大阪大学など、精神科デイケアで話を聴く対話ロボットを24か月間実証
大阪大学などの研究チームが、精神科デイケアで考えの整理を支える対話ロボットを24か月間実証した。助言せずに話を聴く設計が特徴だ。49回の対話を分析し、調子の良さなどの自己評価に改善があったと報告した。
ロボティクス- ●大阪大学などが対話ロボットを24か月間実証
- ●助言機能を外し、評価せずに話を聴く設計に変更
- ●研究チームは対話後の自己評価の改善を報告
精神科デイケアを利用する人や支える人に関わる、考えや気持ちを整理するための聞き役の研究だ。
研究チームは今後、過去の対話履歴に基づく質問の個別化や、利用者の状態に応じた応答を構想している。
大阪大学などの研究チームが、精神科デイケアで話を聴く対話ロボットを開発し、24か月間の実証研究を行った。論文のオンライン版は2026年10月22日(日本時間)に公開された。
助言するより、話を受け止める
このロボットは、利用者が自分の考えを整理することを支える。実証場所は、ありまこうげんホスピタルの精神科デイケア「桜の咲く丘」だ。
精神科デイケアは、精神疾患のある人の安定した生活や社会復帰を支える通所型リハビリ施設である。研究の背景には、人員や資源が限られ、個別の継続支援が難しいという課題がある。
研究では前半14か月を改良、後半10か月を完成したシステムの評価に充てた。改良では利用者、スタッフ、臨床家の意見を取り入れた。
特徴は、開発途中で助言機能を外したことだ。利用者を評価せず、話を受け止める聞き役へと設計を変えた。質問は短く明確にし、利用者が話し終えたと合図するまで待つ。
かんたんに言うと、考えを整理する聞き役
研究が支えるのは、セルフモニタリングだ。自分の状況や気持ち、考えを客観的に観察し、整理することを指す。
たとえるなら、頭の中にあることを言葉にして並べ直すための聞き役である。答えを教えることより、本人が話すことに重きを置く設計だ。
評価では、利用者が目標や楽しい思い出、悩みなど5つの話題から1つを選んだ。対話の前後には、調子の良さ、意識のはっきりさ、気分の明るさを本人が0〜100点で評価した。
対話後の自己評価に変化
研究チームは、完成したシステムによる49回の対話を分析した。同チームによると、調子の良さは平均4.9点、意識のはっきりさは平均7.3点上がった。いずれも統計上、偶然だけでは説明しにくい差があったとしている。
一方、気分の明るさは平均2.9点上がったものの、統計的な有意差はなかった。今回の数値は、対話前後に本人が付けた評価の変化である。
また、研究チームによると、49回中40回(81.6%)は操作者の介入なしで対話を終えた。残る9回の介入は、発話終了の検出を補助するものだった。
臨床家が緊急停止し、本人の意思と状態を確認して再開する仕組みも設けた。完成したシステムを評価した49回の対話では、緊急停止は一度もなかったという。
まとめ
今回の研究は、助言するのではなく、本人の話を受け止めるロボットを現場で評価したものだ。対話後の自己評価に変化が報告された一方、気分の明るさには統計的な有意差がなかった。
研究チームは今後、過去の対話履歴に基づく質問の個別化を構想している。利用者の状態に応じた応答や、身体を持つロボットならではの触れ合いを伴う対話支援も展望している。
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チェック済み。この記事は監修者によってチェックされました。(2026年10月23日)
代表取締役。工学部出身で、21歳で起業してからシステム会社の経営一筋で8期目。アプリの受託開発から始め、いまはAIを使ったシステムソリューションを手がけています。150社以上の企業とのプロジェクトで培った開発と情報システムの現場の経験と声を形にし、激動の時代を乗り越えたいと考えています。