トルコ沖に約4700年前の沈没船の跡 ピラミッドの時代に地中海を渡った船か、「世界最古」の可能性 船体は消え、残ったつぼから年代を推定
トルコ南部のケコヴァ島の近くの海底で、約4400〜4700年前の初期青銅器時代の船の積み荷とみられるつぼが見つかった。トルコの文化観光大臣は「世界最古の沈没船」と発表した。これまで最古とされてきたギリシャ沖の沈没船(約4200年前)より古い可能性がある。木の船体は残っておらず、年代はつぼの形や飾りなどから推定した。
サイエンス- ●トルコ南部のケコヴァ島の近くで、約4400〜4700年前の初期青銅器時代のつぼを積んだ沈没船の跡が見つかった
- ●つぼの粘土はヨルダン渓谷でつくられた可能性があり、地中海の東で広く交易していた跡とみられる
- ●木の船体は残っておらず、年代はつぼから推定した。「世界最古」は今の時点での見方で、発掘は続いている
エジプトでピラミッドが造られていたころ、すでに地中海を船で品物が行き来していたことを示す発見だ。「世界最古」という見出しを見たら、何を根拠に年代を決めたのか、まだ調べている途中なのかにも目を向けると、ニュースをより正しく受け止められる。
発掘は2026年に始まったばかりで、研究チームは、つぼに残っていた中身の分析を進めている。オリーブ油やワインなのか、つぼを使い回した跡なのかがわかれば、当時の暮らしや交易の姿がさらに見えてきそうだ。
トルコ南部、地中海に面したアンタルヤ県のケコヴァ島の近くの海底で、約4400〜4700年前の初期青銅器時代の船の積み荷とみられるつぼが見つかった。トルコのメフメト・ヌリ・エルソイ文化観光大臣は2026年10月14日、SNSで「世界最古の沈没船の跡を明らかにしている」と発表した。エジプトでピラミッドが造られていたころに沈んだ船の可能性がある。
何が見つかったのか
見つかったのは、船の体そのものではなく、船が運んでいた積み荷だ。木でできた船体は長い年月の間に消えてしまい、焼き物のつぼ(アンフォラ)や石のいかりが海底に残っていた。
- つぼ: 両側に取っ手があり、底が平らな形。発掘を率いるアクデニズ大学のハカン・オニズ准教授らの論文によると、初期青銅器時代のレバント(今のイスラエルやヨルダンなど、地中海の東の沿岸)の型によく似ている。Smithsonian Magazine は、つぼが30個以上見つかったと伝え、ABC News によると、大きいものは高さ50cmほどある
- いかり: 穴が3つある石のいかり2つと、穴が1つの石のいかり1つが、沈没船の周りで見つかった。ただし、論文は、どれがこの船のものかはまだわからないとしている
- 場所: Smithsonian Magazine によると、水深30m近く(100フィート近く)の海底だった。調べに加わった豪マッコーリー大学のカリン・ソワダ氏は ABC News に、つぼは岩の周りでフジツボにがっちり覆われていて、ハンマーとのみで取り出したと話している
アクデニズ大学は2024年の調査でこの沈没船の跡を記録し、2024年と2025年に1つずつつぼを引き上げて調べた。2026年からは、トルコの文化観光省の許可を受け、アンタルヤ博物館のもとで本格的な発掘が始まった。
いつ、どこから来た船か
トルコ文化観光省の説明によると、引き上げたつぼは約4400〜4700年前のものと判断された。粘土を調べたところ、ヨルダン渓谷の工房でつくられた可能性が高いという。同じようなつぼは、エジプトのギザやサッカラ、アブシールのピラミッドの近くや、トロイ、クレタ島でも見つかっている。
研究チームは、船がレバントの沿岸の港を出て、トロイかクレタ島の方へ向かっていたとみている。論文も、今わかっていることからは、東から西へ進んでいた小さな船が沈んだと考えられるとしている。オニズ氏は、オリーブ油かワインを運んでいたようだと話している。
宅配便にたとえると、トラックは消えてしまったが、荷物の箱だけが残っていて、箱の形や材料から「いつ、どこから送られた荷物か」を推理しているような状況だ。
船の上の暮らしの手がかりも
省によると、つぼの1つには9つの印と、胴に2つの穴があった。チーズやバターを作るときに使う「攪乳(かくにゅう)器」だった可能性があるという。もしそうなら、船乗りたちは長い航海のあいだ、ヤギを船に乗せて乳をしぼり、自分たちで乳製品を作っていたのかもしれない。
ソワダ氏は、いくつかのつぼの内側に、つやのある残りかすがたくさん付いていたと話す。オリーブ油やワイン、樹脂などの可能性があり、分析を進めている。ただし、つぼは大きく、着いた先で中身を出した後も何年も使い回されたとみられるため、残りかすが最初の積み荷のものとは限らないという。
「世界最古」はどこまで確かか
これまで最古の沈没船の跡とされてきたのは、ギリシャのドコス島の沖で1975年に見つかった沈没船で、積み荷は約4200年前のものだ。ケコヴァの沈没船は、それより古い可能性がある。
- オニズ氏は「初期青銅器時代のものであることは100%確かだ」と話している。つぼの飾り方を、エジプトや中東で見つかった年代のわかっているつぼと比べて判断したという
- ソワダ氏も「最古の沈没船だと言えると思う」と述べる一方、調べはまだ始まったばかりだとしている
- 一方で、木の船体が残っていないため、年代はつぼの形や飾り、粘土から推定したものだ。「世界最古」は大臣や研究者の今の見方で、これから発掘が進むと、見方が変わる可能性もある(TECHNOVAの見方)
同じトルコのアンタルヤ県の沖では、紀元前14世紀ごろのウルブルン沈没船も見つかっている。青銅器時代の沈没船としてよく知られるが、Xatakaによると、ケコヴァの沈没船はそれより1000年以上前のものになる。
かんたんに言うと
トルコの海の底で、約4700年前のものとみられるつぼを積んだ船の跡が見つかった。ピラミッドの時代に、地中海の東の端から西へ、オリーブ油やワインを運んでいた船かもしれない。船の木は消えていて、年代はつぼから推定したもので、「世界最古」かどうかはこれからの調べで確かめていく。
まとめ
トルコ南部のケコヴァ島の近くで見つかった沈没船の跡は、約4400〜4700年前の初期青銅器時代のものとみられ、これまで最古とされた約4200年前の沈没船より古い可能性がある。ヨルダン渓谷でつくられたとみられるつぼは、当時すでに地中海の東で広い交易があったことを示している。発掘とつぼの中身の分析は続いていて、今後の発表に注目したい。
- Hakan Öniz、Ceyda Öztosun「Preliminary Report on the Early Bronze Age Shipwreck in the Kekova Region of Antalya」Journal of Maritime Archaeology(2026年7月24日)
- DHA(デミルオーレン通信)「Bakan Ersoy: Dünyanın en eski batığının izlerini gün yüzüne çıkarıyoruz」(2026年10月14日)
- ABC News「'World's oldest known' shipwreck revealed off coast of Türkiye with Sydney professor's help」(2026年10月15日)
- Smithsonian Magazine「A New Contender for the World's Oldest Shipwreck Has Been Discovered Off the Coast of Turkey」(2026年10月14日)
- Xataka「Mientras se construía la Gran Pirámide hace 4.700 años, un barco se hundía en el Mediterráneo」(2026年10月17日)
チェック済み。この記事は監修者によってチェックされました。(2026年10月18日)
代表取締役。工学部出身で、21歳で起業してからシステム会社の経営一筋で8期目。アプリの受託開発から始め、いまはAIを使ったシステムソリューションを手がけています。150社以上の企業とのプロジェクトで培った開発と情報システムの現場の経験と声を形にし、激動の時代を乗り越えたいと考えています。