RSAなどの暗号、2035年で使用不可に 米NISTが量子コンピューターに備える道すじ
米国立標準技術研究所(NIST)は10月27日、量子コンピューターでも破られにくい暗号へ移るための報告書の最終版を出した。RSAなど今の公開鍵暗号は、2030年より後は非推奨、2035年より後はNISTの基準で使えなくなる。
IT- ●RSAやECDSAなどは、2030年より後は非推奨、2035年より後は使用不可
- ●米政府の重要なシステムは、鍵の受け渡しを2030年末までに切り替え
- ●今の暗号と新しい暗号を組み合わせる「ハイブリッド」も認める
ふだんの利用者が自分で何かをする場面は少ない。ブラウザやアプリ、機器の更新を止めずに入れておくことが、そのまま備えになる。
NISTは、2035年までに新しい暗号への移行を終える目標を掲げる。長く秘密にしたいデータを扱うシステムから、先に切り替えが進む。
ネットの買い物も、銀行のアプリも、通信は暗号で守られている。その暗号がいつか破られる日に向けた「引っ越しの日程表」が出た。
米国立標準技術研究所(NIST)は2026年10月27日(米国時間)、量子コンピューターでも破られにくい新しい暗号へ移るための報告書「NIST IR 8547」の最終版を出した。RSAやECDSAなど、今広く使われている公開鍵暗号を、2030年より後は非推奨にし、2035年より後はNISTの基準で使えなくする。公開鍵暗号は、通信の相手を確かめたり、暗号の鍵を安全に受け渡したりする仕組みだ。
なぜ今、切り替えるのか
十分に大きな量子コンピューターができれば、今の公開鍵暗号は破られるおそれがある。そうした機械はまだできていない。とはいえ、今の通信を盗んでためておき、あとで解読する「今集めて、あとで解読する」脅威はすでにある。長く秘密にしておきたいデータほど、早く切り替える必要があるわけだ。
NISTは2024年8月に、量子コンピューターに耐える新しい暗号の標準を出していた。今回の報告書は、その標準へどう移るかを示した道すじになる。
| 時期 | 中身 |
|---|---|
| 2030年12月31日まで | 米政府の特に重要なシステムは、鍵の受け渡しを新しい暗号に |
| 2031年12月31日まで | 同じシステムで、電子署名も新しい暗号に |
| 2030年より後 | RSA、ECDSA、EdDSAなどを非推奨に |
| 2035年より後 | NISTの基準で使えなくする |
2030年から2035年までの5年は、古い仕組みを抱えるシステムのための猶予だ。
鍵を2つ付ける方法も
報告書は、今の暗号と新しい暗号を組み合わせる「ハイブリッド」も認める。NISTは、扉に南京錠を2つ付けるようなものだと説明する。安全側に寄せられる分、計算の手間は増える。
NISTで新しい暗号の標準づくりを率いるダスティン・ムーディ氏は「ある日付から先は連邦のシステムで使えなくなるのか、使ってもよいが自己責任なのか。こうしたことを知ることが、計画に役立つ」と話す。
ふだんの利用者が、自分で何かをする場面は少ない。切り替えるのは、ブラウザやアプリ、サーバーの側だ。Google Meetのように、利用者の操作なしで新しい暗号を使い始めたサービスもある(Google Meetの記事)。日本の政府の日程は、今回の報告書には書かれていない。
気の長い話に聞こえるが、米国の日程は世界の製品やサービスの更新に響く。日本で使うスマホやパソコンも、知らないうちに新しい暗号へ移っていくだろう。
編集部が確認:。確認した監修者は、この下に載せています。
代表取締役。工学部出身で、21歳で起業してからシステム会社の経営一筋で8期目。アプリの受託開発から始め、いまはAIを使ったシステムソリューションを手がけています。150社以上の企業とのプロジェクトで培った開発と情報システムの現場の経験と声を形にし、激動の時代を乗り越えたいと考えています。