日本人の食事の質、いちばん低いのは10代後半〜20代前半 東大が1〜79歳4,455人の8日分の食事記録を分析
東京大学の研究グループは、1〜79歳の日本人4,455人が季節ごとに記録した計8日分の食事を分析し、食事の質は男女とも思春期から若い大人の時期にいちばん低く、中高年では比較的高いと発表した。世帯の収入や教育歴、朝食を抜くこと、喫煙なども食事の質と関係していた。
サイエンス- ●東大のグループが、1〜79歳の4,455人の計8日分の食事記録から、年齢と性別による食事の質の違いを調べた
- ●食事の質は男女とも思春期から若い大人の時期に最も低く、最も低い年齢は16〜24歳ごろだった
- ●世帯収入や教育歴、朝食を抜くこと、喫煙、働き方なども食事の質と関係していた
10代後半から20代の人や、その年ごろの子どもがいる家庭は、食事のバランスを見直すきっかけにできる。朝食を抜く人ほど食事の質が低い傾向もみられた。ただし、一時点の比較で、朝食を抜くことが原因だと示したものではない。
研究グループは、思春期から若い大人の時期が、食生活を支えるうえで大事な年代だとしている。一人ひとりの生活習慣だけでなく、収入などの暮らしの状況にも目を向けた支えが要るという。
食事の内容がいちばん偏りやすいのは、何歳ごろなのか。東京大学大学院医学系研究科の大久保公美特任教授、村上健太郎教授らの研究グループは2026年10月16日、1〜79歳の日本人4,455人の食事の記録を分析した結果を発表した。食事の質は、男女とも思春期から若い大人の時期にいちばん低く、中高年では比較的高かった。研究の成果は、英国の栄養学の学術誌「British Journal of Nutrition」に載った。
どうやって調べたのか
研究グループは、全国32の都道府県に住む1〜79歳の4,455人に、春夏秋冬の4つの季節にそれぞれ2日ずつ、計8日分、食べたものと飲んだものの種類と量を記録してもらった。
食事の良しあしは、2つの物差しで点数にした。
- HEI-2020: アメリカの食事の指針にどれだけ沿っているかを測る。野菜、果物、全粒穀物、乳製品、たんぱく質、脂肪の種類、塩分など13の項目で、100点満点。日本人に当てはめられることも報告されている
- NRF9.3: とりたい9つの栄養素(たんぱく質、食物繊維、ビタミン、ミネラルなど)がどれだけ足りているかと、控えたい3つ(砂糖などの添加された糖、飽和脂肪酸、塩分)のとりすぎから測る。理論上の最高点は900点
ある栄養素や食品だけを見るのではなく、食事の全体がどれだけ望ましいかをまとめて評価する方法だ。
わかったこと
いちばん低いのは16〜24歳ごろ
どちらの物差しでも、食事の質は思春期から若い大人の時期に低く、中高年では比較的高い、という同じ傾向がみられた。点数がいちばん低くなった年齢は次のとおり。
| 物差し | 女性 | 男性 |
|---|---|---|
| HEI-2020 | 16.1歳 | 23.4歳 |
| NRF9.3 | 24歳 | 24歳 |
収入や朝食、喫煙とも関係
子どもでは、世帯の収入や父母の教育歴が高いほど食事の質が高く、朝食を抜く子は低い傾向があった。大人でも、世帯の収入や本人の教育歴が高いほど質が高く、たばこを吸う人や朝食を抜く人は低い傾向があった。こうした関係の出方は、年齢や性別、物差しによって違った。
結果を読むときの注意
研究グループは、2つの注意点を挙げている。
まず、この研究は、いろいろな年齢の人を同じ時期に比べた「横断研究」だ。同じ人が年を取るにつれて食事の質がどう変わるかを、直接追いかけたものではない。「24歳ごろに食事が悪くなり、年を取ると良くなる」と言い切れるわけではない。朝食を抜くことや収入との関係も、どちらが原因かまでは示していない。
次に、参加した人は、一般の日本人より健康への関心が高い可能性がある。結果を日本人全体にそのまま当てはめるのには注意が要る。
なぜこの研究が大事なのか
これまでも、子どもや思春期、若い大人の食事の質が低い傾向は報告されていた。ただ、その多くは欧米の研究だった。研究グループによると、日本人で、幼い子どもから高齢者までを同じやり方で、くわしい食事の記録を使って比べたのが、この研究の特徴だ。
思春期から20代前半は、親元を離れたり、部活や受験、就職などで生活が大きく変わったりする時期でもある。研究グループは、この年代が食生活を支えるうえで大事な時期だと示す基礎資料になるとしている。
かんたんに言うと
日本人の食事を年齢ごとに「通信簿」のように点数をつけたら、いちばん点が低かったのは10代後半から20代前半だった。家の収入や朝ごはんを食べるかどうか、たばこなども、点数と関わっていた。
日本ではどうなるのか
研究グループは、健康的な食生活を支えるには、一人ひとりの食べ方だけでなく、それぞれの年代を取り巻く暮らしの環境や経済的な状況にも目を向けることが大事だとしている。年齢や性別に合わせた支え方を考えるための基礎資料になると期待している。研究は、厚生労働科学研究費の支援を受けて行われた。
まとめ
東京大学の研究グループは、1〜79歳の日本人4,455人の8日分の食事記録から、食事の質が思春期から若い大人の時期にいちばん低く、中高年で比較的高いことを示した。収入や教育歴、朝食を抜くこと、喫煙なども関わっていた。一時点の比較なので、原因まではわからないが、若い世代の食生活をどう支えるかを考える材料になる。
チェック済み。この記事は監修者によってチェックされました。(2026年10月16日)
代表取締役。工学部出身で、21歳で起業してからシステム会社の経営一筋で8期目。アプリの受託開発から始め、いまはAIを使ったシステムソリューションを手がけています。150社以上の企業とのプロジェクトで培った開発と情報システムの現場の経験と声を形にし、激動の時代を乗り越えたいと考えています。