NASA、既知で最遠の高速電波バーストを測距、起源を探る手がかりに
NASAは、既知で最遠の高速電波バーストの測距結果を発表した。ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡が発生元の小さな銀河を特定。研究チームは、若い星が多い銀河の特徴から、電波の閃光が生じた仕組みを検討している。
サイエンス- ●NASAが既知で最遠の高速電波バーストの測距結果を発表
- ●発生元は、活発に星を生む小さな銀河だった
- ●電波の信号に、途中で通過した銀河団の痕跡も確認
宇宙の謎に関心がある人にとって、一瞬の電波から発生元や途中の物質を探る研究だ。
新たな電波望遠鏡や機器の稼働で、遠い高速電波バーストの発見が増える可能性がある。
NASAは2026年10月8日(米国時間)、既知で最遠の高速電波バーストの測距結果を発表した。発生元の銀河の特徴は、この現象が生じる仕組みを探る手がかりになったとしている。
何が発表されたのか
高速電波バースト(FRB)は、遠い宇宙で数ミリ秒だけ光る電波の閃光だ。2007年に初めて発見され、発生源はまだ確定していない。大半は一度しか観測されず、繰り返し確認されていない。
対象のFRB 20240304Bは、2024年3月4日に検出された。MeerTRAPチームがMeerKAT望遠鏡で電波を捉えた。
NASAによると、地上の最大級の望遠鏡でも発生元の銀河は見えなかった。これを特定したのが、ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡だ。
研究チームは、銀河の赤方偏移を2.148と測定した。赤方偏移は、光が赤い側にずれる現象を表す言葉だ。今回の測距では、この値が遠さを示す手がかりになっている。
研究チームによると、このFRBはビッグバンから30億年後に発生した。研究論文は2026年10月8日、科学誌Scienceに掲載された。
かんたんに言うと、閃光の「住所」を調べた
一瞬だけ見えた光について、どの家から出たのかを調べるような研究だ。電波を捉えるだけでなく、発生元の銀河を特定した点が重要になる。
研究チームによると、発生元は活発に星を生む小さな矮小銀河だった。矮小銀河とは、小さな銀河のことだ。その質量は予想の1000分の1だったとしている。
この銀河は、星の誕生が最も盛んだった「宇宙の正午」の時期に存在した。チームは、星の大半が3000万年以内に形成された可能性を指摘している。
FRBの起源には、2つの中性子星が合体するという仮説がある。一方、超新星爆発後に残るマグネターから生じるという仮説もある。マグネターは、強い磁場を持つ若い中性子星だ。
NASAによると、中性子星が接近して合体する過程には数十億年かかる見込みだ。チームは今回、合体で生じた可能性は極めて低いと指摘した。銀河の星の若さと、合体に必要な時間を照らし合わせた判断だ。
信号は、道中に何があったかを伝える「通過記録」にもなる。チームは地球から約35億光年の未発見だった銀河団の痕跡を確認した。銀河団は、銀河が集まったものだ。
日本では
日本との関わりは発表には書かれていない。
まとめ
今回の成果は、遠いFRBの測距と、その起源を検討する材料を得たことだ。発生源が確定したわけではない。
NASAによると、新たな電波望遠鏡や機器の稼働で、遠いFRBの発見が増える可能性がある。観測が重なれば、一瞬の閃光の正体を絞る手がかりも増える可能性がある。