JAXAのMMX、火星の衛星の起源解明へ NASAが観測装置と試料採取で協力
NASAはJAXAの火星衛星探査計画MMXへの協力内容を発表した。フォボスの試料を地球に持ち帰り、衛星の起源を調べる計画だ。観測装置や試料採取技術の提供に加え、通信・航行や研究者も支援する。
サイエンス- ●NASAがJAXAの火星衛星探査計画MMXへの協力を発表。フォボスの試料を地球に持ち帰り、衛星の起源を調べる
- ●種子島からH3ロケット10号機で、日本時間2026年10月20日午前4時41分の打ち上げを目指す
- ●NHKとJAXAが共同で作った8Kと4Kのカメラも載り、火星やフォボスへの着陸を撮る
地球が水や有機化合物を得た初期の時代にも関わる謎に、日本の探査計画が取り組む。打ち上げは20日の未明で、NHKは探査の様子を8Kや4Kの映像で伝えることを目指している。
打ち上げが延びた場合の予備の期間は11月7日まで。2031年に地球へ届ける予定の試料が、火星の衛星の起源を考える手がかりになる可能性がある。
NASA(米国の宇宙機関)は2026年10月15日(米国時間)、JAXA(日本の宇宙機関)の火星衛星探査計画MMXへの協力内容を発表した。観測装置や試料採取技術を提供し、火星の衛星の起源を探る計画を支える。
何が発表されたのか
MMXが調べるのは、火星の衛星フォボスとダイモスだ。両衛星の特徴や起源の解明を目指す。フォボスでは試料を採取し、地球に持ち帰る計画である。
NASAは観測装置MEGANEと、試料採取技術を実証するP-Samplerを提供する。装置だけでなく、遠い宇宙の探査機と交信する深宇宙通信網で、通信と航行も支援する。科学チームに参加する米国の研究者への資金提供も担う。
NASAによると、衛星の起源には異なる説がある。火星への巨大衝突で飛び散った物質からできたという説だ。もう一つは、数十億年前に火星の重力に捕まった小惑星だという説である。
かんたんに言うと
今回の探査は、材料を調べて、その品物の生まれ方を探る作業に似ている。遠くから特徴を見るだけでなく、現地の物質を地球に持ち帰って調べる計画だ。
NASAによると、MEGANEはフォボス表面の元素組成を調べる。つまり、表面がどのような元素でできているかを探る装置だ。名称は日本語の「眼鏡」に由来する。
採取方法にも違いがある。NASAによると、P-Samplerは高圧の窒素ガスを噴射して、表面の物質を集める設計だ。一方、JAXAのC-Samplerは、表面より深い場所から柱状の試料を採るという。
NASAは、衛星の起源を解くことが、地球などが水や有機化合物を得た初期の時代の理解に役立つとしている。火星の周囲だけに閉じない問いを扱う探査である。
日本では何が行われるのか
MMXは日本のJAXAによる探査計画だ。JAXAによると、H3ロケット10号機で、種子島宇宙センターの大型ロケット発射場から、日本時間2026年10月20日(火)の4時41分03秒に打ち上げる予定だ。打ち上げが延びた場合に備えた予備の期間は、10月21日から11月7日まで。予備の期間の打ち上げ時刻は、日ごとに決める。
欧州宇宙機関(ESA)などの協力については、別の記事で伝えている。
NASAは持ち帰った試料の約15%を受け取る予定だ。ヒューストンの施設で保管し、研究のために提供する予定としている。
NHKとJAXAの8K・4Kカメラも載る
AV Watchによると、MMXには、NHKとJAXAが共同で作った「スーパーハイビジョンカメラ」が載る。探査機の進む方向を撮る8Kのカメラと、横の方向を撮る4Kのカメラの2台で、ロケットの振動や宇宙の厳しい環境に耐えるかを確かめる、JAXAの決まりに沿った試験を済ませている。どちらも10秒ごとに1枚、JPEG形式の画像を撮る。
NHKは、撮った画像と実際の飛行のデータなどを組み合わせて映像にし、放送などで伝えることを目指す。AV Watchが伝えた撮影の予定は、次のとおり。
| 時期(予定) | 撮るもの |
|---|---|
| 2026〜2027年度(火星への行き) | 宇宙から見た星空など、最初の8K・4Kの画像 |
| 2027〜2030年度(火星のまわりに着いてから) | 火星とフォボス、ダイモス。フォボスへの着陸、地表、飛び立つところ |
| 2030年度(火星を離れるとき) | 探査の部分の切り離し、遠ざかる火星など |
| 2031年度(地球への帰り) | 近づく地球、試料を入れたカプセルを放つところ |
火星の衛星への着陸を、テレビ放送で使える細かさの映像で記録できれば、探査の様子を多くの人が目で確かめられることになる。
まとめ
MMXは2027年8月に火星へ到着し、両衛星の調査を始める予定だ。フォボスの詳しい調査後、早くても2028年12月に表面の試料を採取する予定である。
採取した試料は2031年に地球へ届ける計画だ。持ち帰った物質の研究が、衛星の生まれ方と、地球などの初期の時代を理解する手がかりになる可能性がある。
2026年10月16日 更新: JAXAが発表した打ち上げの詳しい予定(H3ロケット10号機、4時41分03秒、予備の期間)と、NHKとJAXAの8K・4Kカメラの撮影の予定を書き足しました。
チェック済み。この記事は監修者によってチェックされました。(2026年10月16日)
代表取締役。工学部出身で、21歳で起業してからシステム会社の経営一筋で8期目。アプリの受託開発から始め、いまはAIを使ったシステムソリューションを手がけています。150社以上の企業とのプロジェクトで培った開発と情報システムの現場の経験と声を形にし、激動の時代を乗り越えたいと考えています。