脂肪肝で落ちる酵素の働きをMRIで画像に マウスで成功
量子科学技術研究開発機構(QST)などが、肝臓の酵素「PON」の働きを体の外からMRIで画像にする方法を開発した。脂肪肝のマウスでは、病気が進むにつれて働きが落ちる様子をとらえた。
サイエンス- ●感度はふつうのMRIの約23万倍で、撮影は約20秒で済む
- ●血液の検査では、肝臓の中での酵素の働きを正しく測れなかった
- ●まだマウスでの成果で、人の検査に使える時期は示されていない
健康診断で脂肪肝と言われた人が、すぐに受けられる検査ではない。今わかっているのは、マウスでの結果だ。
QSTは、今回の分子プローブの作り方を発展させ、ほかの酵素の働きも映せるプローブの開発につなげるとしている。
肝臓に脂肪がたまる「代謝機能異常関連脂肪性肝疾患(MASLD)」は、成人のおよそ3人に1人が持つ生活習慣病だ。一部は重くなり、脂肪肝炎や肝臓の線維化を経て、肝硬変や肝がんへ進む。
その肝臓の中で働く酵素の様子を、体を傷つけずに外から映す方法を、量子科学技術研究開発機構(QST)と日本酸素などの研究グループが開発した。QSTが10月30日に発表した。脂肪肝や脂肪肝炎を起こしたマウスでは、病気が進むにつれて酵素の働きが落ちていく様子を画像にできたという。
血液ではわからなかった、肝臓の中の働き
狙ったのは、パラオキソナーゼ(PON)という酵素だ。主に肝臓で作られ、脂質の代謝や、酸化ストレスから体を守る働きにかかわる。脂質の代謝の異常と関係が深く、病気の状態を測る手がかりとして注目されてきた。
ただ、PONは体の中の環境に強く左右される。そのため、血液などを使うこれまでの検査では、体の中での働きを正しく評価できなかった。
MRIの感度を、一時的に数万倍以上に
使ったのは「超偏極MRI」という技術だ。MRIで特定の物質を見る感度を、一時的に数万倍以上に上げる。この物質を「分子プローブ」と呼ぶ。
研究グループは、PONが分解する物質の一つ、メバロノラクトンに目を付けた。放射線を出さない炭素13で目印を付けたものを作り、分子プローブにした。
この分子プローブの感度を装置で上げ、マウスのしっぽの静脈から入れた。すると、ふつうのMRIの約23万倍の感度で、約20秒の撮影でPONの働きをとらえられた。肝臓の組織では、肝臓の血管やほかの臓器より、PONの働きを示す値が高く出た。
次に、特別な餌で、やせ型の脂肪肝や脂肪肝炎を起こすマウスを調べた。このマウスでは、餌を与えて2週目以降に肝臓に脂肪がたまり、6週目以降は線維化も見られる。超偏極MRIで撮ると、週を追うごとにPONの働きが下がっていった。
QSTは、体の中でのPONの働きを直接測って画像にする超偏極MRIは、世界で初めてだとしている。
人の検査になるのは、まだ先
QSTは、脂肪肝などの生活習慣病を早く見つける新しい診断法として実用化を目指すが、成果はまだマウスでのものだ。人の診断に使える時期は示されていない。
論文は、英国王立化学会の専門誌「Sensors & Diagnostics」に10月13日、早期公開版として載った。正式版は11月12日に載る予定だ。
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代表取締役。工学部出身で、21歳で起業してからシステム会社の経営一筋で8期目。アプリの受託開発から始め、いまはAIを使ったシステムソリューションを手がけています。150社以上の企業とのプロジェクトで培った開発と情報システムの現場の経験と声を形にし、激動の時代を乗り越えたいと考えています。