京都大学、膵臓と肝臓に共通する血糖調節因子を解明、糖尿病の新治療を目指す
京都大学は、タンパク質CA8が膵臓と肝臓に共通する血糖調節因子だと発表した。マウスなどの研究で、インスリン分泌と肝臓の糖産生への関与を確認。臓器ごとの変化を捉え、2型糖尿病の新治療を目指す。
サイエンス- ●京都大学が膵臓と肝臓に共通する血糖調節因子CA8を解明
- ●CA8を欠くマウスでは、インスリン分泌と糖産生がともに増加
- ●肝臓でCA8を回復させると、空腹時血糖が抑えられた
2型糖尿病が気になる人にとって、血糖値を膵臓と肝臓の両面から捉える研究だ。
膵臓と肝臓それぞれの状態に応じた、2型糖尿病の新治療の開発につながる可能性がある。
京都大学は2026年10月13日、膵臓と肝臓に共通する血糖調節の仕組みを解明したと発表した。タンパク質CA8が、両方の臓器で血糖値の調節に関わるとしている。
何が明らかになったのか
血糖値は、血液中の糖の量を示す値だ。京都大学の説明では、食後は膵β細胞からのインスリン分泌が血糖値を調節する。膵β細胞は、膵臓でインスリンを分泌する細胞である。一方、空腹時には肝臓が糖を作る働きが血糖値を調節する。
今回の研究は、この両方に関わるCA8に着目したものだ。京都大学大学院医学研究科の研究グループが取り組んだ。村上隆亮助教、ムハンマド・ファウジ博士研究員、矢部大介教授らが参加した。
かんたんに言うと
食後と空腹時の血糖調節は、別々の担当者が働く仕組みにたとえられる。食後の担当が膵臓、空腹時の担当が肝臓だ。今回見つかったCA8は、両方の担当者に備わる「調節つまみ」のような存在である。
京大によると、CA8はIP3R1を介して働く。IP3R1は、細胞内のカルシウム信号に関わる仕組みだ。CA8は、その信号の強さを調節するという。ここでいう信号は、細胞内でカルシウムを通じて伝わる合図のことだ。
同じ調節因子でも、膵臓と肝臓では関わる働きが異なる。膵臓ではインスリンの分泌、肝臓では糖を作る働きが研究の対象となった。
マウスなどの研究で何が起きたか
京大によると、CA8を欠くマウスでは、インスリン分泌と肝臓の糖産生がともに増加した。
また、肥満・2型糖尿病モデルでは、臓器によって逆の変化が見られた。膵島ではCA8が増加し、肝細胞では減少したという。膵島は、膵臓の中でインスリン分泌に関わる細胞が集まる部分だ。
肝臓でCA8を回復させると、過剰な糖産生と空腹時血糖が抑えられたとしている。これらは研究で得られた結果であり、新治療の提供開始を知らせる発表ではない。成果は米国の国際学術誌「Science Advances」にオンライン掲載された。
まとめ
今回の研究は、血糖調節を膵臓と肝臓に共通する因子から捉えたものだ。京大は、臓器間で逆方向に起きるCA8の変化が、分泌低下と過剰な糖産生を招く可能性を示している。
村上隆亮助教は、両臓器を一体で捉えた新治療の開発を目指す。各臓器の状態に応じて働きかける治療につながる可能性がある。
チェック済み。この記事は監修者によってチェックされました。(2026年10月13日)
代表取締役。工学部出身で、21歳で起業してからシステム会社の経営一筋で8期目。アプリの受託開発から始め、いまはAIを使ったシステムソリューションを手がけています。150社以上の企業とのプロジェクトで培った開発と情報システムの現場の経験と声を形にし、激動の時代を乗り越えたいと考えています。