CSIRO、太陽光で大気からCO₂を回収する冷蔵庫大の試作機を実地試験へ
CSIROは、Banyu Carbonが太陽光を使う炭素回収試作機を実地研究施設で試す計画を発表した。光に反応する色素を繰り返し使い、屋外での性能を確かめる。今回の試験では、回収したCO₂は貯留しない。
サイエンス- ●Banyu Carbonの炭素回収試作機をCSIROの施設で試験へ
- ●CSIROによると、光に反応する色素でCO₂を回収する
- ●今回の試験では回収したCO₂を貯留せず、大気へ戻す予定
気候対策に関心がある人にとって、CO₂を空気から回収することと、貯留することの違いを知る研究だ。
屋外での性能検証を経て、CO₂の回収から地下注入までを一貫して確かめる実証につながる可能性がある。
オーストラリア連邦科学産業研究機構(CSIRO)は、Banyu Carbonが太陽光を使う炭素回収試作機を施設で試験する計画を発表した。冷蔵庫ほどの装置を使い、屋外で数日間にわたる性能を検証する。
冷蔵庫ほどの装置を屋外で試す
試験場所は、西オーストラリア州にあるCSIROの実地研究施設ISLだ。CSIROによると、ISLで炭素回収技術を試すのは今回が初めてとなる。
Banyu Carbonは2026年9月に試作機をパースへ発送した。担当チームは現地入りし、1カ月間の試験を準備している。同社によると、試作機は従来動かした装置の10〜20倍の規模だ。
今回の狙いは、太陽光を使った仕組みが屋外でどう働くかを確かめることだ。ただし、回収した二酸化炭素(CO₂)は貯留せず、大気へ放出する予定だ。空気から回収する試験であり、回収後にためておく工程までは含まない。
かんたんに言うと、光で切り替わる回収役
DACとは、大気からCO₂を直接回収する技術を指す。今回の装置は、光に反応する化合物「光酸」を色素として使う。基礎となる化学技術は、2013年にCSIROの研究者が実証した。
CSIROによると、まず色素を含む水溶液を空気と接触させる。色素は暗い場所でCO₂を吸収するという。次に、その溶液を透明なパネルに流し、太陽光でCO₂を放出させる。溶液は回収工程へ戻し、繰り返し使うとしている。
たとえるなら、色素はCO₂を受け取り、光を合図に手放す回収役だ。同じ回収役を何度も巡回させるイメージである。CSIROは、この化学技術では従来の回収方式で必要な加熱を使わないとしている。
日本では研究との関わりは不明
日本との関わりは発表には書かれていない。今回示された試験場所は、西オーストラリア州のISLだ。
まとめ
今回の実地試験では、屋外で太陽光を使う際の性能を確かめる。回収したCO₂は大気へ戻すため、貯留までを実証する試験とは区別して捉える必要がある。
CSIROでは、回収したCO₂の地下注入まで一貫して実証する協議が進んでいる。ISLは、CO₂貯留研究と並行して別のDAC技術も試すことを目指す。今回の検証が、回収から貯留までをつなぐ研究の足がかりになる可能性がある。
チェック済み。この記事は監修者によってチェックされました。(2026年10月20日)
代表取締役。工学部出身で、21歳で起業してからシステム会社の経営一筋で8期目。アプリの受託開発から始め、いまはAIを使ったシステムソリューションを手がけています。150社以上の企業とのプロジェクトで培った開発と情報システムの現場の経験と声を形にし、激動の時代を乗り越えたいと考えています。