AirTagの音を消す器具「AirTag Silencer」、ストーカーへの悪用を批判され販売中止 米Elevation Labが謝罪
Apple製品の周辺機器を手がける米Elevation Labは、AirTagのスピーカーを壊して音が鳴らないようにする器具「AirTag Silencer」の販売をやめた。自転車などの盗難対策のためとしていたが、ストーカーに悪用されるとの批判を受け、「悪意のある人の追跡を助けてしまう面があった」と謝罪した。日本でも、紛失防止タグを使ったストーカー事案の相談は2025年に679件と、前の年からほぼ倍に増えている。
ガジェット- ●米Elevation Labが、AirTagのスピーカーを壊して音を消す器具「AirTag Silencer」の販売をやめ、「悪意のある人の追跡を助けてしまう面があった」と謝罪した
- ●AirTagは、持ち主から離れて動かされると音を鳴らし、知らないうちに付けられた人が気づけるようにしている。器具はこの仕組みを無効にするものだった
- ●日本では、紛失防止タグを使ったストーカー事案の相談が2025年に679件と前の年の370件からほぼ倍増。2025年12月から、法律で規制の対象になった
かばんや車に、身に覚えのない紛失防止タグが付いていないか気になる人は、スマホの通知を確かめたい。iPhoneは、知らないAirTagが一緒に動いていると知らせる。音が鳴らないように改造されたタグでも、スマホへの通知は届くことがある。つきまといの不安があるときは、警察に相談したい(TECHNOVAの見方)。
Elevation Labは、この器具の特許を使って、ほかの会社が同じような器具を作るのも防ぐとしている。ただ、スピーカーを外す方法はすでにネットで出回っており、音を消したタグがなくなるわけではない。
Apple製品の周辺機器を手がける米Elevation Labは、AirTagのスピーカーを壊して音が鳴らないようにする器具「AirTag Silencer」の販売をやめた。2026年10月13日に客へ送ったメールで、ストーカーなどに悪用されるおそれがあったと認めて謝罪した。
どんな器具だったのか
9to5Macによると、AirTag Silencerは9月30日に9.99ドルで発表された。AirTagの裏ぶたと電池を外して器具をはめ、ハンマーでたたくと、ピンがスピーカーを突き破る仕組みだ。
Elevation Labは、自転車など高価な持ち物に付けたAirTagで、盗んだ人に音で気づかれないようにするための製品だと説明していた。同社は、社員の中には車より高い自転車を持つ人もいると書いている。
なぜ批判されたのか
AirTagには、知らないうちに付けられた人を守るための仕組みがある。
- 音で知らせる: 持ち主から離れてしばらくたったあとに動かされると、AirTagが音を鳴らす
- スマホで知らせる: 知らないAirTagが一緒に動いていると、近くのスマートフォンに通知が届く
Apple製品に詳しい記者のグレン・フライシュマン氏は、Six Colorsで、音を鳴らなくすることは、相手に知られずに追跡したいストーカーや家庭内暴力の加害者を助けると強く批判し、販売の中止と回収を求めた。スマートフォンの通知を受け取れない人にとっては、AirTagの音が、付けられたことに気づく手がかりになるからだ。
Elevation Labの謝罪
9to5Macによると、Elevation Labは「おわび」と題したメールで、次のように伝えた。
- 自分たちが使いたい製品を作ってきた。今回も、自分たちの自転車のAirTagのために作った
- 振り返ると、スマートフォンの通知を受け取れない人を、悪意のある人が追跡するのを助けてしまう面もあった
- 製品の販売をやめ、この器具の特許を使って、今後ほかの会社が同じような器具を作るのを防ぐ
製品はAmazonでも買えなくなっている。
日本ではどうなるのか
日本でも、紛失防止タグを使ったつきまといが問題になっている。警察庁のまとめによると、紛失防止タグが使われたストーカー事案の相談などは2025年に679件で、2024年の370件からほぼ倍に増えた。GPS機器などを使った事案(511件)を初めて上回った。
これを受けて、ストーカー規制法が改正され、2025年12月30日から、紛失防止タグを使って相手の承諾なしに位置の情報を得ることなどが規制の対象に加わった。被害者からの申し出がなくても、警察が自ら警告を出せる仕組みもできた。警察庁は、元の交際相手の車などにタグをひそかに取り付けて居場所を探る事案がみられるとしている。
かんたんに言うと
AirTagは、なくし物を探すための小さな発信機だ。悪い使い方を防ぐため、知らない人のものがついてくると「ピピッ」と鳴る。今回の器具は、その鈴を外してしまう道具だった。泥棒よけのつもりでも、つきまといをする人にも都合のよい道具になってしまう、というのが批判の中身だ(TECHNOVAの見方)。
まとめ
米Elevation Labは、AirTagの音を消す器具「AirTag Silencer」を、ストーカーへの悪用を批判されて発表から約2週間で販売中止にした。日本でも紛失防止タグを使ったストーカー事案の相談は増えており、2025年12月から法律で規制されている。身に覚えのないタグの通知が届いたら、ためらわずに確かめ、必要なら警察に相談したい。
- 9to5Mac「ElevationLab pulls AirTag Silencer after backlash over stalking concerns」(2026年10月14日)
- Six Colors「Silencing AirTags enables stalkers and domestic violence」(2026年10月1日)
- すまほん!!「AirTagの音を消す器具、ストーカー悪用の批判で販売中止。」(2026年10月21日)
- 警察庁「令和7年におけるストーカー事案、配偶者からの暴力事案等、児童虐待事案等への対応状況について」(PDF・2026年3月19日)
- 警察庁「ストーカー規制法が改正されました!」(2026年10月21日に確認)
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チェック済み。この記事は監修者によってチェックされました。(2026年10月21日)
代表取締役。工学部出身で、21歳で起業してからシステム会社の経営一筋で8期目。アプリの受託開発から始め、いまはAIを使ったシステムソリューションを手がけています。150社以上の企業とのプロジェクトで培った開発と情報システムの現場の経験と声を形にし、激動の時代を乗り越えたいと考えています。