ローレンス・バークレー国立研究所、血液から放射線被ばくを探るツールを発表
ローレンス・バークレー国立研究所が、一般的な血液検査から放射線被ばくを推定する「Sparse CBC」を発表した。検証対象はマウスで、人への利用は今後の適用を目指す段階にあり、被ばくを確定する検査も別途必要だ。
サイエンス- ●血液検査から放射線被ばくを推定するツールを発表
- ●マウスで検証し、遺伝的な違いで精度に差が出た
- ●人への利用は研究段階で、被ばくの確定検査も必要
放射線被ばくの検査に関わる研究だが、今すぐ人の診療で使えると確認されたものではない。
人での有効性が確かめられれば、被ばくの疑いを初期に調べる手段になる可能性がある。
ローレンス・バークレー国立研究所は2026年10月19日(米国時間)、放射線被ばくを調べる「Sparse CBC」を発表した。一般的な血液検査のデータを使う手法だが、今回の検証対象はマウスで、人への利用は今後の適用を目指す段階だ。
血液検査のデータで何を調べるのか
Sparse CBCは、データから特徴や関係を学ぶ「機械学習」を使ったツールだ。同研究所によると、過去の被ばくの有無や、受けた放射線量を推定できるとしている。
使うのはCBC(全血球計算)という血液検査のデータだ。CBCは日常の診療で広く行われる検査の一つである。ツールはZenodoで、プログラムの中身を公開するオープンソースとして提供されている。
開発と検証には、一般的な実験用の2系統、雌雄計1,151匹のマウスの既存データを使った。血液は照射後1~150日に採取したものだ。
追加の評価には、同じ2系統の別の431匹を使った。同研究所は、この評価でマウスが受けた放射線量を高い精度で予測したとしている。研究成果は学術誌「Communications Medicine」に掲載された。
かんたんに言うと、体に残る手がかりを探す
この手法は、出来事そのものを見るのではなく、残った足跡から何があったかを探る考え方に近い。ここでの手がかりは、血液検査のデータに表れる体の変化だ。
体の変化から被ばくの有無や吸収した線量を調べることを、生物学的線量評価という。同研究所によると、既存の評価法は専門施設が必要で時間がかかる。低線量では判定が難しい場合もあるという。
ただし、血液の手がかりは一様ではない。人の遺伝的多様性を反映するよう作られたマウス集団でも検証したところ、予測力は保たれたものの精度は低下した。系統間でも差が出たという。同研究所は、遺伝的背景で血液に現れる反応が変わると説明している。
日本では
日本との関わりは発表には書かれていない。今回の発表はマウスでの検証結果であり、人での有効性が確認されたという発表ではない。
まとめ
研究チームは、この手法を被ばくの疑いを初期に調べる用途に活用できる可能性があるとしている。ただし、その後も被ばくを確定する検査は必要だ。
今後のモデルには、遺伝的多様性と被ばく後の幅広い時点のデータが必要だとしている。研究チームは人での有効性を調べる臨床研究への協力も希望している。身近な血液検査を生かす手法になるかは、今後の検証が焦点となりそうだ。
チェック済み。この記事は監修者によってチェックされました。(2026年10月20日)
代表取締役。工学部出身で、21歳で起業してからシステム会社の経営一筋で8期目。アプリの受託開発から始め、いまはAIを使ったシステムソリューションを手がけています。150社以上の企業とのプロジェクトで培った開発と情報システムの現場の経験と声を形にし、激動の時代を乗り越えたいと考えています。