中国科学院、稲と小麦の除草剤耐性を高める「二層」の遺伝子改変手法を開発
中国科学院の研究チームが、タンパク質の設計と遺伝子の働く量の調節を組み合わせ、稲と小麦の除草剤耐性を高めた。一部の稲は推奨圃場散布量の4倍に耐えたが、遺伝子の組み合わせによって収量の低下も見られた。
サイエンス- ●中国科学院が稲と小麦の除草剤耐性を高める改変手法を開発
- ●タンパク質の設計と遺伝子の働く量の調節を組み合わせた
- ●一部の稲で高い耐性と栽培上の性質を両立したと報告
米や小麦の栽培に関わる研究で、薬剤への強さだけでなく収穫への影響も確かめた点が焦点だ。
薬剤への耐性と栽培上の性質を両立する改変の組み合わせが、今後の研究の焦点になる可能性がある。
中国科学院の研究チームが、稲と小麦の除草剤耐性を高める遺伝子改変手法を開発した。研究成果は10月12日、学術誌「Nature Plants」に掲載された。
何が発表されたのか
新手法は、タンパク質の設計と遺伝子の働く量の調節を組み合わせるものだ。片方だけでなく、両方に手を加える「二層」の改変が特徴となる。
研究チームが着目したのは、稲の酵素HPPDだ。酵素は体内の化学反応を助けるタンパク質である。HPPDは、体内での物質の変化であるチロシン代謝に必要で、一部の除草剤の標的にもなる。
研究チームは、HPPDと除草剤メソトリオンが結合した構造を調べた。そのうえで、タンパク質の材料であるアミノ酸の置き換え方を設計した。ただし、耐性が高まっても、酵素本来の働きや植物の成長を損なう場合があったという。
かんたんに言うと
たとえるなら、道具の形を変えるだけでなく、その道具を用意する量も調整する方法だ。ここでの「形」がタンパク質の設計、「量」が遺伝子の働く量に当たる。
研究チームによると、従来の遺伝子を書き換える技術では、タンパク質を作る領域か、働きを調節する領域の片方を変えるのが一般的だった。
今回は、遺伝子の働く量を調節する短い配列「EME」を見つけた。これをHPPD遺伝子の調節領域に組み込み、タンパク質を変える改変と併用した。
研究チームによると、一部の稲はメソトリオンの推奨圃場散布量の4倍に耐えた。一方、畑での試験では、遺伝子の組み合わせによって種子の実る割合や収量が低下した。
未改変の遺伝子を1つ残す組み合わせでは、高い耐性と栽培上の性質を両立したとしている。薬剤への強さだけではなく、作物としての育ち方も重要な結果だ。
小麦でも、タンパク質を作る領域と調節領域を同時に改変した。研究チームによると、未改変の小麦よりHPPD遺伝子の働く量とメソトリオン耐性が高かった。
日本では
日本との関わりは発表には書かれていない。今回の発表は稲と小麦の改変手法に関する研究成果であり、日本での導入を伝えるものではない。
まとめ
今回の研究は、タンパク質の設計と遺伝子の働く量を一緒に調整した点が柱だ。ただし、改変の組み合わせによって収量が低下する結果も出ている。今後は、除草剤への耐性と栽培上の性質を両立する組み合わせが、研究の焦点になる可能性がある。
チェック済み。この記事は監修者によってチェックされました。(2026年10月15日)
代表取締役。工学部出身で、21歳で起業してからシステム会社の経営一筋で8期目。アプリの受託開発から始め、いまはAIを使ったシステムソリューションを手がけています。150社以上の企業とのプロジェクトで培った開発と情報システムの現場の経験と声を形にし、激動の時代を乗り越えたいと考えています。