欧州医薬品庁、膵臓がん治療薬Rasonqueの承認を勧告 最終決定ではない
欧州医薬品庁の医薬品委員会が、治療歴のある転移性膵腺がんの成人向けに、飲み薬Rasonqueの販売承認を勧告した。試験での生存期間や副作用も公表したが、勧告は販売承認そのものではない。
サイエンス- ●欧州医薬品庁が膵臓がん治療薬Rasonqueの承認を勧告
- ●対象は少なくとも1回の治療歴がある転移性膵腺がんの成人
- ●勧告は販売承認ではなく、日本での提供も発表されていない
膵臓がんの治療を受ける人や家族に関わる発表だが、日本で使えると決まったわけではない。
欧州委員会がEU全域での販売承認について迅速に判断する予定だ。
欧州医薬品庁(EMA)は2026年10月15日付の発表で、膵臓がん治療薬Rasonqueの販売承認を勧告したと明らかにした。医薬品委員会(CHMP)による勧告で、販売承認そのものではない。
対象と試験で示された結果
対象は、少なくとも1回の治療歴がある転移性膵腺がんの成人だ。転移性膵腺がんとは、ほかの部位に広がった膵臓がんを指す。Rasonqueは有効成分をdaraxonrasibとする飲み薬で、承認申請者はRevolution Medicinesだ。
EMAによると、治療後に悪化した転移性膵腺がんは治療の選択肢が乏しい。EMAは同薬を、こうした満たされていない医療上の必要に応える可能性があると位置付けている。
第3相の国際臨床試験には、全身治療後に悪化した患者500人が参加した。患者や医師が治療内容を把握する「非盲検」という方式で実施された。
EMAによると、生存期間の中央値はRasonque群12.4カ月、化学療法群6.7カ月だった。化学療法は薬による治療を指す。中央値とは、結果を順に並べたときの中央の値だ。この解析には2026年6月15日までのデータを使用した。主な副作用は下痢、発疹、口内炎、吐き気、嘔吐だとしている。
かんたんに言うと、増殖に関わる働きを抑える薬
daraxonrasibは、RASタンパク質の働きを抑える「RAS阻害薬」だ。EMAによると、RASタンパク質は細胞の増殖や生存に関わる。膵腺がんでは、RAS遺伝子の変異ががん細胞の無秩序な増殖を招くという。
身近なたとえなら、細胞が増える際のスイッチに関わる仕組みだ。同薬は、そのスイッチの働きを妨げることを狙う。EMAは、同薬がシクロフィリンAという物質と組み合わさり、RASの働きを妨げると説明している。
審査は2026年7月上旬に始まり、企業が提出するデータを段階的に評価した。EMAによると、この方法で評価期間を150日未満に短縮した。通常は企業の回答期間を含め、全体で約1年かかるという。
日本ではどうなるのか
日本での提供は発表されていない。日本で使えるか、提供時期や価格について、今回の資料には記載がない。
また、今回の勧告は欧州でも承認に向けた中間段階だ。承認後の価格や公的な費用負担は、EU(欧州連合)各加盟国が判断する。
まとめ
Rasonqueは、治療歴のある転移性膵腺がんの成人に向けた飲み薬として、承認の勧告を受けた。試験結果が示されたことと、販売承認を得たことは区別が必要だ。今後は欧州委員会が、EU全域での販売承認について迅速に判断する予定だ。
チェック済み。この記事は監修者によってチェックされました。(2026年10月15日)
代表取締役。工学部出身で、21歳で起業してからシステム会社の経営一筋で8期目。アプリの受託開発から始め、いまはAIを使ったシステムソリューションを手がけています。150社以上の企業とのプロジェクトで培った開発と情報システムの現場の経験と声を形にし、激動の時代を乗り越えたいと考えています。