サハラのバラ色の石は41億年以上前の火星のかけら 最古級の隕石
2022年にサハラ砂漠で見つかった約800gの石は、41億年以上前にできた火星の地殻のかけらだった。火星から来たと言える理由と、元の場所の候補を13か所に絞った手がかりを追う。
サイエンス- ●地球で見つかった約435個の火星の隕石で、最も古い3つに入る
- ●マグマが冷えてできた鉱物と、昔の地下水で変わった跡が両方残る
- ●元の場所は特定できないが、論文は候補を火星の13か所に絞った
NASAが公開した画像では、隕石の切断面と、元の場所の候補を白い丸で示した火星の地図を見られる。説明は英語だ。
研究チームは、ほかの研究者がこの隕石から何を読み取るかに期待する。昔の火星で水と岩がどう関わったのか、答えに近づくかもしれない。
2022年、サハラ砂漠でバラ色の石が見つかった。重さは約800g。いつ、どこでできたのか、そのときはだれも知らなかった。
正体は41億年以上前にできた火星のかけらだった。NASAが資金を出した研究チームが鉱物の年代を測って突き止め、10月29日に学術誌「Science」で発表した。名前の「Teghaza 001」は、見つかったマリにある塩の平原にちなむ。
地球で見つかった火星の隕石は、約435個。Teghaza 001はその中で最も古い3つに入る。主著者でNASAジェット推進研究所のYang Liu氏は「査読者の一人は、これを『火星のロゼッタストーン』と呼んだ」と明かす。
砂漠の石が火星から来たと言えるわけ
そもそも、火星の石がなぜ地球にあるのか。火星の隕石は一つ一つ違うが、たどってきた道のりは同じだ。衝突で火星の表面から吹き飛ばされたかけらが、宇宙を旅して地球に落ちる。砂漠や雪原では隕石が目立ち、見つかりやすい。
NASAが画像を公開した一片は年代測定に使ったものだが、衝突の跡も残る。濃い灰色の部分は、Teghaza 001を宇宙へはじき出した衝突などの、強い圧力でできた斜長石だ。
火星のものかどうかは、鉱物と化学の成分を、NASAの火星探査機が集めたデータと照らして確かめる。Teghaza 001は、米ニューメキシコ大学の研究者が先に、酸素同位体を手がかりに火星の隕石だと見分けていた。酸素同位体は天体ごとに違い、地球化学の「指紋」として使える。
意外にも、Liu氏は最初、この石を調べる話を断りかけた。火星の隕石で最も多い「シャーゴッタイト」に見え、見慣れていたからだ。
41億年ほど前に、もう水に触れていた
ところが、のぞいてみると見たことのない組織と鉱物があった。チームはジルコンの結晶も見つけた。岩ができたときの手がかりを記録し、年代を精密に測るのに使える鉱物だ。カリフォルニア工科大学のチームが開発した方法も使い、爪より小さいかけらの表面で鉱物の粒を1つずつ測った。丸ごと溶かさないので、貴重な隕石を後の研究に残せる。
結果を見て、Liu氏は驚いた。石は41億年ほど前に火星の水で変わっていた。つまり、できたのはさらに前とみられる。
最古級の火星の隕石は、ほかに2つある。ほぼ1種類の鉱物でできた「ALH84001」と、小さな火山岩のかけらが集まった通称「ブラックビューティー」だ。でも、2つから分かる歴史は限られる。Teghaza 001にはマグマが冷えてできた鉱物がいくつも混ざり、地殻ができてから地下の水で変わるまでの流れが残る。
この鉱物の組み合わせは、NASAの火星周回機「マーズ・リコネッサンス・オービター」がクレーターの多い南の高地で観測したものと合う。論文は鉱物と化学の特徴が合う候補を、火星の13か所に絞った。ただ、どこから来たのかを正確に突き止めることは、この先もできないという。
第2著者のLee Saper氏は「これまで試料がまったくなかった場所から来た、初めての火星の地殻のかけらだ」と話す。水と岩のやりとりを記録し、水を失いつつあった頃の大気の跡まで残しているかもしれないという。
隕石に含まれる水は、6月に学術誌「Science Advances」の別の論文で詳しく報告された。今年の2本の論文は始まりにすぎない。「まだ、ほんの入り口に立ったところだ」とLiu氏は言う。
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代表取締役。工学部出身で、21歳で起業してからシステム会社の経営一筋で8期目。アプリの受託開発から始め、いまはAIを使ったシステムソリューションを手がけています。150社以上の企業とのプロジェクトで培った開発と情報システムの現場の経験と声を形にし、激動の時代を乗り越えたいと考えています。