人の腎臓サイズのブタ腎臓、最長1年間の低温保存後に機能回復を研究チームが報告
研究チームは、人の腎臓に相当する大きさのブタ腎臓を−150℃で最長1年間保存し、機能回復を確認したと報告した。氷を作らず固める方法と電磁気による加温を組み合わせた成果で、研究論文はプレプリントとして公開された。
サイエンス- ●研究チームが人の腎臓サイズのブタ腎臓の機能回復を報告
- ●−150℃で最長1年間保存し、温め直した後の機能を確認
- ●移植直後に血流と尿を確認したが、対象はブタ腎臓
臓器移植に関心がある人にとって、保存時間の短さという課題に取り組む研究だ。
大型臓器の保存と機能回復の研究が進めば、移植先の調整に使える時間を延ばせる可能性がある。
研究チームが、人の腎臓に相当する大きさのブタ腎臓を低温保存し、機能の回復を報告した。成果はbioRxivでプレプリント(正式な審査前の研究論文)として公開されたが、公開日は資料に記載されていない。
何が回復したのか
研究チームによると、−150℃で最長1年間保存したブタ腎臓の機能が回復した。従来ナノ加温した腎臓の100倍の大きさで、回復を確認したとしている。ナノ加温は、電磁気を使って温める方法だ。
温め直した腎臓には、常温で液を流す試験を行った。その結果、血管・代謝・排泄の機能が示され、組織損傷も限定的だったという。移植直後には、腎臓全体へ均一に血液が流れ、尿が出たと報告している。
複数の指標では、機能回復が従来の低温保存の結果に近づいたという。また、凍結保護剤だけにさらした腎臓と同程度の回復だったとしている。凍結保護剤は、低温保存の際に臓器を守るための薬剤だ。
かんたんに言うと、固め方と温め方を工夫
今回の研究は、単に冷たくしてから温め直すものではない。氷を作らずに固める「ガラス化」と、ナノ加温を組み合わせた。身近なたとえなら、物を保管するときに、しまい方だけでなく取り出し方も整える考え方だ。
研究チームによると、臓器が大きいほど、氷の形成や温度変化による損傷を抑えるのが難しい。そこで、新しい凍結保護剤の配合と、複数の温度で液を流す方法を用いた。
この方法により、大型腎臓でも実現可能な冷却速度で、氷のないガラス化ができたとしている。さらに、冷却の制御と段階的なナノ加温によって、ひび割れなく急速に温められたという。冷やす段階と温める段階の両方が、今回の工夫だ。
日本では
日本との関わりは発表には書かれていない。今回報告された研究の対象はブタ腎臓であり、人の腎臓で機能回復を確認した成果ではない。
まとめ
研究チームは、提供臓器の保存時間の短さが、移植先の調整を制約していると説明する。低温での臓器保管によって、保存期間を数時間から数カ月・数年に延ばし得るとしている。
今回の成果は、大型のブタ腎臓で保存後の機能回復を報告したものだ。今後、こうした研究が進めば、臓器を保存しながら移植先を調整する時間を広げられる可能性がある。ただし、現段階ではプレプリントとして公開された研究成果として受け止める必要がある。
チェック済み。この記事は監修者によってチェックされました。(2026年10月15日)
代表取締役。工学部出身で、21歳で起業してからシステム会社の経営一筋で8期目。アプリの受託開発から始め、いまはAIを使ったシステムソリューションを手がけています。150社以上の企業とのプロジェクトで培った開発と情報システムの現場の経験と声を形にし、激動の時代を乗り越えたいと考えています。