Ai2、世界の気候を3km解像度で再現するHiRO-ACEv2を発表
Ai2が気候シミュレーションシステム「HiRO-ACEv2」を発表した。世界全体の3km解像度のデータを、比較対象の約300分の1の計算コストで生成できるとしている。温暖化後の気候には未対応だ。
サイエンス- ●Ai2が世界全体の3km解像度の気候計算システムを発表
- ●計算コストはX-SHiELDの約300分の1と説明
- ●風や気圧も出力するが、温暖化後の気候には未対応
豪雨や強風に関心がある人は、公開された比較画面で関心のある地域の計算結果を見比べられる。
温暖化後の気候を学習し、地表付近の気温や雪、氷も出力する方向で開発が進む予定だ。
Ai2は、気候をコンピューターで再現するシステム「HiRO-ACEv2」を発表した。発表日は資料に記載されていないが、世界全体の3km解像度の気候データを生成できるとしている。
雨だけでなく、風や気圧も再現
注目点は、細かな気候データを作る計算コストだ。Ai2によると、高解像度大気モデル「X-SHiELD」の約300分の1という。X-SHiELDは、嵐など小規模な気象現象を直接計算する、世界全体を対象とした仕組みだ。
HiRO-ACEは2026年に登場した。新版のHiROv2は、従来の降雨に加え、風や気圧も同時に出力する。Ai2は、学習方法の変更で極端な雨・風・気圧の再現精度が向上したとしている。
粗くしたX-SHiELDデータから、元の細かなデータの統計を誤差3%以内で再現したという。この精度は、100万データ点に1度のまれな現象でも確認したとしている。
一方、ハリケーンの目の周囲の風や気圧には課題がある。X-SHiELDより偏りが大きく、細部まで同じ精度で再現できるわけではない。
かんたんに言うと、粗い地図を細かくする仕組み
HiRO-ACEは、ACEとHiROの2つで構成される。ACEが100km解像度で計算し、HiROがその出力を3km解像度に細かくする。
たとえるなら、まず大きなマス目で全体の地図を描き、その後で小さなマス目の地図へ描き直すようなものだ。解像度は、そのマス目の細かさに当たる。
Ai2は、ACEとHiROv2を組み合わせ、世界全体の3kmデータを1年分生成した。その統計はX-SHiELDとよく一致したという。ただし、現状はX-SHiELDに合わせたACEでのみ動く。温暖化後や過去の気候には未対応だ。
日本では
日本との関わりは発表には書かれていない。
発表では、事前に生成した雨・風・海面気圧を比べるウェブデモも紹介された。ウェブ上の比較画面で、旧版・新版・X-SHiELDの出力を見比べるものだ。利用者は関心のある地域を拡大できる。モデルのダウンロードと、実行方法を説明する手引きも用意されている。
まとめ
HiRO-ACEv2は、細かな気候データの生成コストを抑える研究だ。比較対象との統計の一致を示す一方、風や気圧の偏り、対応する気候の範囲には制約が残る。
Ai2は今後、4°C温暖化した世界を含む新たなX-SHiELDデータで学習する予定だ。地表付近の気温や雪、氷の出力も追加する予定で、扱える気候や現象が広がる可能性がある。
チェック済み。この記事は監修者によってチェックされました。(2026年10月15日)
代表取締役。工学部出身で、21歳で起業してからシステム会社の経営一筋で8期目。アプリの受託開発から始め、いまはAIを使ったシステムソリューションを手がけています。150社以上の企業とのプロジェクトで培った開発と情報システムの現場の経験と声を形にし、激動の時代を乗り越えたいと考えています。