IOWNの光回線で柏と神戸を直結、775Gbpsで研究データ転送
NIIやNTT東西など5者が、千葉県柏市と神戸市を結ぶIOWNの回線で、最大約775Gbpsのファイル転送を記録した。11月には回線を米シカゴまで延ばす実験も控えている。
IT- ●800Gbpsの回線で、ふだん使うソフト2つを同時に動かして約775Gbpsを記録
- ●750Gbpsを超える速さを数分間続け、遅延もSINETより約20%小さかった
- ●11月の国際会議では、400Gbpsの部分を米シカゴの会場まで延ばす
家の回線が速くなる話ではない。ただ、スーパーコンピューターの計算結果を離れた研究拠点で使う場面の待ち時間が減れば、気象やAIなど暮らしに届く研究の進み方に関わる。
5者は、この結果をデータの同期の研究や、大学や研究機関を結ぶ次のSINETの検討に生かすという。太平洋を越える実験で同じ使い方が通用するかが、次の見どころになる。
128GBのスマホの中身を、約1.3秒で千葉県から神戸まで送れる。そんな速さの計算になる実験の結果を、国立情報学研究所(NII)、理化学研究所、東京大学、NTT東日本、NTT西日本の5者が2026年10月30日に発表した。
記録は最大約775Gbps。家庭の光回線でよくある最大1Gbpsの、ざっと775倍だ。つないだ先は東京大学の柏地区キャンパスと、スーパーコンピューター「富岳」で知られる神戸市の理研計算科学研究センターだ。
実用のソフト2つで記録
回線はAPN(All-Photonics Network)。NTTが進める次世代の通信基盤「IOWN」の技術で、ネットワークから端末まで光の技術で組む通信網だ。NTT東西は最大800Gbpsのサービスを2024年12月から提供している。今回は柏と大阪のNTTの局舎の間を800Gbpsでつなぎ、局舎から各拠点までは400Gbpsの回線2本で結んだ。
速さを測るためだけの実験ではない。理研と東大が運用するHPCI共用ストレージと、NIIが開発したファイル転送ツールMMCFTPを同時に動かした。どちらも実用のソフトだ。
結果、800Gbpsの回線の約97%まで使い、750Gbpsを超える速さを数分間続けられることも確かめた。長い距離でも、今あるソフトで超高速回線を実用の水準で使えると示せたという。
同じ2拠点は、大学や研究機関を結ぶ学術ネットワークSINETでもつながっているが、比べるとAPNの遅延は約20%小さかった。
次は太平洋を越える
研究の現場では、大きなデータを離れた拠点へ移して使う場面が増えていて、実験はこの先も続く。
11月に米シカゴで開かれる国際会議SC26では、今回の環境のうち400Gbpsの部分を会場まで延ばし、MMCFTPで転送を試す。NIIの調べでは、サーバー間と国際回線を含む全区間で400Gbps以上の回線を使う日米間のファイル転送は、世界で初めての試みになる。海を渡ったときにどこまで速さを保てるか、結果が気になるところだ。
代表取締役。工学部出身で、21歳で起業してからシステム会社の経営一筋で8期目。アプリの受託開発から始め、いまはAIを使ったシステムソリューションを手がけています。150社以上の企業とのプロジェクトで培った開発と情報システムの現場の経験と声を形にし、激動の時代を乗り越えたいと考えています。
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