。自分の悩みや気持ちをどれだけ打ち明けているか。2回目の調査では、家族や友人などと直接会って過ごす時間も尋ねた。
分かったこと
1回目で関わりが強かった人は、1年後も関わりが強かった。AIを話し相手として使ったり、自分のことを打ち明けたりする度合いも高くなっていた。関わりは一時的なものでは終わらず、続いて強まりやすいということだ。
こうした深い関わりが続くことは、幸福度の低さと結びついていた。理由を調べると、AIとの関わりが強い人ほど人と直接会う時間が少なく、それが幸福度の低さを主に説明していた。AIに時間や関心が向く分、人と過ごす時間が押しのけられている、と研究チームは見ている。
利用を続けていた人では、AIを「支えてくれる相手」と表す人が40.2%から42.3%に増えた。「道具・アシスタント」と表す人は43.8%から40.5%に減った。
かんたんに言うと
AIの話し相手は、いつでも返事をくれて、こちらに合わせてくれる。そのぶん、AIとの時間が増えると、人と会う時間が知らないうちに減ることがある。今回の研究は、AIと話すこと自体より、人とのつながりが減ることが問題になりうると示している。
研究チームは、最初は調べ物や作業のために使っていた人でも、くり返すうちに相談相手のような使い方になりうると述べている。ChatGPTのような一般向けのAIでも起こりうるという。
注意したい点
調査は2回だけで、答えは本人の申告によるものだ。1回目に答えた人のうち、2回目にも答えたのは37.1%だった。チームは統計の手法でかたよりを補正したが、すべては取り除けないとしている。研究期間中にCharacter.AIの仕組みが変わったかどうかも、把握できていないという。
日本ではどうなるのか
調査の対象は米国の英語話者で、日本の利用者は含まれていない。論文も、文化や言語が違う人には結果が当てはまらない可能性があると書いている。日本の利用者に同じ傾向があるかは、これからの研究を待つことになる。
まとめ
研究チームは、利用時間の長さだけを成功の物差しにせず、人どうしの関係を支えるAIを作ることが大切だと提言している。AIとの会話を楽しみつつ、人と会う時間も大事にしたい。