AIにテレビの広告を消させる人が急増 アプリの仕組みを解き明かす道具「REA」も人気、まねたソフトが広がる危うさも
AIのコーディングの道具にテレビの型番を伝え、広告や最初から入っている不要なアプリを止めさせる人が、海外で急に増えている。アプリの仕組みを、元のプログラムを見ずにAIで調べて作り直せる道具「REA」も、GitHubで約35万の星を集めた。米404 Mediaは、AIでまねた質の低いソフトがネットにつながる機器に広がる危うさを指摘している。
AI- ●AIのコーディングの道具にテレビの型番を伝え、広告や不要なアプリを止めさせる人が、海外で急に増えている
- ●アプリの仕組みを、元のプログラムを見ずにAIで調べて作り直せる道具「REA」も、GitHubで約35万の星を集めた
- ●米404 Mediaは、AIでまねた質の低いソフトや安全でないソフトが、ネットにつながる機器に広がる危うさを指摘している
テレビの広告や重い画面にうんざりしている人には魅力的に見える。ただ、テレビの開発者向けの設定を開いて、外から操作できる状態にする必要がある。止めてはいけない部品を止めると、テレビが正しく動かなくなることもある。試すなら、元に戻す手順があるかを確かめ、壊れてもよい覚悟で、自分の機器だけにとどめたい。
404 Mediaは、AIでソフトをまねたり作り直したりする動きは、ソフトの会社や、開発者の集まり、オープンソースの取り組みに、実際の影響を与えるとみている。急いで作られたソフトに、悪意のあるプログラムを混ぜようとする人が出てくるおそれも指摘している。
AIのコーディングの道具にテレビの型番を伝え、広告や、最初から入っている不要なアプリを止めさせる人が、海外で急に増えている。米404 Mediaが2026年10月20日に伝えた。アプリの仕組みを、元のプログラムを見ずにAIで調べ、自分のソフトで作り直せる道具「REA(Reverse Engineer Anything)」も、ソフトの公開サイトGitHubで大きな話題になっている。
きっかけはテレビの広告
きっかけの1つは、X(旧Twitter)への投稿だ。投稿者のGathin氏は10月17日、「両親のテレビは、Netflixにたどり着く前に広告が出ていた。Claude Codeに型番を伝えたら、Wi-Fiでテレビを見つけ、シャオミのソフト25個を外し、新しいホーム画面を書いた」と書いた。404 Mediaによると、この投稿は600万回以上見られたという。
Gathin氏は、使った指示文とプログラムを「CleanYourTV」としてGitHubで公開した。説明によると、やり方は次のとおりだ。
- テレビの準備: テレビの設定で開発者向けのメニューを出し、「USBデバッグ」をオンにする。同じWi-Fiにつないだパソコンから、Androidのスマホと同じ仕組みでテレビを操作できるようになる
- AIに任せる: パソコンのAIのコーディングの道具に、用意された指示文とテレビの型番を渡す。AIが、入っているアプリの一覧を控えたうえで、メーカーの利用状況の送信や広告のしくみ、不要なアプリを止め、Apple TVに似た簡単なホーム画面を入れる
- 元に戻せる: アプリは消さずに止めるだけで、元に戻す手順も用意している。説明では、15分ほどで終わるという
道具は、AnthropicのClaude Codeのほか、OpenAIのCodexやGoogleのGemini CLIでも使えるとしている。説明のページには、投稿への返信などから集めた、123機種、42のブランドのテレビの情報が載っている。
IT之家によると、米TechCrunchやMashableも10月19日にこの動きを伝えた。別の開発者による「DumbTV」も、広告や視聴の記録の送信、頼んでいない更新を減らすことをめざしている。
対象はAndroid TVなど一部のテレビ
DumbTVの説明によると、対象になるのは、AmazonのFire TVと、ソニー、TCL、フィリップス、ハイセンス、シャオミなどのAndroid TV・Google TVのテレビだ。サムスン、LG、パナソニックなどのテレビは、外から中に入って操作する手段がないため、対象にならないとしている。
DumbTVは、テレビの基本ソフトそのものを入れ替えることはしないとはっきり書いている。今のテレビは、起動の仕組みが改造を防ぐように作られていて、無理に入れ替えようとすると、テレビが動かなくなる原因になるという。
IT之家によると、TechCrunchは、AIが改造の頼みを断ったり、途中で止まったりした例や、改造の途中でAndroid TVが正しく動かなくなった例も伝えている。機種によって部品の構成が違うため、止めてはいけない部品を止めると、テレビが正しく動かなくなったり、起動しなくなったりするおそれがある。
「何でも解き明かす」道具も話題に
テレビだけではない。404 Mediaによると、写真立てをAIで動くカレンダーに変えたり、赤ちゃんの見守りカメラの広告を消したり、メーカーが手を引いて使えなくなった機器を、新しいソフトでよみがえらせたりする例が、ここ数日で次々と出ている。
その流れで注目を集めたのが、AIのエージェント(指示を受けて自分で作業を進めるAI)に組み合わせて使う道具「REA」だ。GitHubでの説明は「アプリで欲しい機能を見つけたら、エージェントにREAで調べさせよう。元のプログラムなしでアプリを調べ、機能の仕組みを説明し、証拠を示し、自分の製品向けに作り直せる」というものだ。パソコンのアプリやウェブサイトなどを、手元で解析できるという。10月21日の時点で、GitHubで約35万の星(お気に入りの数)を集めている。
404 Mediaが指摘する危うさ
404 Mediaは、この動きを「AIの新しい無法地帯」と呼び、次のような点を挙げている。
- 他社の製品をまねる: ギターのエフェクターを作っているという人が、競合する3社の製品の音の処理を、AIで72時間のうちに解き明かしたと書き込んだ例を紹介している
- 質の低いソフトが広がる: AIでまねたソフトには、使う本人も理解できない不具合が多い。それが確かめられないまま、速い勢いで出回っている
- 安全への影響: 作りの甘い、安全でないソフトが大事な機器に入れられ、機器やネットワークが乗っ取られるきっかけになりうる。急いで作られたソフトに、悪意のあるプログラムを混ぜようとする人も出てくるとみている
オープンソースのソフトを研究するマイク・ノーラン氏は、404 Mediaに「AIで欲しい機能を作り直すのが簡単になり、月額で使うソフトのビジネスが成り立たなくなりつつあると、技術者たちから聞く」と話した。一方で、ソフトは保守に手間がかかるので、まねたソフトを使う会社がどれだけあるかは分からないとも述べている。
かんたんに言うと
これまで、機械の中身を開けて改造するのは、知識と根気のある一部の人の趣味だった。今は、AIという「何でもできる工具箱を持った助手」に、型番を伝えて頼むだけで、同じことに手が届く。便利な一方で、助手が何をしたのかを自分で分からないまま、家の機器の中身を書き換えることにもなる(TECHNOVAの見方)。
日本ではどうなるのか
日本でも、ソニーのBRAVIAなど、Android TVやGoogle TVを使うテレビは売られている。ただ、どれも海外の個人が公開した道具で、メーカーが認めたものではない。メーカーが想定していない使い方なので、調子が悪くなっても自分で直す覚悟が要る。他社のソフトをまねて作ったものを売ったり配ったりすれば、権利の侵害になるおそれもある(TECHNOVAの見方)。
まとめ
AIに頼めば、テレビの広告を消したり、アプリの仕組みを解き明かして作り直したりできるようになり、海外で大きな流行になっている。自分の機器を取り戻す動きとして歓迎する声がある一方、404 Mediaは、まねた質の低いソフトや安全でないソフトが広がる危うさを指摘する。試すなら、元に戻す手順を確かめ、自分の機器だけにとどめたい。
チェック済み。この記事は監修者によってチェックされました。(2026年10月21日)
代表取締役。工学部出身で、21歳で起業してからシステム会社の経営一筋で8期目。アプリの受託開発から始め、いまはAIを使ったシステムソリューションを手がけています。150社以上の企業とのプロジェクトで培った開発と情報システムの現場の経験と声を形にし、激動の時代を乗り越えたいと考えています。