エルニーニョの1年前の予報、ラニーニャの時に出すと当たりやすい 豪CSIROなど
豪CSIROとメルボルン大学などの研究チームが、エルニーニョの1年前の予報を調べた。予報を出す時点で太平洋がラニーニャの状態だと成績が最もよく、3つのモデルは1年後のエルニーニョへの移行を70%を超える割合で当てた。
サイエンス- ●CSIROなどが、エルニーニョの1年前の予報が当たりやすい条件を調べた
- ●ラニーニャ時の予報は、3モデルがエルニーニョへの移行を70%超で的中
- ●全部のエルニーニョが1年前に分かるわけではない。過去を対象に予報し直した結果
エルニーニョは日本の夏や冬の天候にも関わる。長い先の予報は、どんな時に出たかで当てにできる度合いが違うと示した研究だ。
研究チームは、今の太平洋の状態から予報が当たる見込みを判断できる枠組みを示した。気象庁は次のエルニーニョ監視速報を11月10日に出す予定だ。
オーストラリアの連邦科学産業研究機構(CSIRO)とメルボルン大学などの研究チームは、エルニーニョの1年前の予報が当たりやすい条件を示した。予報を出す時点で太平洋がラニーニャの状態だと、成績が最もよかった。論文は2026年10月23日、学術誌「Science Advances」に載った。
エルニーニョと、1年前の予報の難しさ
気象庁によると、エルニーニョ現象は、太平洋の赤道付近で日付変更線のあたりから南米の沿岸にかけて、海面水温が平年より高い状態が1年程度続く現象だ。同じ海域で平年より低い状態が続くのがラニーニャ現象で、どちらも数年おきに起きる。大気の変動と合わせて「エルニーニョ・南方振動(ENSO)」とも呼ぶ。
論文によると、ENSOは世界の多くの地域で、季節やそれより先の気候を予測する最大の手がかりだ。ただ、9か月より先のENSOの状態を予報するのは難しいままだった。
誰が、どうやって調べたのか
筆頭著者は、CSIROとニューサウスウェールズ大学のNandini Ramesh氏。メルボルン大学のMandy B. Freund氏ら9人が名を連ねる。
使ったのは、気候モデル(大気と海の動きを計算で再現する仕組み)で、過去の時点から予報を出し直した「再予報」のデータだ。実際に起きたことと答え合わせができる。チームは予報を、出した時点のENSOの状態(エルニーニョ・ラニーニャ・平常)で分け、その後の状態の移り変わりを当てられたかを調べた。研究チームが公開した解析のコードによると、比べたモデルは9つだ。
何が分かったのか
当たりやすさは、予報を出した時点のENSOの状態で大きく変わった。その差は、モデルどうしの性能の差をはっきり上回った。
成績が最もよかったのは、ラニーニャの時に出した予報だ。3つのモデルは、1年後にエルニーニョへ移ることを、70%を超える割合で正しく予報した。
チームは、今の太平洋の状態(ENSOの状態)から、その予報が当たる見込みを判断できる簡単な枠組みにまとめた。
かんたんに言うと
予報をどれだけ当てにできるかを、出した時点の海の状態から見分ける考え方だ。天気予報に「今日は当たりやすい日か」という目安が付くようなものだ。
分かったのは一部のエルニーニョ
1年前に当てやすいのは、ラニーニャの時に出た予報だ。エルニーニョがすべて1年前に分かるわけではない。70%を超えたのも、9つのうち3つのモデルだった。確かめたのは、過去を対象にした再予報のデータだ。
日本ではどうなるのか
論文の要旨は、日本には触れていない。
気象庁によると、エルニーニョ現象が起きているとき、日本の夏(6〜8月)は西日本で気温が低い傾向がある(1948〜2021年の統計)。冬(12〜2月)は西日本で気温が並か高く、東日本の太平洋側と沖縄・奄美で降水量が多い傾向がある(1947/48〜2020/21年の統計)。
気象庁は10月9日、2026年春から続くエルニーニョ現象が9月に過去最大の強さになり、冬にかけて続く見込みと発表した(関連記事: 2026年のエルニーニョ、観測史上最も強く)。
まとめ
CSIROなどのチームは、9つの気候モデルの再予報から、エルニーニョの1年前の予報はラニーニャの時に出したものが最も当たりやすいと示した。ほかの時に出した予報はこれより成績が低く、すべてのエルニーニョが1年前に分かるわけではない。
- Rameshほか「Using initial states to identify successful El Niño–Southern Oscillation forecasts 1 year in advance」(Science Advances 12巻43号 eaeg8654・2026年10月23日・DOI 10.1126/sciadv.aeg8654)
- Ramesh「Using initial states to identify successful ENSO forecasts one year in advance」(Zenodo・論文の解析に使ったコード)
- 気象庁「エルニーニョ/ラニーニャ現象とは」
- 気象庁「エルニーニョ現象発生時の日本の天候の特徴」
- 気象庁「エルニーニョ監視速報(No.409) 2026年9月の実況と2026年10月〜2027年4月の見通し」(2026年10月9日)
チェック済み。この記事は監修者によってチェックされました。(2026年10月24日)
代表取締役。工学部出身で、21歳で起業してからシステム会社の経営一筋で8期目。アプリの受託開発から始め、いまはAIを使ったシステムソリューションを手がけています。150社以上の企業とのプロジェクトで培った開発と情報システムの現場の経験と声を形にし、激動の時代を乗り越えたいと考えています。