中国科学院がジカワクチン研究の進展を発表、サルでの防御効果と感染悪化対策
中国科学院は、ジカウイルスのワクチンがサルで防御効果を示し、抗体が感染を悪化させるリスクも除いたと発表した。ウイルスの外側のタンパク質を一部改変した研究で、日本との関わりは発表には書かれていない。
サイエンス- ●中国科学院がジカワクチンの研究成果を発表
- ●サルで防御効果と感染悪化リスクの除去を報告
- ●日本との関わりは発表には書かれていない
感染症の予防に関心がある人にとって、ワクチンの防御効果と感染を悪化させるリスクを併せて調べた研究だ。
中国科学院は、今回の成果が今後のジカワクチンの臨床評価に向けた基盤になるとしている。
中国科学院が、霊長類を使ったジカウイルスワクチン研究の進展を発表した。マカク属のサルで防御効果を示し、抗体が感染を悪化させるリスクも除いたとしている。
何が発表されたのか
研究を主導したのは、中国科学院微生物研究所と中国医学科学院医学生物学研究所の研究者だ。成果は10月7日に「Cell Reports Medicine」で報告された。
ジカウイルスは蚊が媒介し、新生児の小頭症を引き起こすことがある。中国科学院によると、ジカウイルスに対する承認済みワクチンはない。
今回のワクチンは、ウイルスの外側にあるタンパク質の一部を改変したものだ。改変したのは「融合ループ」と呼ばれる領域である。研究では、感染を防ぐ効果だけでなく、抗体による感染悪化のリスクも調べた。
かんたんに言うと
抗体は、ウイルスを狙う体内の防御役にたとえられる。ただし、防御役が逆に感染を悪化させる場合がある。これが抗体依存性感染増強(ADE)という現象だ。
中国科学院によると、ジカへの既存免疫は、デング感染を悪化させるADEのリスクを高め得る。つまり、ジカを防ぐ働きと、別の感染を悪化させないことの両方が研究の焦点になる。
同院は、今回のワクチンがサルで防御効果を示し、ADEのリスクを除いたとしている。先行研究の「MutB」でも、マウスで母子を守り、ADEを除いたという。
抗体の働きも詳しく分析した。中国科学院によると、ワクチンで誘導されたB細胞(抗体を作る働きを担う細胞)の97%超が、ジカウイルスに特異的だった。これは、狙う相手がジカウイルスに絞られていたという意味だ。
分析した抗体は、ウイルスの侵入を複数の段階で阻止するとしている。さらに、電子顕微鏡による分析で、抗体が狙うウイルスの弱点を確認したという。
日本では
日本との関わりは発表には書かれていない。今回報告されたのはサルを使った研究の成果で、日本で利用できるワクチンの案内ではない。
研究の進展と、接種できる製品の提供は分けて受け止める必要がある。今回の防御効果やADEに関する説明は、中国科学院が報告した研究結果だ。
まとめ
今回の研究は、ジカウイルスへの防御と、抗体による感染悪化への対策を併せて示したものだ。中国科学院は、成果が今後のジカワクチンの臨床評価に向けた基盤になるとしている。人を対象にした評価につながるかが、この先の注目点となりそうだ。
チェック済み。この記事は監修者によってチェックされました。(2026年10月12日)
代表取締役。工学部出身で、21歳で起業してからシステム会社の経営一筋で8期目。アプリの受託開発から始め、いまはAIを使ったシステムソリューションを手がけています。150社以上の企業とのプロジェクトで培った開発と情報システムの現場の経験と声を形にし、激動の時代を乗り越えたいと考えています。