暗号資産の「財布」Ledgerに、合言葉を盗む部品を仕込んだ改造品 日本のAmazonやヤフオクでも見つかる
暗号資産を守る機器「Ledger」に、復元用の24個の単語を盗み取る部品を仕込んだ改造品が出回っている。Ledgerは、東南アジアの販売店を通じて売られた端末から不正な部品を確認した。研究チームは、日本のAmazonやYahoo!オークションで買った端末からも改造品を見つけている。
ガジェット- ●Ledgerの機器に、復元用の24個の単語を盗む部品を仕込んだ改造品が見つかった
- ●Ledgerは東南アジアの販売店の端末で確認。被害は1億ドル超との集計もある
- ●日本のAmazonやYahoo!オークションで買われた端末からも見つかっている
暗号資産を機器で管理している人は、どこで買った端末かを確かめたい。外から見ても、公式の確認機能でも、改造は見分けられないという。
Ledgerは、被害にあった人への連絡と調査を進めている。欧州の店で買った端末からも見つかったという利用者の報告があるが、Ledgerは確認していない。
暗号資産(仮想通貨)を守るための機器「Ledger(レジャー)」に、持ち主の「合言葉」を盗み取る部品を仕込んだ改造品が出回っている。フランスのLedgerは2026年10月、東南アジアの販売店を通じて売られた端末から、不正な部品を確認したと明らかにした。日本の通販やオークションで買われた端末からも、改造品が見つかっている。
何が起きたのか
Ledgerは10月9日、東南アジアの販売店「CryptoBilis」から製品を買った利用者の資産が失われたという報告を調べていると、Xで公表した。念のため、この販売店にLedgerの機器の販売と発送を止めるよう求めた。
翌10日には、被害にあった利用者の端末の1つに、許可されていない部品が埋め込まれていたと確認した。13日には、同社の安全性の研究チームが、この販売店で売られた端末を調べていると知らせている。
被害の額について、Ledgerは数字を出していない。暗号資産の動きを分析するBitqueryは、10月12日の時点で、324のウォレット(暗号資産の財布)から、約1億200万ドルが抜き取られたと集計している。
どうやって盗むのか
改造品を解析したセキュリティ研究チームのTibane Labsによると、仕組みはこうだ。
本物のLedger Nano Xの中に、小さなコンピューターがもう1つ、はんだ付けされている。この部品は、画面に送られる信号を横から読み取る。初めて設定するとき、画面には復元用の24個の単語が表示される。部品はその文字を読み取って記録し、携帯電話の回線を使って、攻撃者に送る。
やっかいなのは、見分けがつかないことだ。外見も箱も動きも、ふつうの製品と変わらない。Ledgerには、端末が本物かを確かめる機能があるが、中の大事なチップは本物のままなので、この確認も通ってしまうという。
日本で買われた端末からも
Tibane Labsは2026年9月、改造された端末を2台手に入れた。どちらも日本で買われたものだ。
- 1台目: Yahoo!オークションで買われた。部品を収めるため、電池が小さなものに取り替えられていた
- 2台目: 日本のAmazonで、中国を拠点とする出品者から買われ、マレーシアから発送された。電池は元のままで、部品は基板と同じ黒に塗られ、見つけにくくなっていた
2台目について、Tibane Labsは、たくさんの端末に手早く取り付けられるよう作られているとみている。GIGAZINEによると、日本で買われた改造品と、東南アジアの販売店との間に、直接のつながりがあるかどうかは確認できていない。
Numeramaは、欧州の家電量販店で買った端末にも同じ改造があったという利用者の投稿が広がっていると伝えている。Ledgerは、これを確認していない。
かんたんに言うと
Ledgerのような機器は、暗号資産を動かすための「鍵」を、ネットから切り離してしまっておく金庫のようなものだ。24個の単語は、機器をなくしたときに鍵を作り直すための合言葉にあたる。これを知られると、離れた場所からでも、中身をすべて持っていかれてしまう。
今回の改造品は、金庫そのものを壊すのではなく、合言葉が画面に出る一瞬をのぞき見る。
日本ではどうなるのか
Ledgerは、問題の販売店で買った端末について、次のように呼びかけている。
- まだ設定していない端末は、設定しない
- すでに設定した端末は、新しい端末で新しい合言葉を作り、資産をすぐに移す
Tibane Labsによると、Ledgerは、同社から直接買った端末での被害の報告は無いとしている。Ledgerの技術の責任者は、Ledgerが利用者に電話をかけることは無い、ともXに書いている。
まとめ
守るための機器そのものが、買う前に細工されていた。外から見ても、公式の確認機能でも分からないという点が重い。暗号資産を機器で管理する人は、どこから買った端末なのかを、改めて確かめたい。
- Ledger サポートのXへの投稿(2026年10月9日)
- Ledger サポートのXへの投稿(2026年10月10日)
- LedgerのXへの投稿(2026年10月13日)
- Tibane Labs「Ledger Nano X implant」(改造品の解析)
- Bitquery「Ledger CryptoBilis Hack: $102.0M Drained, Where It Went」
- GIGAZINE「仮想通貨ウォレット「Ledger Nano X」に盗聴回路、日本のAmazonやヤフオクでも改造品が見つかる」(2026年10月13日)
- Numerama「Implants espions dans des Ledger」(2026年10月13日)
チェック済み。この記事は監修者によってチェックされました。(2026年10月13日)
代表取締役。工学部出身で、21歳で起業してからシステム会社の経営一筋で8期目。アプリの受託開発から始め、いまはAIを使ったシステムソリューションを手がけています。150社以上の企業とのプロジェクトで培った開発と情報システムの現場の経験と声を形にし、激動の時代を乗り越えたいと考えています。