Meta、企業向けの規約から「サイトの内容をAIの学習に使える」とも読める一文を削除 反発を受け、集める目的は広告とビジネスの製品に限ると明記
Metaは、FacebookやInstagramを仕事で使う人に向けた「Meta商用利用規約」の改定で、企業のウェブサイトの内容を集めてAIの「トレーニング」にも使えると読める一文を削除した。報道機関や法律の専門家から反発が出ていた。新しい英語版は、集める目的を広告とビジネスの製品などに限っている。新しい規約は10月30日から適用される。
AI- ●Metaは10月30日から適用する企業向けの規約に、事業に関係するサイトの内容を集めて「トレーニング」にも使えると読める文を入れていた
- ●報道機関や法律の専門家の反発を受け、英語版からこの文を削除。集める目的を広告とビジネスの製品などに限ると書き直した
- ●Metaは「クローラーの使い方は変わらない。robots.txtで意向を示せる」と説明している
お店や会社のFacebookページ、Instagramのビジネスアカウントを使っている人が対象の規約だ。自分のサイトの内容をMetaのAIの学習に使われたくない場合は、サイトの robots.txt で、学習用のクローラー「meta-externalagent」を止めておくとよい。
新しい規約は10月30日から適用される。TECHNOVAが10月18日朝に確かめたところ、日本語版の規約の予告ページには、削除前の文がまだ残っていた。今後、日本語版も英語版に合わせて直されるかを見ておきたい。
Metaは、FacebookやInstagramなどを仕事で使う人に向けた「Meta商用利用規約」の改定で、企業のウェブサイトの内容を集めて、AIの「トレーニング」(学習)にも使えると読める一文を削除した。報道の世界を取材する米国のメディア Nieman Lab が、法律の専門家の見方として「報道機関のサイトを集めてAIの学習に使える内容だ」と伝え、反発が広がっていた。米The Vergeによると、Metaは米国時間の10月17日に規約を直した。新しい規約は2026年10月30日から適用される。
どんな規約か
「Meta商用利用規約」は、Metaの製品を事業や商売のために使うときに適用される規約だ。たとえば次のような使い方が当てはまる。
- 広告を出す、マーケティングのメッセージを送る
- 商品を売ったり出品したりする、商品のカタログを作る
- Facebookページやグループを管理する
- 広告マネージャや Meta Business Suite などのビジネス向けの道具を使う
日本でも、お店や会社、報道機関の多くが、FacebookページやInstagramのビジネスアカウントを持っている。こうした人や会社は、この規約に同意して使っていることになる。
何が問題になったのか
Metaは10月上旬、ブログと Meta Business Suite で規約の改定を知らせた。新しい規約には、次の2つの文が入っていた。
- 利用者の商品やサービスに関係するドメイン、ウェブページ、URL(とそこで見られるコンテンツ)に、Metaがウェブスクレイパーやクローラーなどの自動のソフトでアクセスし、内容を集めることを認める。そのために「テスト用の認証情報」を作ることも認める
- 集めたコンテンツを、Metaの製品やサービスの「提供、開発、改善、調査、トレーニング」と、完全性を保つために使える
クローラーとは、ウェブサイトを自動で回って内容を読み取るプログラムのことだ。Nieman Lab の依頼で規約を読んだ3人の法律の専門家は、この文があれば、Metaのビジネスアカウントを持つ報道機関のサイトの記事を集め、AIの学習に使えると主張できると指摘した。米コーネル大学のJames Grimmelmann教授は「報道機関にとって、サイトのあらゆるコンテンツでAIを学習させる許可にあたる」と述べた。
ショッピングモールに出店する契約書に、「お店の本店のホームページも見に行って、中身を使ってよい」と書き足されたような形だ。モールでの商売を続けたければ、のむしかない。Nieman Lab によると、10月30日より前に、ビジネスアカウントがこの改定だけを断る方法は無かった。
Metaの説明と、直した内容
Metaの広報は当初、「Metaのクローラーの使い方は変わらない。そうでないという指摘は誤りだ」と反論していた。Nieman Lab には、クローラーについての文はこれまで生成AIを使った広告の規約などにばらばらに書かれていて、今回それを1か所にまとめただけだと説明していた。
その後、Metaは規約を書き直した。The Verge に寄せた声明では、「まとめたクローラーの規約は、広告とビジネスの製品にだけ当てはまるもので、そのことを規約の中ではっきりさせた。Metaのクローラーの使い方は変わらない。コンテンツの持ち主は、これまでどおり robots.txt で意向を示せる。これは報道機関のサイトを集めるためのものではなく、今回の改定は robots.txt での意向を上回る新しい権利をMetaに与えるものでもない」としている。
TECHNOVAが10月18日朝に英語版の改定版を確かめたところ、次のように変わっていた。
| 項目 | 削除前の文 | 今の英語版 |
|---|---|---|
| 集めてよい場所 | 事業に関係するドメイン、ウェブページ、URL | 変わらない |
| テスト用の認証情報 | 作ってよい | 変わらない |
| 集めた内容の使い道 | Metaの製品やサービスの提供、開発、改善、調査、トレーニング | 広告とビジネスの製品の提供、開発、改善、調査、維持と、Metaの製品の完全性と安全を保つこと |
「トレーニング」という言葉は消え、使い道は広告や、商品の情報を利用者に届ける製品などに絞られた。一方で、事業に関係するサイトをクローラーで読み取ることや、テスト用の認証情報を作ることを認める文は残っている。Nieman Lab は、この認証情報で会員登録が必要なページに入れるのかをMetaに尋ねたが、答えは無かったという。
日本語版はまだ古いまま
TECHNOVAが同じ日に日本語版の規約の予告ページを確かめたところ、「提供、開発、改善、調査、トレーニング、およびその完全性を維持する目的で使用することができます」という、削除前の文がまだ載っていた。日本語版が英語版に合わせて直されるかは、今のところわからない。
自分のサイトを守るには
自分のサイトの内容をMetaのAIの学習に使われたくない人は、サイトに置く robots.txt(クローラーへの「入ってよい場所・だめな場所」の案内)で意向を示せる。Metaの開発者向けのページでは、おもなクローラーを次のように説明している。
| クローラーの名前 | 何のために読むか | robots.txt |
|---|---|---|
| facebookexternalhit | FacebookやInstagramなどでリンクが共有されたとき、題名や画像を表示する | 安全のための確認では従わないことがある |
| meta-externalagent | 基盤のAIモデルのトレーニングや製品の改善 | 従う |
| meta-externalads | 広告やビジネス関連の製品の改善 | 従う |
| meta-webindexer | Meta AIの検索の答えの質を上げる。許可すると、Meta AIの答えで引用やリンクがされる | 従う |
| meta-externalfetcher | 利用者の頼みに応じて個別のページを読む(AIのエージェントの機能など) | 従わないことがある |
AIの学習を止めたいなら、robots.txt に次のように書く。
User-agent: meta-externalagent
Disallow: /
- リンクの表示を止めない: facebookexternalhit まで止めると、SNSでリンクを共有したときに題名や画像が出なくなるおそれがある(TECHNOVAの見方)
- 反映には時間がかかる: Metaによると、クローラーは robots.txt を最大24時間覚えておくので、変えてから効くまで最大24時間かかる
- すべては防げない: 利用者の頼みで読む meta-externalfetcher のように、robots.txt に従わないことがあるクローラーもある
かんたんに言うと
Metaが、FacebookやInstagramを仕事で使う人向けの規約に「関係するサイトの内容を集めて、AIの学習にも使える」と読める文を入れ、反発を受けて削除した。今の英語版では、集めた内容の使い道は広告とビジネスの製品などに絞られている。自分のサイトをAIの学習に使われたくなければ、robots.txt で meta-externalagent を止めておくとよい。
まとめ
Metaは、10月30日から適用する商用利用規約から、企業のサイトの内容をAIの学習に使えると読める一文を削除し、集める目的を広告とビジネスの製品などに限ると書き直した。ただ、サイトを自動で読み取ることを認める文は残り、日本語版にはまだ削除前の文が載っている。お店や会社のサイトを持つ人は、規約の行方を見つつ、robots.txt で自分の意向を示しておくと安心だ。
- Meta「Meta Commercial Terms」(2026年10月30日から適用される改定版・英語)
- Meta for Developers「Meta Webクローラー」
- Nieman Lab「Meta’s new commercial terms will allow the scraping of news sites, legal experts say」(2026年10月15日)
- The Verge「Meta removes language that may have allowed it to scrape news sites」(2026年10月17日)
- IT之家「Meta 修改商业服务条款引发“用于训练 AI”争议,现已删除相关表述」(2026年10月18日)
チェック済み。この記事は監修者によってチェックされました。(2026年10月18日)
代表取締役。工学部出身で、21歳で起業してからシステム会社の経営一筋で8期目。アプリの受託開発から始め、いまはAIを使ったシステムソリューションを手がけています。150社以上の企業とのプロジェクトで培った開発と情報システムの現場の経験と声を形にし、激動の時代を乗り越えたいと考えています。