銀河の中心から約3,500光年離れた巨大ブラックホール、星を引き裂く光で見つかる
米カリフォルニア大学バークレー校などの研究チームが、星が巨大ブラックホールに引き裂かれて光る現象を調べ直し、ブラックホールが銀河の中心から約3,500光年離れていたと報告した。なぜ中心を離れたのかは、まだはっきりしないという。
サイエンス- ●星が引き裂かれて光る現象を手がかりに、巨大ブラックホールを見つけた
- ●銀河の中心から、見かけの距離で約3,500光年離れた場所にあった
- ●中心を離れた理由は不明。小さな銀河との合体による可能性がある
すぐに暮らしに関わる話ではないが、ふだん見えないブラックホールを、星が壊れる光で探せることを示した。銀河が合体してきた歴史を知る手がかりになる。
論文は査読の前の段階で、内容が変わる可能性もある。チームは、細かく見分けられる電波の観測などで、同じようなブラックホールを探せるとしている。
米カリフォルニア大学バークレー校などの研究チームが、星が巨大ブラックホールに引き裂かれて光る現象「潮汐破壊」を調べ直し、そのブラックホールが銀河の中心から約1.08キロパーセク(約3,500光年)離れていたと報告した。論文は2026年9月28日に公開サイト「arXiv」に載ったもので、ほかの専門家による審査(査読)はまだ受けていない。
何が見つかったのか
対象は「TDE 2023mfm」と呼ばれる現象だ。米国の観測網「ZTF」が2023年6月28日に見つけ、星が引き裂かれた現象と分類されていた。チームは2026年に、ハッブル宇宙望遠鏡や電波望遠鏡群「VLA」などで撮り直し、光った場所を細かく調べた。
論文によると、光った場所は銀河の中心から0.66秒角(1秒角は1度の3,600分の1)ずれていた。距離に直すと約1.08キロパーセクで、空に映した見かけの距離だ。ブラックホールの重さは、太陽の100万〜1,000万倍ほどと見積もった。
銀河の中心にも、弱く光る別の巨大ブラックホールがあるとみられる。この銀河には、巨大ブラックホールが少なくとも2つあることになる。中国科学技術大学などのチームも、2026年4月のVLAの観測で、中心と光った場所の2か所から電波が出ているのを確かめ、米国天文学会の短報誌に報告している。
かんたんに言うと
巨大ブラックホールはふつう銀河の中心にあり、それ自体は光らないので見つけにくい。ところが星が近づきすぎると、強い重力で引き伸ばされて壊れ、明るく光る。この光を目印にすれば、中心を外れた「さまよう」ブラックホールも見つけられる。
NASAによると、この現象は1つの銀河では約10万年に1回ほどしか起きない。2024年より前は、銀河の中心でしか見つかっていなかった。
なぜ中心から離れたのか
論文は、理由は「はっきりしない」としている。そのうえで、小さな銀河が合体し、その銀河の中心にあったブラックホールが、今も中心へ向かって沈んでいく途中という可能性を挙げた。ハッブルの画像では、光った場所に太陽の1,000万〜1億倍ほどの星の集まりがあるようだ。合体で星をはぎ取られた小さな銀河の残りかもしれないという。
一方、2つのブラックホールが合体した反動で、中心からはじき出されたという説明は、中心に別のブラックホールがあることから否定している。
論文が示す限界
- 星の集まりは、たまたま手前や奥に重なった小さな銀河の可能性もある。年齢や重さを決めるには、さらに観測が要る
- 電波は、見つかってから1年以上たって出始めた。後から噴き出したガスが原因とみているが、確かめるにはさらに観測が要るという
日本ではどうなるのか
この研究に日本の機関は加わっていない。日本の暮らしに直接の影響は無い。論文は査読の前の段階で、内容が変わる可能性もある。
まとめ
星が引き裂かれる光から、銀河の中心を離れた巨大ブラックホールが見つかった。なぜそこにあるのかは、まだ分かっていない。論文は、細かく見分けられる観測が、こうしたブラックホールを探す鍵になるとしている。
- Sfaradi ほか「An Off-Nuclear Tidal Disruption Event Discovered At Late Times: The Case Of TDE 2023mfm」(arXiv・2026年9月28日・査読前)
- Li ほか「VLA Observations Confirm AT 2023mfm as an Off-nuclear Tidal Disruption Event」(Research Notes of the AAS 10, 153・2026年)
- NASA「NASA’s Swift Sees ‘Wandering’ Mega Black Hole Shredding Star」(2026年7月27日)
チェック済み。この記事は監修者によってチェックされました。(2026年10月23日)
代表取締役。工学部出身で、21歳で起業してからシステム会社の経営一筋で8期目。アプリの受託開発から始め、いまはAIを使ったシステムソリューションを手がけています。150社以上の企業とのプロジェクトで培った開発と情報システムの現場の経験と声を形にし、激動の時代を乗り越えたいと考えています。