NVIDIA、104量子ビットの誤り耐性量子計算を模擬、ノイズも再現
NVIDIAは、実機で生じるようなノイズを含め、104量子ビットの誤り耐性量子プロセッサーを模擬したと発表した。量子機器を製造する前に設計を評価する研究で、計算に必要な特殊な状態を作る手法も検証した。
サイエンス- ●NVIDIAが104量子ビットの量子計算を模擬したと発表
- ●実機で生じるようなノイズも含めて検証したとしている
- ●製造前の量子機器の設計を評価・改善できるとしている
創薬や材料科学に関心がある人には、将来の計算を支える機器の設計段階に関わる研究だ。
製造前に設計を検証する手段として、量子機器の改善に役立つ可能性がある。
NVIDIAは、誤りが生じる条件でも計算する「誤り耐性量子計算」の大規模な模擬実験を発表した。発表日は資料に記載されていない。
何を模擬したのか
実験に使ったのは、独ユーリッヒ・スーパーコンピューティング・センターのJUPITERだ。NVIDIAによると、104量子ビットの誤り耐性量子プロセッサーを模擬した。量子ビットは、量子計算で情報を扱う単位を指す。
今回の発表は、量子機器そのものを製造したという話ではない。その動きを別のコンピューター上で再現し、調べたものだ。同社は、実機で生じるようなノイズも含めたと説明する。誤り耐性量子プロセッサーの包括的な模擬として、過去最大規模だとしている。
模擬実験には、並列に計算を処理する半導体であるGPUを8,192基使った。同社によると、模擬に必要なメモリーは量子ビット数に対して指数関数的に増え得る。扱う単位が増すと、必要な記憶容量が急激に膨らむ場合があるということだ。
かんたんに言うと、雑音込みの設計試験
たとえるなら、機器の設計図を確かめる際に、理想どおりの動きだけでなく、作動中の乱れも再現する試験だ。
NVIDIAの説明では、量子ビットを制御する際の相互作用が、誤りを生むノイズを招く。そのノイズがある中でも計算する仕組みが、誤り耐性量子計算である。
同社によると、この計算には「マジック状態」という量子ビットの特定の配置が必要だ。計算中に消費されるため、繰り返し生成しなければならない。たとえるなら、作業を続けるために補充する材料に当たる。
実験では、その状態を生成する「cultivation」という手法を検証した。同社は、従来手法より必要な物理量子ビットを90%減らせるとしている。物理量子ビットとは、機器で実際に使う量子ビットのことだ。
日本では
日本との関わりは発表には書かれていない。今回は研究上の模擬実験の発表であり、日本向けの製品やサービスの提供を示す内容ではない。
まとめ
NVIDIAは、模擬実験によって製造前の量子機器の設計を評価・改善できるとしている。同社は、創薬、金融モデリング、材料科学で役立つ量子計算への進展につながるとする。
今回の成果は、そうした用途が実現したという発表ではない。ノイズを含めて設計を確かめる手段として、量子機器の改善に役立つ可能性がある。
チェック済み。この記事は監修者によってチェックされました。(2026年10月20日)
代表取締役。工学部出身で、21歳で起業してからシステム会社の経営一筋で8期目。アプリの受託開発から始め、いまはAIを使ったシステムソリューションを手がけています。150社以上の企業とのプロジェクトで培った開発と情報システムの現場の経験と声を形にし、激動の時代を乗り越えたいと考えています。