手のひら大のコンピューターで「宇宙のAIデータセンター」を 日本の新興SpaceBlast、JAXAの基金で開発中の「TENEDGE CORE」を展示
宇宙のスタートアップのSpaceBlast(東京都千代田区)は、幕張メッセで開かれている展示会「Japan IT Week 秋」で、衛星の上でAIを動かす手のひら大のコンピューター「TENEDGE CORE」の模型を展示した。衛星が撮った大きなデータを宇宙でAIに整理させ、必要な分だけ地上に送る仕組みをめざす。JAXAの宇宙戦略基金に採択された開発で、2031年度までに技術を確かめる。
IT- ●SpaceBlastが、10月21〜23日の展示会「Japan IT Week 秋」で、衛星の上でAIを動かす手のひら大のコンピューター「TENEDGE CORE」の模型を展示した
- ●衛星のデータの多くは、地上へ送る回線が細くて届かない。宇宙で小さなAIにデータを整理させ、メガバイト級をキロバイト級にして送る仕組みをめざす
- ●放射線に強い専用の部品ではなく、市販の部品に、自分で誤りを見つけて直す仕組みを組み合わせる。JAXAの宇宙戦略基金に採択され、2031年度までに技術を確かめる
すぐに使えるサービスではないが、衛星の画像を使う建設や都市開発、農業などの仕事では、将来、必要な情報だけを早く受け取れるようになるかもしれない。宇宙のデータセンターは海外の大手の話が多いが、日本の会社も取り組んでいることが分かる。
ITmediaによると、SpaceBlastは少なくとも2回、衛星にコンピューターを載せて確かめ、宇宙ステーションにも載せる計画だ。将来は軌道に複数のコンピューターを並べ、宇宙のデータセンターのように使うことや、月面での利用も視野に入れている。
宇宙のスタートアップのSpaceBlast(スペースブラスト、東京都千代田区)は、幕張メッセで10月21〜23日に開かれている展示会「Japan IT Week 秋」で、衛星の上でAIを動かす手のひら大のコンピューター「TENEDGE CORE(テンエッジ コア)」の模型を展示した。衛星が撮った大きなデータを宇宙でAIに整理させ、必要な分だけ地上に送る「宇宙版のAIクラウド」をめざしている。
この開発は、JAXA(宇宙航空研究開発機構)の「宇宙戦略基金」のテーマ「軌道上データセンター構築技術」に採択されたものだ。
なぜ宇宙でデータを処理するのか
SpaceBlastによると、宇宙で集めたデータの大半は、地上へ送る回線(ダウンリンク)の太さに限りがあるため、地上に届いていない。
ITmediaによると、衛星が撮る画像は容量が大きく、高速で地球を回る衛星から、限られた回線で地上に送るのは簡単ではない。そこで、衛星の上のコンピューターで小さな言語モデル(SLM、少ない計算で動く小型のAI)を動かし、必要な情報だけを取り出して送る。実現すれば、メガバイト級の生のデータを、宇宙でキロバイト級の情報に縮められるという。
荷物にたとえると、倉庫(衛星)にある段ボールを全部トラックで運ぶのではなく、倉庫で中身を確かめ、頼まれた品のメモだけを送るような形だ(TECHNOVAの見方)。
TENEDGE COREとは
ITmediaによると、TENEDGE COREは手のひらに収まるほどの大きさのコンピューターだ。計算の性能は1台で60TOPS(1秒間に60兆回の計算)ほどという。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 名前 | TENEDGE CORE(宇宙版AIクラウド「TENEDGE」の中心になるコンピューター) |
| 大きさ | 手のひらに収まるほど(展示はほぼ実物大の模型) |
| 計算の性能 | 1台で60TOPSほど(ITmediaによる) |
| 部品 | 放射線に強い専用の部品ではなく、市販の部品(FPGAなど)を使う |
| 守り方 | 誤りを見つけ、原因を調べ、自動で元に戻す仕組みで信頼性を保つ |
| 使う場所 | 宇宙のほか、南極や高い山などの厳しい環境も見込む(ITmediaによる) |
宇宙では、宇宙線(放射線)がコンピューターを誤って動かすことがある。そのため、宇宙で使うコンピューターは、放射線に強い専用の部品で作るのがふつうだ。ただ、JAXAの基金の資料によると、宇宙には電力や熱、重さや大きさの制約が多く、最先端の高性能なコンピューターを載せるのは、安全の検証にかかる費用などの点から簡単ではない。
SpaceBlastは、放射線に強い部品ではない市販の部品を使い、異常を見つけて自動で元に戻す仕組みで信頼性を保つ。ITmediaによると、熱を逃がしやすい素材を使い、メモリーなどに誤りを見つけて直す仕組みを入れている。高性能で電気をあまり使わないコンピューターを、宇宙で使えるようにする狙いだ。
これまでの流れ
| 時期 | できごと |
|---|---|
| 2026年1月 | JAXAの宇宙戦略基金「軌道上データセンター構築技術」に採択されたと発表 |
| 2026年6月16日 | 開発を始める会議(キックオフミーティング)を開いた |
| 2026年10月21〜23日 | Japan IT Week 秋で、TENEDGE COREの模型を展示 |
| 2031年度まで | 基金の期間。技術の開発と実証を終える計画(ITmediaによる) |
開発には、SpaceBlastを中心に、DigitalBlast、東京科学大学、テックラボ、高エネルギー加速器研究機構(KEK)、モルゲンロットが加わる。
かんたんに言うと
衛星が撮った大量のデータは、地上に送る道が細くて、多くが届いていない。そこで、手のひら大のコンピューターを衛星に載せ、宇宙で小さなAIにデータを整理させてから、必要な分だけ地上に送ろうという計画だ。市販の部品を使い、壊れにくい仕組みで宇宙でも動くようにする。
日本では
日本の会社が、JAXAの基金を使って開発している。ITmediaによると、将来は、地上で大きなAIに欲しいデータの条件を伝え、宇宙側の小さなAIがデータを加工する「TENEDGE SPACE AI CLOUD」も考えているが、地上側は「まだこれから」の段階だという。使い道としては、建設や都市開発、農業に必要な衛星の画像を効率よく取り出すことなどを見込む。
まとめ
SpaceBlastは、Japan IT Week 秋で、衛星の上でAIを動かす手のひら大のコンピューター「TENEDGE CORE」の模型を展示した。宇宙でデータを整理して地上に送る量を減らし、将来は宇宙のデータセンターのように使うことをめざす。JAXAの宇宙戦略基金に採択された開発で、2031年度までに技術を確かめる計画だ。
チェック済み。この記事は監修者によってチェックされました。(2026年10月22日)
代表取締役。工学部出身で、21歳で起業してからシステム会社の経営一筋で8期目。アプリの受託開発から始め、いまはAIを使ったシステムソリューションを手がけています。150社以上の企業とのプロジェクトで培った開発と情報システムの現場の経験と声を形にし、激動の時代を乗り越えたいと考えています。