大阪大学、免疫のブレーキ役「制御性T細胞」の発生を促すタンパク質の働きを発見
大阪大学は、タンパク質のMBD3が、免疫反応を抑える制御性T細胞の分化を促すと発表した。マウスの解析で、その役割を確認したという。研究成果は2026年10月15日(日本時間)に科学誌へ掲載された。
サイエンス- ●大阪大学が、免疫を抑える細胞の発生を促すタンパク質の働きを発見
- ●MBD3を欠くマウスでは、制御性T細胞とその前段階の細胞が減少
- ●成果は2026年10月15日(日本時間)に科学誌へ掲載
免疫が自分自身を攻撃する病気に関心がある人にとって、免疫を抑える細胞の成り立ちを知る研究だ。
制御性T細胞の分化を調節する方法が確立すれば、免疫関連疾患の新たな治療法につながる可能性がある。
大阪大学は、タンパク質のMBD3が、免疫反応を抑える制御性T細胞の分化を促すと発表した。研究成果は2026年10月15日(日本時間)に米国科学誌のオンライン版に掲載された。
何が発見されたのか
研究したのは、大阪大学のLong Jia、市山健司、坂口志文らだ。MBD3は、遺伝子の働きや細胞の分化を調節するタンパク質である。分化とは、細胞が特定の役割を持つ細胞になることを指す。
今回の研究で注目したのは、胸腺という器官で起きる制御性T細胞の分化だ。制御性T細胞は、免疫を担うT細胞の一種で、免疫反応を抑える働きを持つ。その大部分は胸腺で分化し、自分自身への免疫攻撃を防ぐ仕組みを支えている。
大阪大学によると、MBD3は、この制御性T細胞ができる過程を促していたという。
かんたんに言うと
免疫を車にたとえるなら、制御性T細胞はブレーキ役に当たる。今回の研究は、ブレーキ役の細胞を生み出す過程で、MBD3がどのように働くかを調べたものだ。
鍵となるのがCD25である。これは、免疫に関わる物質であるIL-2を受け取る受容体の構成要素の一つだ。受容体は、細胞が特定の信号を受け取るための「受け口」と考えると分かりやすい。
大阪大学によると、MBD3は遺伝子の働きを高め、CD25が作られるのを促した。その結果、制御性T細胞になる前段階の細胞への分化につながったという。
マウスの解析で分かったこと
研究グループは、T細胞でMBD3を欠くように遺伝子を改変したマウスを解析した。
大阪大学によると、このマウスでは胸腺の制御性T細胞と、その前段階の細胞の割合が減った。また、免疫が自分自身を攻撃する自己免疫疾患を複数の臓器で発症し、命に関わる状態になったという。
膵臓、肺、胃には、炎症に関わる細胞が入り込む様子が目立った。血中では、自分自身に反応する抗体も過剰に作られていたという。研究は、MBD3を欠いた場合の細胞の変化と、自己免疫疾患の発症を捉えたものだ。
まとめ
今回の成果は、免疫のブレーキ役が生まれる過程に、MBD3が関わることを示した研究である。中心となる根拠は、遺伝子を改変したマウスの解析だ。
大阪大学は、制御性T細胞の分化を調節する方法が確立すれば、免疫関連疾患の新たな治療法につながると期待している。細胞ができる仕組みの理解が、免疫反応を調節する方法の研究につながる可能性がある。
チェック済み。この記事は監修者によってチェックされました。(2026年10月16日)
代表取締役。工学部出身で、21歳で起業してからシステム会社の経営一筋で8期目。アプリの受託開発から始め、いまはAIを使ったシステムソリューションを手がけています。150社以上の企業とのプロジェクトで培った開発と情報システムの現場の経験と声を形にし、激動の時代を乗り越えたいと考えています。