彗星が生命のもとを運んだ説、起きても「一度きりの偶然」 ケンブリッジ大の計算
生命のもとになる分子を彗星が地球に運んだという、100年近く続く説に疑問が出た。英ケンブリッジ大学などは、彗星は速く急な角度でぶつかるため、分子はほぼ蒸発すると計算した。運べたとしても「一度きりの偶然」だという。
サイエンス- ●彗星は速く急な角度でぶつかり、壊れやすい分子はほぼ蒸発する
- ●届いても濃い状態が続かず、生命につながる化学が進む時間がない
- ●大気の薄い火星のほうが、まだ届きやすいと試算した
図鑑やテレビで見た「彗星が生命のもとを運んだ」という話は、今は有力とは言えなくなった。小惑星や地球そのもので生まれた可能性が残る。
研究チームは、彗星が惑星から惑星へはねるように減速できる星系を探すことが、太陽系の外で生命を探す手がかりになるとしている。
生命のもとは、彗星が宇宙から運んできた。そんな話を、図鑑やテレビで見た人もいるだろう。100年近く語られてきたこの説に、待ったがかかった。
彗星が地球に生命のもとになる分子を運んだ見込みは低く、あったとしても「一度きりの偶然」にすぎない。英国のケンブリッジ大学などの研究チームが2026年10月28日、学術誌「Scientific Reports」でそう発表した。彗星は、炭素や窒素を含む分子を多く運んでいることが知られている。
速すぎて、角度が急すぎる
研究チームは、彗星の衝突や大気とのぶつかり方、彗星の生まれと動きを計算機で再現した。注目したのは、生命が生まれる前の化学で重要な分子「シアン化水素」だ。太陽系の彗星によく含まれている。
計算の結果、彗星は地球の大気に飛び込むときの速さが速すぎ、角度も急すぎた。壊れやすい有機の分子は、地表にぶつかった時点でほぼ蒸発してしまう。
しかも、地球にぶつかる彗星の数は、地球ができてから最初の5億年で急に減った。分子を運べる機会は、多くても数えるほどしかなかった。たとえ届いても、濃い状態は長く続かない。生命につながる化学が衝突の直後にすばやく進む必要があり、それは考えにくいという。
筆頭著者のリチャード・アンスロー博士は「ちょっとロマンのある考えですが、私たちの結果では、その可能性はとても低い」と話す。
火星のほうが、まだ見込みがある
意外なのは火星だ。火星は地球より小さく、今は大気もずっと薄い。そのため、彗星がよく飛んできた時代には、地表まで届きやすかったとみられる。とはいえ、それでも可能性はかなり低い。アンスロー博士は「火星で起きたと言っているわけではありません。地球で起きて、火星で起きなかったとは考えにくいということです。どちらでも起きなかった、というほうがありそうです」と話す。
では、地球の生命のもとはどこから来たのか。研究チームは、彗星よりずっと多くぶつかった小惑星の衝突でできた可能性や、地球の上でできた可能性を挙げる。どちらなのかは、まだ分かっていない。
研究チームは2023年、惑星どうしの軌道が近い星系なら、彗星が惑星から惑星へはねるように減速し、分子を届けられるかもしれないと考えていた。そうした星系を探すことは、太陽系の外で生命を探す手がかりになる。ジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡の後を継ぐ望遠鏡が動き出せば、探す先を絞る助けになるだろう。
編集部が確認:。確認した監修者は、この下に載せています。
代表取締役。工学部出身で、21歳で起業してからシステム会社の経営一筋で8期目。アプリの受託開発から始め、いまはAIを使ったシステムソリューションを手がけています。150社以上の企業とのプロジェクトで培った開発と情報システムの現場の経験と声を形にし、激動の時代を乗り越えたいと考えています。