Meta「Muse」の共有ページ6,800件超がDNSの記録から判明 共有機能は一時停止
Metaのパーソナルエージェント「Muse」で、共有した会話のページを、リンクを受け取っていない人も探し出せた。セキュリティ企業ClarocがDNSの記録から6,800件超のアドレスを見つけ、Metaは10月20日に共有機能を一時停止した。
AI- ●共有ページのアドレスに会話のタイトルが入り、DNSの記録に残っていた
- ●Clarocは1回の検索で6,800件超を見つけ、数百件をログインなしで開いた
- ●Metaは10月20日に共有機能を一時停止。タイトルつきの記録は外部に残る
10月23日から日本でもMuseを使える。共有した会話は、リンクを知る人なら誰でも開けるページになる。仕事の資料やお金の相談ほど、共有の前に中身を確かめたい。
Metaは報告を精査し、リンクの見つかり方を変えることを検討している。共有機能は、その検討のあいだ止めたままにすると説明した。
リンクを渡した相手だけが見るはずの会話のページを、リンクを受け取っていない人が一覧から探し出せた。Metaのパーソナルエージェント「Muse」で、セキュリティ企業Clarocの研究チームがDNSの記録から6,800件を超える共有ページを見つけ、10月18日に公表した。Metaは10月20日、共有機能を一時停止した。
1回の検索で6,800件を超えた
Clarocによると、Museに会話の共有を頼むと、会話をWebページにしてリンクを返す。ページはログインなしで、リンクを知る人なら誰でも開ける。受け取った相手が開けるようにするための作りだ。
研究チームは、Museの提供開始(9月8日)から約1か月後、市販のパッシブDNSのサービスを検索した。パッシブDNSは、ネット上で実際に調べられたドメイン名を記録し、検索できるようにしたデータベースだ。調べたのは、共有ページが置かれる「cf.metaaiusercontent.com」のサブドメインである。
無関係な名前を除いても、共有ページのホスト名(アドレスのうちサーバーを指す部分)は6,800件を超えた。1件が1つの共有ページにあたる。研究チームは「1回の検索で済んだ」と書いている。誰でも検索できるURLの検査サービスにも、共有ページの記録が75件以上あったという。Clarocは、企業向けにSaaSやAIのアプリの利用状況を可視化する製品を販売しており、報告の最後で自社製品も紹介している。
アドレスの頭に会話のタイトルがあった
Clarocが説明用に作った架空の例で、アドレスの組み立てを見てみる。
| 部分 | 架空の例 | 中身 |
|---|---|---|
| 会話のタイトル | home-sale-budget | 会話の中身を表す短い言葉(この例は「家の売却の予算」) |
| ランダムなID | 9f21c8a3 | 推測されないための文字列 |
| ドメイン | cf.metaaiusercontent.com | すべての共有ページに共通 |
受け取った人が共有ページを開くと、ブラウザーはまずDNS(ドメイン名から接続先を調べる仕組み)でこの名前を問い合わせる。その問い合わせを見ているパッシブDNSのサービスが、名前を丸ごと記録する。あとは記録を検索すれば、タイトルつきのアドレスを一覧で読める。リンクにも同じタイトルとIDが入っているため、ホスト名からリンクを組み立て直せた。
IDは推測では当てられない長さだった。それでも、最初に誰かが開いた時点で、IDを含む名前全体が記録に残る。Museは、検索エンジンやAIのクローラー(Webを自動で巡回するプログラム)に、共有ページを読まないよう求めていた。今回のアドレスは、検索エンジンを通らずに見つかった。
数百件を開くと、仕事やお金の資料も
研究チームが開いたのは数百件だけで、どれもログインせずに表示できた。多くは小さな会社のサイトや催しの予定など、人に見せるためのページだった。
その中に、人に見せる前提ではない資料もあった。Clarocは名前やリンクを伏せ、種類だけを挙げている。融資の申込書、社長向けの社内の売上資料、口座番号の一部が入った銀行の不正利用の警告のメモ、職場の1年分の休暇の予定表などだ。
悪用された証拠はないという。一方で、ほかの誰かが先に見つけていたかどうかは分からない。調べたのは1つのサービスと1つの名前の形だけで、共有ページ全体の状況を測ったものではないと、研究チーム自身が断っている。
報告から一時停止までの12日間
| 日付(2026年) | 出来事 |
|---|---|
| 10月7日・8日 | 研究チームがページの中身を確認 |
| 10月8日 | Metaのバグバウンティ(脆弱性の報告に報奨金を払う制度)に報告 |
| 10月18日 | Clarocが報告を公表 |
| 10月20日 | 報道機関の問い合わせを受け、Metaが共有機能を一時停止 |
TechSpotによると、Museの広報担当者は声明で「Museでは特定の内容を共有でき、リンクを持つ人が見られるページができる。この報告を精査し、リンクの見つかり方を変えることを検討するあいだ、この機能を一時停止した」と説明した。
研究チームは10月20日、前にログインなしで開けた40件を開き直した。どれも開かず、エラーが返った。ただ、タイトルつきのホスト名そのものは、パッシブDNSの記録に残ったままだ。
日本で使う人へ
Museは10月23日から、日本でもiOS、Android、muse.aiで使える。日本のApp Storeの「Muse from Meta」は、対応言語に日本語を含む。日本での提供の中身はMuseの日本提供開始の記事で説明している。日本での提供開始の発表に、共有機能の扱いは書かれていない。
Clarocは、AIのアシスタントで会話を共有すると、リンクを知る人なら誰でも開けるページが公開されると説明し、共有したものは確かめるまで公開されたものと考えるよう勧めている。会社の情報システムの担当者向けには、社内でMuseを使う人の把握を挙げ、監視する手段がなければ、会社の端末でmuse.aiとmetaaiusercontent.comへの接続を遮断する方法もあるとした。共有機能を再開する時期と、アドレスの作り方を変えるかどうかは、まだ発表されていない。
- Claroc Research Team「GhostShares: A Shared Muse Chat Exposed Prep for a Confidential Call With a Frontier AI Lab Leader」(2026年10月18日公開・10月20日更新)
- Facebook Japan合同会社「Meta、パーソナルAIエージェント「Muse」を日本で提供開始」
- App Store「Muse from Meta」(日本)
- TechSpot「Meta suspends Muse sharing after sensitive documents turn up in shared chats」(2026年10月21日)
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チェック済み。この記事は監修者によってチェックされました。(2026年10月25日)
代表取締役。工学部出身で、21歳で起業してからシステム会社の経営一筋で8期目。アプリの受託開発から始め、いまはAIを使ったシステムソリューションを手がけています。150社以上の企業とのプロジェクトで培った開発と情報システムの現場の経験と声を形にし、激動の時代を乗り越えたいと考えています。