SpaceXとTesla、合併を話し合う特別委員会をそれぞれ設置 マスク氏「良い考え」も「確実ではない」
SpaceXとTeslaの取締役会が、それぞれ合併の考えを話し合う特別委員会を設けた。両社のCEOのイーロン・マスク氏が、2026年10月20日のSpaceXの決算説明会で明らかにした。条件はまだ何も決まっておらず、実現する保証はないという。マスク氏は合併を「良い考え」としつつ、株主の支持が必要だと話した。
IT- ●SpaceXとTeslaの取締役会が、それぞれ合併を話し合う特別委員会を設けたと、両社のCEOのマスク氏が10月20日のSpaceXの決算説明会で明らかにした
- ●委員会は独立した取締役でつくり、マスク氏は利害が対立する立場のため加わらない。条件はまだ決まっておらず、実現する保証はない
- ●マスク氏は合併を「良い考え」としたが、Tesla側ではすべての株の過半数の賛成が必要で「かなり高いハードル」だと話した
米国株でTeslaやSpaceXの株を持っている人には、株の値段に関わる大きな話だ。ただ、まだ委員会ができた段階で、合併が決まったわけではない。Teslaの車やStarlinkを使っている人にとって、今すぐ何かが変わるわけでもない。
Teslaは10月21日(米国時間)に決算を発表し、12月3日に株主総会を開く予定だ。10月19日に出した株主総会の資料には、合併の提案は含まれていない。合併の条件が示されるかどうか、示されるならいつかが、次の焦点になる。
宇宙企業SpaceXと電気自動車のTeslaの取締役会が、それぞれ合併の考えを話し合う「特別委員会」を設けた。両社のCEOを務めるイーロン・マスク氏が2026年10月20日(米国時間)、SpaceXの決算説明会で、アナリストの質問に答えて明らかにした。米NBC NewsやFortune、CNBCが伝えた。
マスク氏が話したこと
報道によると、マスク氏の発言は次のとおりだ。
- 委員会ができた: 両社の取締役会が、それぞれ特別委員会を設けた。株主からの求めを受けたもので、独立した取締役でつくっているという。メンバーの名前は明かしていない
- 自分は加わらない: マスク氏は、証券の規制の上で利害が対立する立場にあるため、どちらの委員会にも入らず、話し合いにも関わらないとした
- 何も決まっていない: 委員会は取引の条件で合意しておらず、合意する保証もない。「合併が確実だと思っている人もいるが、それは言い過ぎだ」と話した
- 本人の考え: 「良い考えだと思うか。思う。でも最後は、株主が支持しなければならない」と述べた
- 高いハードル: Tesla側では、投票した株だけでなく、すべての株の50%の賛成が必要で、「かなり高いハードルだ」とした
特別委員会は、経営者が両方の会社に関わるなど、利害がぶつかるおそれがあるときに、その人を外して、独立した取締役だけで、会社と株主にとって良い取引かどうかを調べる仕組みだ。
なぜ合併の話が出るのか
両社はすでに、いくつかの分野で重なっている。
- AIの会社: Teslaが10月19日に出した書類によると、SpaceXは2026年2月、マスク氏のAIの会社xAIとSNSのXをまとめた会社を買収した。Teslaは1月にxAIへ約20億ドルを投資する契約を結んでおり、その権利はSpaceXの株を取得する権利に変わり、投資を終えている
- 半導体の工場: Fortuneによると、マスク氏は、AIのソフトや半導体の設計、ロボット、通信での協力を挙げた。両社は、テキサス州に巨大な半導体の工場「Terafab」を共同で計画している
- 取締役の重なり: Teslaの取締役のアイラ・エーレンプライス氏は、2026年2月からSpaceXの取締役も務めている
Fortuneによると、10月20日の終値で、2社の時価総額を合わせると約3兆5,000億ドルになる。SpaceXが約2兆ドル、Teslaが1兆5,000億ドル近い。マスク氏はTeslaの株の約20%、SpaceXの株の45%を持っていて、SpaceXでは議決権の約82%を握っているという。SpaceXは2026年6月に株式を上場している。
SpaceXの決算も好調
CNBCによると、SpaceXの7〜9月の売上高は前の年の同じ時期より161%増え、純利益は44億ドルだった。AIの事業(「Super Intelligence」と呼ぶ)の売上高は75億6,000万ドルで、衛星インターネット「Starlink」を中心とする通信の事業の52億5,000万ドルを上回った。Starlinkの利用者は1,360万人に増えた。発表のあと、SpaceXの株は時間外の取引で約5%上がった。
かんたんに言うと
同じ人が社長を務める2つの大きな会社を、1つにするかどうかを話し合い始めた。ただ、社長本人が両方の側にいるので、話し合いには加わらず、それぞれの会社の独立した取締役が、株主にとって得かどうかを調べる。2つの家の親戚同士で、家をひとつにまとめる話が出たとき、両方の家の家長を兼ねている人は席を外し、それぞれの家の別の代表が条件を話し合う、という形に似ている(TECHNOVAの見方)。
日本ではどうなるのか
日本でも、Teslaの車は売られていて、Starlinkの衛星インターネットも使える。合併の話が進んでも、すぐにこれらのサービスが変わるわけではない。米国株でTeslaやSpaceXの株を持っている人は、委員会の検討の行方と、合併の条件が示されるかに注目したい。
まとめ
SpaceXとTeslaの取締役会が、それぞれ合併を話し合う特別委員会を設けた。マスク氏は合併を「良い考え」としつつも、委員会は何も合意しておらず、実現の保証はないと強調した。Tesla側ではすべての株の過半数の賛成が要り、ハードルは高い。合併の条件が示されるかどうかが、次の焦点になる。
- NBC News「Elon Musk says SpaceX and Tesla have formed special committees to discuss merger idea」(2026年10月20日)
- Fortune「Elon Musk says Tesla and SpaceX are weighing a $3.5 trillion merger—without him in the room」(2026年10月20日)
- CNBC「Musk says Tesla and SpaceX formed special committees to discuss merger: Live updates」(2026年10月20日)
- Tesla「2026 Proxy Statement」(米証券取引委員会への提出書類、2026年10月19日)
チェック済み。この記事は監修者によってチェックされました。(2026年10月21日)
代表取締役。工学部出身で、21歳で起業してからシステム会社の経営一筋で8期目。アプリの受託開発から始め、いまはAIを使ったシステムソリューションを手がけています。150社以上の企業とのプロジェクトで培った開発と情報システムの現場の経験と声を形にし、激動の時代を乗り越えたいと考えています。