東京大学、「富岳」で全球大気を220m間隔で計算、雲の内部構造を細かく再現
東京大学は「富岳」を使い、地球全体の大気を水平格子間隔220mで計算したと発表した。同大学によると全球大気計算で世界最高の解像度。積乱雲の内部を細かく表す一方、雲の再現には乱流の表現方法の改良も必要だという。
サイエンス- ●東京大学が「富岳」で地球全体の大気を220m間隔で計算
- ●東京大学によると、積乱雲の内部構造をより細かく表現
- ●雲の再現には、格子の細かさと空気の乱れの扱いが重要
豪雨や気候変動の予測に関心がある人にとって、その土台となる雲の計算を知る研究だ。
今回の成果は、豪雨や気候変動をより高精度に予測するモデルの開発に役立つ可能性がある。
東京大学は2026年10月8日、地球全体の大気を細かな区切りで計算した研究成果を発表した。日本のスーパーコンピュータ「富岳」を使い、雲の内部構造や雨の表現の変化を調べた。
地球全体を220m間隔で計算
研究を行ったのは、東京大学大気海洋研究所の松岸修平特任研究員、佐藤正樹教授、大野知紀助教らだ。
東京大学によると、今回の計算の水平格子間隔は220m。これは地球全体を対象とする大気計算で、世界最高の解像度だとしている。従来の最高解像度は水平格子間隔870mだったという。
研究では、水平格子間隔3.5kmから220mまで、段階的に細かくした計算結果を比較した。単に細かな計算を実現するだけでなく、雲や雨の表れ方がどう変わるかを調べた点が重要だ。
かんたんに言うと、地球に細かな方眼をかける
大気モデルとは、地球の大気を格子に分け、風・気温・水蒸気・雲などの変化を計算する仕組みだ。地球に方眼紙をかぶせ、それぞれの区画の空気の状態を計算する、と考えると分かりやすい。
解像度は、その方眼の細かさに当たる。東京大学によると、格子を細かくすると小さな現象を表せるが、計算量は急増する。
使用したNICAMは、日本で開発されてきた高解像度の全球大気モデルだ。「全球」は地球全体を意味する。東京大学によると、NICAMは地球全体で雲の生成・消滅を直接計算する。
220mの計算は、ラージエディシミュレーションと位置づけられた。大きな空気の渦は直接計算し、小さな渦の影響はモデルで扱う方法だ。細かな方眼でも、その区画より小さな動きまで直接計算するわけではない。
雲は細かくなったが、課題もある
東京大学によると、高解像度化によって積乱雲の内部構造がより細かく表現された。狭い範囲に集中しすぎる強い雨も抑えられたという。
一方で、雲の量の変化は一様ではなかった。低層雲の量は減少したが、上層雲の量の変化は計算方法によって異なったとしている。
研究では、格子より小さく直接計算できない乱流について、二つの設定を比較した。乱流とは、空気の流れが複雑に乱れる動きのことだ。東京大学は、雲の再現には高解像度化だけでなく、乱流の表現方法の改良も必要だとしている。
まとめ
今回の成果は、地球全体の大気を細かく計算したことに加え、雲の再現に残る課題を示した点に意味がある。格子の細かさと、小さな空気の動きをどう扱うかの両方が問われる研究だ。
東京大学は、成果が豪雨や気候変動をより高精度に予測するモデル開発に役立つと期待している。今回の比較が、雲や雨の計算方法を改良する手がかりになる可能性がある。