2030年度からの教科書は「紙とデジタルの組み合わせ」が基本に 全部デジタルは小学5年以上の英語や音楽などに限る 文科省の会議が素案
文部科学省の検討会議は2026年10月22日、2030年度から使われるデジタルを含む新しい教科書について、指針の素案を示した。すべての学年と教科で、紙とデジタルを組み合わせた教科書が中心になるとし、すべてがデジタルの教科書は、小学5年生以上の英語や音楽、図画工作などの一部の教科に限って認める。小学4年生以下は、おおむね紙で作る。
IT- ●文部科学省の検討会議が10月22日、2030年度から導入するデジタルを含む教科書の指針の素案を示した。すべての学年と教科で、紙とデジタルを組み合わせた教科書が中心になるとした
- ●すべてがデジタルの教科書は、小学4年生以下では認めず、小学5年生以上の外国語(英語)や、音楽、図画工作などの実技の教科の一部に限る
- ●すべてデジタルを認めない国語や算数などは、組み合わせの教科書でも主に紙で作り、デジタルは補助的に使う。小学4年生以下は、おおむね紙で作る
子どもが小学生の家庭では、2030年度から教科書の形が変わり、動画や音声が見られる部分が加わる。ただ、国語や算数は主に紙のままで、低学年はおおむね紙だ。学校の端末の扱いにも関わるので、学校からの案内に気をつけたい(TECHNOVAの見方)。
指針は、教科書の会社が教科書を作るときや、教育委員会が教科書を選ぶときの目安になる。検討会議の取りまとめをもとに、文部科学大臣が指針を決める。デジタルを含む教科書は、2030年度から小学校から順に導入される。
文部科学省の「デジタルな形態を含む教科書の発行・採択等の指針に関する検討会議」は2026年10月22日、2030年度から使われる、デジタルを含む新しい教科書についての指針の素案を示した。すべての学年と教科で、紙とデジタルを組み合わせた「ハイブリッド」の教科書が中心になるとし、すべてがデジタルの教科書は、一部の学年と教科に限って認める。
なぜ教科書が変わるのか
素案によると、2026年に成立した改正学校教育法で、教科書は紙だけでなく、デジタルの形も含められるようになった。これにより、次の学習指導要領が全面的に実施される2030年度から、動画や音声などのデジタルの中身も、教科書の内容にできる。デジタルを含む教科書は、2030年度から小学校から順に導入される。
これまでの「デジタル教科書」は、紙の教科書の中身をそのままデジタルにした教材で、法律上の教科書ではなかった。新しい制度では、紙だけ、紙とデジタルの組み合わせ、デジタルだけの3つの形が教科書になりうる。どの形も、国の検定を経て、学校で使わなければならない教材になる。
学年と教科ごとの扱い
| 項目 | 素案の扱い |
|---|---|
| 基本の形 | すべての学年と教科で、紙とデジタルを組み合わせた教科書が中心 |
| すべてデジタルの教科書(小学4年生以下) | 認めない |
| すべてデジタルの教科書(小学5年生以上) | 外国語と、実技の教科などの一部に限って認める |
| すべてデジタルを認めない教科 | 組み合わせでも主に紙で作り、デジタルは補助的・補完的に使う |
| 小学4年生以下の組み合わせの教科書 | おおむね紙で作り、デジタルの部分はより限る |
| すべてデジタルを認める教科 | 組み合わせの教科書で、主にデジタルで作ることもありうる |
すべてデジタルを認めうる教科として、素案は、外国語のほか、小学校高学年の音楽と図画工作、中学校の音楽、美術、技術・家庭(技術の分野)、高校の芸術(書道を除く)、情報、専門学科の教科を挙げている。
低学年は紙が中心の理由
素案は、小学校の低学年と中学年について、認知の働きが育っている途中で、実際に体験したり物を使ったりして理解する紙の活用が特に期待され、読む力を育てる大切な時期だという指摘を挙げた。注意を向け続ける力が未発達で、頭の中で一時的に覚えておく力(ワーキングメモリー)の負担の影響を受けやすいことから、高学年以上とは分けて考えたという。
一方、外国語のように、本文に合わせて音声や動画を流すと理解が深まりやすい教科では、教科書の全体をデジタルで作ったほうが効果的な場合もあるとしている。
素案は、紙とデジタルのどちらかという「二項対立」に陥らず、両方の良さをいかすことが大切だとした。文章を深く読み込んだり、全体を見渡したり、手を動かして書き込んだりする、紙に向いた学習は今後も必要だという。
教科書を選ぶ側の声
素案によると、2025年10〜12月に、教科書を選ぶ全国の教育委員会と学校(国公私立の小・中・高校の段階)に聞いた調査では、組み合わせの教科書を望む声が、小学校の段階で88.3%、中学校で86.3%、高校で78.4%と多かった。すべてがデジタルの教科書を望む割合は、小学校の段階で5.5%、中学校で7.1%、高校で4.7%だった。
かんたんに言うと
2030年度から、教科書に動画や音声などのデジタルの部分が加わる。ただ、ほとんどの教科は紙が中心のままで、デジタルは理解を助ける役割だ。全部をデジタルにできるのは、小学5年生以上の英語や音楽などに限られ、小学4年生以下はおおむね紙で学ぶ。
日本ではどうなるのか
指針は、教科書の会社が教科書を作るときや、教育委員会や学校が教科書を選ぶときの判断の目安になる。検討会議の取りまとめをもとに、文部科学大臣が指針を決める。素案は、新しい教科書を導入したあとも、学校での使われ方や研究の進み具合を見ながら、指針を見直すべきだとしている。
まとめ
文部科学省の検討会議は10月22日、2030年度から導入するデジタルを含む教科書の指針の素案を示した。すべての学年と教科で紙とデジタルの組み合わせが中心になり、すべてデジタルの教科書は小学5年生以上の英語や実技の教科の一部に限る。小学4年生以下は、おおむね紙で作る。
チェック済み。この記事は監修者によってチェックされました。(2026年10月23日)
代表取締役。工学部出身で、21歳で起業してからシステム会社の経営一筋で8期目。アプリの受託開発から始め、いまはAIを使ったシステムソリューションを手がけています。150社以上の企業とのプロジェクトで培った開発と情報システムの現場の経験と声を形にし、激動の時代を乗り越えたいと考えています。