研究チーム、偽の治療で鎮痛効果を強い順に体験すると痛みの軽減が増すと報告
健康な82人を対象に、偽の治療で鎮痛効果を体験する順序を比べた研究が公表された。強い効果から始めた群は、その後の同じ治療で痛みの軽減が大きかったという。実際に鎮痛薬を減量した試験ではない。
サイエンス- ●健康な82人に偽の治療を行い、鎮痛効果を体験する順序を比較
- ●強い効果から始めた群は、その後の試験で痛みの軽減が大きかった
- ●実際の鎮痛薬の減量を試した研究ではない
痛みの治療に関心がある人に関わる研究だが、薬の減量効果を患者で確かめた結果ではない。
研究チームは、鎮痛効果を保ちながらオピオイドの総使用量を減らす戦略になり得るとしている。
Cold Spring Harbor Laboratoryが公表した研究で、強い鎮痛効果から順に体験した群は、その後の試験で痛みの軽減が大きかったと報告された。発表日は資料に記載されていない。
比べたのは薬の量ではなく、効果を体験する順序
実験に参加したのは健康な82人だ。研究チームは参加者に熱による痛みを与え、鎮痛治療を装った偽の治療を行った。そこで体験する鎮痛効果を、低・中・高の3段階に設定した。
参加者は無作為に、つまり偶然に任せて2群に分けた。一方は高い鎮痛効果から始め、低い効果へ移った。もう一方は、低い効果から高い効果へ移った。
その後の試験では、両群に同じ中程度の効果の治療を行った。研究チームによると、効果を下げていった群の方が、痛みの軽減が統計的に有意に大きかった。これは、偶然のばらつきだけでは説明しにくい差だったという意味だ。
かんたんに言うと、同じ体験でも「順番」を比べた
たとえるなら、強・中・弱の札をどの順に見せるかを変え、最後には同じ「中」の札を見せるような実験だ。最後の条件をそろえ、それまでに体験した順序による違いを調べている。
研究チームは、最初に高い鎮痛効果を体験すると、プラセボによる鎮痛が強まる可能性を示した。ここでいうプラセボによる鎮痛とは、偽の治療を通じて痛みが軽くなることだ。
注意したいのは、実際の鎮痛薬を多く使ってから減らした試験ではない点だ。操作したのは、偽の治療で体験する効果の順序である。また、対象は健康な人であり、痛みの治療を受ける患者で減量の効果を確かめた結果ではない。
日本では、研究への関わりは記載なし
日本との関わりは発表には書かれていない。今回の内容は研究結果の報告であり、日本で新たな治療の提供が決まったという発表ではない。
まとめ
この研究が示したのは、同じ中程度の効果でも、先にどの強さを体験したかで痛みの軽減に差が出たという結果だ。薬の量そのものを比べた結果とは区別する必要がある。
研究チームは、オピオイドと呼ばれる種類の鎮痛薬について、鎮痛効果を保ちながら総使用量を減らす戦略になり得るとしている。今回の結果はその可能性を示すものだが、実際の薬の減量でも同じ効果が得られると確定したわけではない。
チェック済み。この記事は監修者によってチェックされました。(2026年10月17日)
代表取締役。工学部出身で、21歳で起業してからシステム会社の経営一筋で8期目。アプリの受託開発から始め、いまはAIを使ったシステムソリューションを手がけています。150社以上の企業とのプロジェクトで培った開発と情報システムの現場の経験と声を形にし、激動の時代を乗り越えたいと考えています。