ボイジャー1号の交信が2日途絶えて回復 スラスターが自動で予備に
約240億km先のボイジャー1号から、10月18日と19日の2回続けて電波が届かなかった。20日に信号は戻り、調べるとスラスターの一組が自動で予備に切り替わっていたが、途絶の原因はまだ分かっていない。
サイエンス- ●10月18日と19日の交信で信号が届かず、20日に指令を送る前に戻った
- ●調べると、スラスターの一組が止まって自動で予備に替わっていた
- ●9月の節電「ビッグバン」で、2027年夏にも迫った観測装置の停止を延ばした
11月18日に1光日へ届くというニュースも、今回の2日間を知っていると重みが違って見える。声をかけても、返事は2日後に届く相手だ。
11月18日には地球から1光日に届き、電波は片道で24時間かかるようになる。交信が途切れた原因の調査も、その遠さの中で続く。
1977年に打ち上げられたボイジャー1号から、2日続けて電波が届かなかった。NASAが10月29日にブログで明かした経緯によると、地上のアンテナは10月18日と19日、24時間おきに予定した2回の交信で、どちらも信号をとらえられなかった。
信号が戻ったのは、さらに24時間後の20日だ。チームが原因を探る指令を送るより先に、ひとりでに戻った。以来、交信は続いている。
ボイジャー1号は今、地球から約240億km先にいる。電波でも片道1日近くかかり、11月18日には1光日の約258億9,000万kmに届く。プロジェクトマネージャーのスザンヌ・ドッド氏は「ボイジャーに『こんにちは』と言いたければ、メッセージを送って家に帰り、2日待って、ようやく返事が届く」と話す。
止まったのは、向きを保つスラスター
チームが調べたところ、スラスターの一組が止まり、予備の組に切り替わっていた。スラスターは機体の向きを変える小さなエンジンだが、通信とも切り離せない。NASAの2025年の解説によると、ボイジャーはスラスターで機体を上下左右にそっと振り、アンテナを地球に向け続けている。データを送るのも、指令を受け取るのも、このアンテナだ。
予備への切り替えは、使っているスラスターの異常を機体のコンピューターが検知すると、自動で起きるように組まれている。NASAはこの自動の対応を「フォールトプロテクション」と呼ぶ。機体を安全で安定した状態に置いてふだんの運用をいったん止め、技術者が原因を調べて手を打つまでの時間をつくる仕組みだ。
ミッションマネージャーのカリーム・バダルディン氏は「探査機がこういう動きをするのを見たのは初めてだ。ただ、ミッションはもう、想定外のことを想定しておかなければならない段階に来ている」と話す。
とはいえ、交信が途切れた原因は、まだ調べている最中だ。スラスターの切り替えと途絶がどう関係するのかも、今のところ説明されていない。
温める装置を、3つ同時に
9月の初めには、もう1つの大仕事を終えていた。チームが「ビッグバン」と呼ぶ節電の作業だ。
ボイジャーの電源は原子力電池である。プルトニウムが崩壊するときの熱を、電気に変える装置だ。プルトニウムが減るにつれて、電力は2機とも毎年約4ワットずつ落ちる。チームは欠かせない機器以外を順に止め、ここ数年で観測装置も2つ止めた。
ビッグバンでは、機体を動ける温度に保つための装置を3つ止め、消費電力の小さい別の3つに置き換えた。この作業が珍しいのは、3つを同時に替える必要があったことだ。全部を一度に替えなければ、電力を減らすことと、熱を機体にきちんと行き渡らせることを両立できなかった。双子のボイジャー2号で同じ切り替えを済ませた、約6週間後のことだった。
この作業のおかげで、残る観測装置はこれまでの見込みより長く動かせる。見送っていれば、早ければ2027年夏にも、もう1つ止める必要があった。星間空間をじかに調べた探査機はボイジャーの2機しかなく、装置1つの重みは大きい。
NASAによると、チームは2027年夏までのあいだにも、今回のような思わぬ出来事に備えている。片道1日近い距離では、地上が異常に気づいたとき、探査機はもう自分で手を打ったあとだ。そんな場面は、これから珍しくなくなるのかもしれない。
編集部が確認:。確認した監修者は、この下に載せています。
代表取締役。工学部出身で、21歳で起業してからシステム会社の経営一筋で8期目。アプリの受託開発から始め、いまはAIを使ったシステムソリューションを手がけています。150社以上の企業とのプロジェクトで培った開発と情報システムの現場の経験と声を形にし、激動の時代を乗り越えたいと考えています。