ETH Zurich発のWinduction、停車中にタイヤ経由で電気バスを充電
ETH Zurich発のWinductionが、停車中にタイヤ経由で電気バスを充電する仕組みを開発した。試作車で無線充電を実演し、電池の小型化や費用削減を目指す。走行中に充電する技術ではなく、日本との関わりは未発表だ。
サイエンス- ●Winductionがタイヤ経由の充電を試作バスで実演
- ●充電するのは走行中ではなく、バス停などでの停車中
- ●2028年に最初の試験運行を計画している
電気バスを利用する人にとって、停車時間を充電に使う仕組みの研究だ。
2028年に計画する試験運行で、乗客を運ぶ実際の運行条件での検証が進む可能性がある。
ETH Zurich(スイス連邦工科大学チューリヒ校)は2026年10月5日付の発表で、同校発のWinductionによる電気バスの充電技術を紹介した。タイヤを通して電力を受け取る仕組みで、最初の試作車で無線充電を実演した。
何が発表されたのか
特徴は、バス停などで停車している間に充電する点だ。走行中に電気を受け取る仕組みではない。運行中の停車時間を使って、車載電池に電力を補う。
路面には、電力網につながる給電板を埋め込む。専用タイヤにはコイル(導線を巻いた部品)を組み込み、受け取った電力を車載電池へ送る。
Winductionによると、短い停車でも充電できるという。運行中に電力を補うことで、車載電池を小さくできるとしている。電池の小型化は、バスの購入・運行費用の抑制にもつながるという。
かんたんに言うと
この技術は「誘導充電」を使う。コイル同士を磁場(磁力が働く空間)で結び、ケーブルなしで電力を送る方式だ。停留所を、バスが一息つく間に電力を補給する場所にする、と考えると分かりやすい。
従来の無線充電は、路面と車体底部のコイルの間で電力を送る。距離が離れるほど効率が下がる。Winductionは、車輪内にコイルを置けば送電距離を短くできるとしている。同社によると、路面から車両への電力伝送効率は90%超だ。
ただし、通常のバスタイヤをそのまま使うわけではない。タイヤに含まれる鋼材が磁場に反応し、送る電力の多くを熱に変えてしまうためだ。同社は協力企業と、鋼材を使わない専用タイヤを開発している。
専用タイヤは高価になる。一方、Winductionはバス全体の費用への影響は小さいとする。
日本では
日本との関わりは発表には書かれていない。今回示されたのは、スイスでの開発と路線を対象にした試算だ。
費用の試算対象は、チューリヒ空港と市内のエルリコン地区を結ぶバス路線だ。同社の試算では、24カ所の停留所のうち2カ所に給電板を置けば足りる。16時間の運行中に計3時間充電する想定だ。
現在、この路線の電気バスは夜間に車庫で5時間、一斉に充電している。同社は、昼間に充電を分散すれば、電力網の負荷の集中を抑えられるとしている。
まとめ
タイヤ経由の充電は、停車時間を使って電池を補う技術だ。試作車での実演は済んだが、路線ごとの費用削減幅は算定中である。
Winductionは、最初の試験運行を2028年に計画している。チューリヒ空港周辺が候補で、実際の運行条件で初めて乗客を運ぶ予定だ。今後は、実際の路線で充電と運行を両立できるかの検証が進む可能性がある。
チェック済み。この記事は監修者によってチェックされました。(2026年10月12日)
代表取締役。工学部出身で、21歳で起業してからシステム会社の経営一筋で8期目。アプリの受託開発から始め、いまはAIを使ったシステムソリューションを手がけています。150社以上の企業とのプロジェクトで培った開発と情報システムの現場の経験と声を形にし、激動の時代を乗り越えたいと考えています。