AIで作った動画、YouTubeで開示が要るのはどんなとき? 収益化とラベルをQ&Aで
AIで作った動画をYouTubeに載せるとき、アップロードの画面で「AIの使用」を聞かれる。どんな動画で「はい」にするのか、開示すると収益に響くのか、自動でラベルが付くのはどんなときか。YouTubeのヘルプをもとに、5つの疑問に答える。
AI- ●本物に見えるAIの動画や、AIで作った音楽には開示が要る。軽い編集は要らない
- ●開示しても、再生や収益化の資格には響かない。ただし量産型は収益化できない
- ●YouTubeのAIツールの動画やC2PAの情報付きの動画は、自動でラベルが付く
AIで作った動画をYouTubeに載せる人は、要る・要らないの例を先に見ておくと迷わない。自分の顔や声を勝手に使われたときの削除の手続きもある。
YouTubeは、顔に似た動画を見つける「類似性検出」を声にも広げる予定だ。本物の撮影を示す表示も、対応する機器とともに増えそうだ(TECHNOVAの見方)。
スマホのアプリでAIに頼んで作った、30秒の動画。YouTubeに載せようとすると、アップロードの画面で「AIの使用」を聞かれる。「はい」と「いいえ」の、どちらを選べばよいのか。
YouTubeのヘルプを2026年10月26日の時点で読むと、決め手は「本物に見えるかどうか」だ。AIを使ったかどうか、ではない。よくある5つの疑問に、ヘルプの説明で答える。
Q1. どんな動画で「はい」にするのか
YouTubeは、AIで作ったり大きく変えたりした内容が本物のように見える場合に、開示を求めている。対象は次の4つだ。
- 実在する人が、実際には言っていないことを言い、していないことをしているように見せる
- 実際の出来事や場所の映像を変える
- 現実には起きていない場面を、本物のように作る
- 動画の中心になる音楽をAIで作る
一部だけAIで作ったり変えたりした場合も含まれる。逆に、現実にはありえない内容や、見た目を整える程度の軽い編集なら、開示は要らない。ヘルプの例を並べると、次のようになる。
| 開示が要る例 | 開示が要らない例 |
|---|---|
| AIで作った音楽 | ユニコーンに乗って空想の世界を旅する人 |
| 宣伝用の旅行の動画に、AIで作ったマウイ島のサーファーの映像を足す | 美顔フィルターや、色・明るさの調整 |
| 実在する2人のテニス選手の試合を、AIで本物のように作る | 背景のぼかしなどの特殊効果、字幕の作成 |
| 実在する都市に向かう竜巻を、本当に起きたように見せる | 台本やサムネイル、題の案づくりにAIを使う |
| 実在する人が逮捕されたように見せる | 自分の声をAIで再現したナレーションや吹き替え |
意外なのは、自分の声をAIで再現したナレーションが、開示の要らない例に入っていることだ。一方で音楽は、AIで作れば開示が要る。
Q2. 開示はどこでするのか
パソコンかスマホでYouTube Studioを開き、アップロードの手順の「属性」にある「AIの使用」で「はい」を選ぶ。開示すると、視聴者にラベルが表示される。AIで作った音楽や写真のように本物らしい動画では、動画プレーヤーにラベルが出ることもある。それ以外は、説明欄を開いたときに表示される。
Q3. 開示すると、見られにくくなったり、収益が減ったりするのか
開示しただけで、視聴者が制限されたり、収益化の資格に影響したりすることはないと、YouTubeは説明している。
ただし、収益化には別の決まりがある。YouTubeは2025年7月15日、収益化の条件にある「繰り返しの多いコンテンツ」の決まりの名前を「量産型のコンテンツ」に改めた。クリエイターならではの見方を加えず、ありきたりのテンプレートで大量に作ったようなAIの動画は、収益化できない。脈絡なくAIの映像をつなげて驚かせる動画や、AIの人物が人間の専門家のふりをして健康やお金の助言をするチャンネルも、収益化の対象にならない。
反対に、自分で考えたキャラクターや物語をAIで映像にした動画は、独自の表現として例に挙がっている。AIを使うかどうかより、その動画ならではの中身があるかが問われる。
Q4. 開示しなくても、ラベルが付くことはあるのか
ある。YouTubeの生成AIのツールで作った動画、C2PA(写真や動画の出どころを確かめるための公開の規格)の情報を持つ動画、YouTubeの仕組みがAIで作ったと判断した動画には、自動でラベルが付くことがある。
間違ってラベルが付いたときは、多くの場合、YouTube Studioで「いいえ」を選び直せる。ただし、YouTubeのAIのツールで作ったもの、C2PAの情報を持つもの、人が確認してラベルを付けたものは変えられない。開示を何度もわざと怠ると、動画の削除や、収益を得る「YouTubeパートナープログラム」の停止もありうる。
逆向きの表示もある。C2PAのバージョン2.1以降に対応した機器で撮り、音声や映像を編集していない動画には、説明欄に「カメラで撮影」と出る。ただ、この表示が無いからといって、編集した動画だとは限らない。
Q5. 自分の顔や声を、ほかの人にAIで使われたら
YouTubeには、削除を求める手続きがある。ほかの人がAIで作ったり変えたりした動画が、自分の姿や声に似ている場合は、プライバシー侵害の申し立てで削除を依頼できる。審査では、本物らしいか、本人だと分かるか、開示されているか、パロディーや風刺にあたるかなどを見て判断する。
クリエイター向けには、AIで作られた自分の顔が映る動画を探す「類似性検出」もある。18歳以上で、身分証明書と自分の顔の短い動画で本人確認をする必要がある。まだ試験運用の段階で、使えない国もあり、今は顔だけが対象だ。声にも近く広げる予定だという。
海外では、こうした偽物の共有そのものを法律で禁じる動きもある。デンマークの法案は、10月25日の記事で取り上げた。YouTube Musicで始まったAIの曲の表示は、10月15日の記事で紹介している。
チェック済み。この記事は監修者によってチェックされました。(2026年10月26日)
代表取締役。工学部出身で、21歳で起業してからシステム会社の経営一筋で8期目。アプリの受託開発から始め、いまはAIを使ったシステムソリューションを手がけています。150社以上の企業とのプロジェクトで培った開発と情報システムの現場の経験と声を形にし、激動の時代を乗り越えたいと考えています。