熱を防ぎ、燃え始めを約3.5秒で知らせる塗料 使用後は燃えにくい材料に
スペインのIMDEA Materialsなどのグループが、火事の熱をさえぎる塗料に、燃え始めを約3.5秒で知らせる働きと、使い終えたら燃えにくい材料に作り直せる働きを足した。研究の段階で、製品化や日本での提供は発表されていない。
サイエンス- ●1,200℃の炎を15分当てても、塗ったアルミ板の裏は400℃未満だった
- ●熱で電気の通しやすさが変わる材料を混ぜ、約3.5秒で警報の信号を出せる
- ●使い終えた塗膜は粉にしてポリプロピレンに混ぜ、燃えにくい材料に作り直せた
建物や電子機器の火事への備えは、燃えにくくする材料と、火に気づく仕組みが別々なのがふつうだ。一つの塗料で両方を担えれば、備え方が変わるかもしれない。
グループは建物や電子機器、産業での利用を見込むが、製品にする計画や時期は示していない。塗膜が何年もつのかも、これからの確認になる。
火に強い塗料に、火事を知らせる役まで任せられないか。スペインの研究所IMDEA Materialsなどのグループが、そんな塗料を作った。炎の熱をさえぎりながら燃え始めを約3.5秒で知らせ、使い終えたら別の燃えにくい材料に作り直せる。
耐火塗料の仕事は、これまでふつうは一つだった。IMDEA Materialsが2026年11月4日に出した発表によると、火事のときに、熱が伝わるのと、構造が壊れるのを遅らせることだ。新しい塗料は、そこに知らせる役と作り直せる性質を加えた。研究にはマドリード工科大学(UPM)と中国の北京大学、中国計量大学も加わり、成果は学術誌Polymer Degradation and Stabilityに載った。
熱をさえぎりながら、火に気づく
塗料の土台はエポキシ樹脂だ。そこにフィチン酸から作った難燃剤「PAMA」と、酸化グラフェンを混ぜた。フィチン酸は植物の種に多く含まれる成分である。PAMAは「発泡型」の難燃剤にあたる。熱を受けると膨らみ、熱を通しにくい炭の層を作るタイプだ。
効き目は1,200℃の炎をアルミ板に直接当てる試験ではっきり出た。塗っていない板は、約2分で焼けて穴が開いた。一方、塗った板は15分たっても、裏側の温度が400℃未満にとどまった。燃えるうちに塗膜が丈夫な炭の層を作り、それが壁になって熱の伝わりを遅らせたためだ。
火に気づく役割は酸化グラフェンが担う。炭素の原子が網の目のように並んだ極薄のシートに、酸素が結びついた材料だ。炎にさらされると、熱で電気の通しやすさが急に変わる。この変化を使えば、約3.5秒で警報の信号を出せるという。大きな被害が出る前に、火事を知らせられるわけだ。
使い終えた塗膜は、粉にして次の材料へ
役目を終えた塗膜は、ごみになるしかないのか。グループは捨てずに、機械的に処理して粉にした。この粉には窒素やリン、ケイ素を含む構造が残っていて、炭の層を作って燃えにくくする働きを保っている。粉を別の難燃剤と合わせて、身近なプラスチックのポリプロピレンに混ぜると、燃えにくさに優れた材料ができた。
もっとも、まだ研究の段階の話だ。IMDEA Materialsはこの成果を、火に強いスマート材料への重要な一歩と位置づける。使い道には建物や電子機器、産業の用途を挙げるが、製品にする計画や時期は示していない。日本での提供も発表されていない。塗膜が何年もつのか、警報の信号を火災報知の設備にどうつなぐのかも、発表からは分からない。
燃えにくくする、気づく、捨てずに回す。別々に考えられてきた3つを、1枚の塗膜に収めたところが新しい。
代表取締役。工学部出身で、21歳で起業してからシステム会社の経営一筋で8期目。アプリの受託開発から始め、いまはAIを使ったシステムソリューションを手がけています。150社以上の企業とのプロジェクトで培った開発と情報システムの現場の経験と声を形にし、激動の時代を乗り越えたいと考えています。
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