NICTら、太陽高エネルギー粒子の予測技術を開発 設定値を自動で決定
富士通、名古屋大学、JAMSTEC、NICTらが、太陽粒子の動きを計算する設定値を自動で決める技術を開発した。研究グループによると、5機の探査機が捉えた粒子の到来からピークまでの時間変化をおおむね再現した。
サイエンス- ●NICTらが太陽粒子の予測に使う設定値の自動決定技術を開発
- ●研究グループによると、5機の観測の時間変化をおおむね再現
- ●経験と試行錯誤に頼っていた計算の設定を、観測に合わせて自動化
人工衛星の故障や宇宙飛行士の被ばくに関わる、太陽からの粒子を予測する研究だ。
研究グループは、技術を発展させ、被ばくや人工衛星の故障リスクをより早く把握することを目指す。
富士通、名古屋大学、JAMSTEC、NICTらは、太陽粒子の予測に使う設定値を自動で決める技術を開発した。成果の論文は2026年10月20日、学術誌Scientific Reportsに掲載された。
何を予測する技術なのか
対象は、太陽の爆発現象で加速され、宇宙へ放出される太陽高エネルギー粒子(SEP)だ。陽子や電子からなり、人工衛星の故障や誤動作、宇宙飛行士の被ばくの原因となる。今回の研究は、このうち陽子を対象とした。
粒子は太陽から伸びる磁力線に沿って進みながら散乱する。このため、いつ到来するかを予測するのは難しい。
計算には、パラメータと呼ばれる設定値が必要だ。今回の対象には、観測から直接測れない値も含まれる。従来は専門家が経験と試行錯誤で調整しており、設定の根拠を示すことや、結果を再現することに課題があった。
かんたんに言うと、計算のつまみを自動調整
設定値は、計算結果を変える「つまみ」のようなものだ。今回の技術は、実際の観測に近づくように、複数のつまみの組み合わせを探す仕組みにたとえられる。
中核には、富士通が構築したSEITENを使った。粒子の加速・移動などを計算する仕組みだ。
設定を探す手法は、ブラックボックス数理最適化という。計算の内部構造を仮定せず、試行と評価を重ねて良い答えを探す。今回は広い範囲と有望な範囲を合わせ、計1,480回の試行を行った。
5機の観測で確かめたこと
検証には、2021年10月9日に発生したSEPの観測データを使った。研究グループによると、5機の探査機の観測に合うよう、19個の設定値を自動決定した。
その結果、5機すべてで粒子の到来からピークまでの時間変化をおおむね再現したとしている。独立に手順を繰り返しても、同じ傾向が得られたという。
粒子の散乱などに関わる設定値は、方向別に推定できた。一方、散乱に関わる値を全方向で同じにすると、5機の観測を同時には再現できなかったとしている。単に設定を自動化するだけでなく、方向による違いも検証した研究だ。
まとめ
今回示されたのは、過去の観測に合わせて設定値を自動で決め、粒子の動きを再現する技術だ。研究グループは今後、被ばくや人工衛星の故障リスクをより早く把握することを目指す。将来の月面建設・輸送や、持続的な有人活動の安全性向上への貢献も目標としている。
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チェック済み。この記事は監修者によってチェックされました。(2026年10月21日)
代表取締役。工学部出身で、21歳で起業してからシステム会社の経営一筋で8期目。アプリの受託開発から始め、いまはAIを使ったシステムソリューションを手がけています。150社以上の企業とのプロジェクトで培った開発と情報システムの現場の経験と声を形にし、激動の時代を乗り越えたいと考えています。