ネアンデルタール人の遺骨に致命的な槍傷か、研究チームが肩甲骨の穴を分析
シャニダール洞窟のネアンデルタール人遺骸を調べた研究チームが、左肩甲骨の穴は木製の槍による傷の可能性が高いと報告した。致命傷だった可能性もあるが、狩猟中の事故か暴力によるものかは分かっていない。
サイエンス- ●研究チームが遺骨を分析し、致命的な槍傷の可能性を報告
- ●左肩甲骨に直径約15ミリメートルの穴を確認
- ●狩猟中の事故か、暴力による傷かは分かっていない
人類の過去に関心がある人にとって、骨の傷から何が分かり、何が分からないのかに触れる研究だ。
傷や埋葬の痕跡を調べることで、ネアンデルタール人の暮らしへの理解が深まる可能性がある。
シュプリンガー・ネイチャーは2026年10月16日、ネアンデルタール人の遺骨に致命的な槍傷の可能性があると発表した。英国ケンブリッジ大学のEmma Pomeroyらの研究で、論文は2026年10月15日、Scientific Reports(学術誌)に掲載された。
肩甲骨の穴から何が分かったのか
対象はイラク・クルディスタン地域のシャニダール洞窟で見つかった「シャニダールA」だ。2019年と2022年に発掘され、研究チームは年齢を約45歳と推定している。
遺骨には、ほぼ完全な右手、肋骨とその断片、左肩甲骨、7本の歯が含まれる。左肩甲骨には直径約15ミリメートルの円形の穴があり、縁は滑らかだった。穴から放射状に延びる骨折と、位置がずれた骨片も確認された。
研究チームは、死亡前後に正面から木製の槍で刺された可能性が高いとみている。その傷が致命傷だった可能性もあるという。ただし、狩猟中の事故か、暴力によるものかは分かっていない。
かんたんに言うと、傷跡から出来事を探る
割れた器のひびを見て、力が加わった場所を探るようなものだ。この研究では、骨に残った穴や骨折の形が、傷のでき方を考える手がかりになっている。槍傷の可能性と、刺された事情が分かることは別である。
歯にも別の手がかりがあった。切歯(前歯)の1本には、縦に割れた後に摩耗した痕跡が残っていた。研究チームは、槍傷より前に重度の顔面損傷を負い、手当てを受けていたと示唆している。
遺体の置かれ方も調べられた。シャニダールAは、女性「シャニダールZ」の胴体の真下にあった。頭を東に向けた仰向けの状態で、既存の浅い溝に安置された可能性が高いと研究チームはみている。
日本では研究との関わりは
日本との関わりは発表には書かれていない。
まとめ
今回の分析は、槍による致命傷の可能性を示した一方、事故か暴力かという点は未解明だ。
洞窟では、5万~7万5000年前のネアンデルタール人が数個体確認されている。先行研究では、遺骸が意図的に埋葬された可能性も指摘されている。傷や遺体の置かれ方を調べることが、当時の暮らしを理解する手がかりになる可能性がある。
チェック済み。この記事は監修者によってチェックされました。(2026年10月16日)
代表取締役。工学部出身で、21歳で起業してからシステム会社の経営一筋で8期目。アプリの受託開発から始め、いまはAIを使ったシステムソリューションを手がけています。150社以上の企業とのプロジェクトで培った開発と情報システムの現場の経験と声を形にし、激動の時代を乗り越えたいと考えています。