PFASからフッ素を外す酵素を計算で探索、DeFluorXの研究を報告
環境に残りやすいPFASからフッ素を外す酵素を探す計算手法DeFluorXが報告された。研究チームは反応の仕組みから8件の組み合わせを選んだが、実験による分解の確認結果はまだ示されていない。
サイエンス- ●研究チームがPFASの脱フッ素化に向く酵素の探索手法を報告
- ●DeFluorXで酵素と対象物質の組み合わせを8件選定
- ●分解は計算上の予測で、実験による確認結果は示されていない
環境に残りやすい化学物質が気になる人に関わる、PFASからフッ素を外す方法を探る研究だ。
進行中の実験で計算上の予測を確かめられれば、PFASからフッ素を外す酵素の探索が進む可能性がある。
研究チームは、PFASからフッ素を取り除く酵素を探す計算手法DeFluorXを報告した。発表日は資料に記載がなく、成果はbioRxivにプレプリント(研究の速報版)として掲載されている。
何が報告されたのか
PFASは人工的な化学物質群で、環境中に残りやすいことから「永遠の化学物質」と呼ばれる。研究チームによると、炭素とフッ素の結合が強く、フッ素を取り除きにくい。今回の研究は、この結合を切る反応に適した酵素を計算で探すものだ。
探索対象は、細菌由来のフルオロ酢酸脱ハロゲン化酵素(FAcD)2,150種だ。酵素は、化学反応を助ける働きを持つ。
研究チームは、構造を予測するための道具Boltz-2を使用した。酵素と26種のPFASおよびフルオロ酢酸を組み合わせ、その構造を予測した。ただし、チームによると、構造予測の信頼度の高さは、反応を助ける働きとは十分に対応しなかった。
かんたんに言うと
道具と部品の形が合って見えても、実際に作業ができるとは限らない。今回の探索も、酵素と対象物質がどう組み合わさるかだけでなく、フッ素を外す反応に適した位置関係かどうかを調べたものだ。
DeFluorXでは、反応の仕組みに基づき、分子間の距離や角度などで候補を評価した。研究チームは、分解の可能性が高いと予測した酵素と対象物質の組み合わせを8件選んだ。
さらに研究チームによると、精密な計算で調べた12構造すべてで、炭素とフッ素の結合が切れた。ただし、これは計算上の結果だ。実験室での検証は進行中であり、今回の分解予測を実験で確かめた結果は示されていない。
つまり、現段階の成果は有望な組み合わせを絞り込んだことにある。実際にPFASを処理できる技術が完成したという報告ではない。
日本では
日本との関わりは発表には書かれていない。今回の資料は酵素を探す研究の報告であり、日本の機関や研究者の関与についての記載はない。
まとめ
DeFluorXは、構造予測の信頼度だけでなく、反応が起きる仕組みに沿って酵素の候補を評価する手法だ。計算では結合が切れる結果が得られた一方、実験での確認はまだ示されていない。
進行中の実験で予測を確かめられれば、PFASからフッ素を外す酵素の探索が進む可能性がある。計算上の成果と、実際の分解の確認を分けて捉える必要がある。