マスク氏「カードの写真を送ればGrokが買い物」と投稿 開発元のFAQは「個人情報を送らないで」
イーロン・マスク氏が、クレジットカードの写真をチャットに送ればAIの「Grok Bot」が買い物をしてくれるとXに投稿した。開発元が公開している買い物の手順は別の方法で、FAQでは個人情報を送らないよう求めている。投稿には利用者による注意書きが付いた。
AI- ●マスク氏が「カードの写真を送ればAIが注文する」と投稿
- ●公式の手順は、金額を見て許可し、決済サービスが支払う形
- ●開発元のFAQは、個人情報を送らないよう求めている
AIに買い物を任せたい人は、カードの写真を送るのではなく、金額を確かめて許可する公式の手順を使いたい。写真には番号や名義が写る。
カードの写真を送る方法について、開発元の手引きに説明はまだない。手引きや利用規約に書き足されるかが注目される。
米国の実業家イーロン・マスク氏は2026年10月10日(日本時間11日)、X(旧Twitter)への投稿で、クレジットカードの写真をチャットに送れば、AIの「Grok Bot」が買い物をしてくれると書いた。ところが、Grok Botの開発元が公開している買い物の手順は、これとは別の方法だ。FAQでも、個人情報を送らないよう求めている。投稿には、利用者による注意書き(コミュニティノート)が付いた。
マスク氏は何と書いたのか
マスク氏の投稿は1文だけだ。「物を買うには、クレジットカードの写真を撮ってチャットに入れればいい。Grok Botがネット中から一番お得な店を探して、注文してくれる」という内容だった。
日本時間の11日午後には、自分で使った例も投稿した。小さな子ども向けの楽しいレゴのスター・ウォーズのセットを調べて注文するよう、Grok Botに頼んだという。「これだけで済む」と書いている。
どちらの投稿にも、支払いの前に確認があるのか、送った写真がどう扱われるのかは書かれていない。
Grok Botは、AIが利用者の代わりにサイトを開き、操作までするサービス(AIエージェント)だ。開発元は、Grokを手がけるSpaceXSI(旧xAI)。Xの投稿を調べる機能は別の記事にまとめた。
公式の買い物の手順はどうなっているのか
Grok Botが買い物をできるようになったのは、2026年8月28日だ。公式Xアカウントは、決済サービスの「Link」をつなぐと、Grok Botが代わりに買い物を済ませられると発表した。Linkは、支払いに使うカードなどを登録しておくサービスだ。
Grok Botの更新履歴によると、手順は次のとおりだ。
- Grok Botが何かを買おうとすると、金額を示す表示が出る
- 利用者が「許可」か「拒否」を選ぶ
- 許可すると、Linkが支払いを行う
9月1日には、許可するときに、Linkに保存したカードを選べるようになった。10月7日の更新では、店のサイトでカードの欄に入力するとき、専用の安全なフォームが出るようになったとしている。
Linkの公式ページも、買い物のたびに利用者が金額を承認し、支払いごとに1回限りのカードを作ると説明している。
編集部が10月12日に更新履歴と手引きを確かめたところ、カードの写真を送る方法の説明は見当たらなかった。
開発元の文書には何と書いてあるのか
開発元のFAQには、「プライバシーを守るため、Grokへの質問に、個人情報や大事な情報を入れないでください」と書かれている。
Grok Botの手引きは、パスワードや1回限りの確認コードを、ふつうのチャットに送らないよう求めている。パスワードの入力や支払いの確認は、利用者が自分で操作するのが基本だ。
Grok Botの利用規約(9月3日更新)には、次のような内容がある。
- ファイルやログイン情報などを、クラウド上の環境に残すことがある
- 承認の仕組みは補助であり、意図しない操作をすべて防げるとは限らない。済んだ操作を取り消すものでもない
- AIの操作で生じた請求などの結果は、利用者の責任になる
マスク氏の投稿に付いたコミュニティノートは、開発元が入力に個人情報を入れないよう注意していることと、カードの写真にはそうした情報が含まれうることを指摘している。
プライバシーポリシーは投稿の翌日に更新された
開発元のプライバシーポリシーは、10月11日付で更新された。前の版(8月24日発効)と見比べると、「サービスへの入力に個人情報を入れないようお願いします」という一文がなくなっている。
代わりに、支払いの情報の項目に「利用者が何を提供するかを、当社は管理できません。支払いの情報の提供を含め、すべての行動は、利用者が自分で行ったものとして責任を負います」という内容が加わった。更新の理由は書かれていない。FAQの呼びかけは、10月12日の時点でも残っている。
海外ではどう報じられたのか
フランスのNumeramaは、見出しに「耳を貸さないで」と添えて、投稿は開発元のFAQと合わないと伝えた。TokenPostは、写真を送る方法が、公式の手順のような承認や安全の仕組みを通るのかは説明されておらず、一般の利用者が使えるのかも分からないとしている。
かんたんに言うと
カードの写真には、番号、有効期限、名義が写る。悪用されれば、勝手に買い物をされるおそれがある情報だ。公式の手順は、金額を見てから許可し、支払いは決済サービスが行う形になっている。写真をチャットに送ると、カードの情報そのものが、AIとのやり取りの中に入ることになる。
日本ではどうなるのか
日本向けの発表はない。Grok Botのアプリは日本のApp Storeでも配信されているが、買い物の機能が日本で使えるかについて、公式の説明は見当たらない。
まとめ
AIに買い物を任せる仕組みは、金額の確認と許可をはさむ形で用意されている。カードの写真をチャットに送る方法は、開発元の手引きに説明がなく、FAQの呼びかけとも合わない。試すなら公式の手順を使い、支払いの前に金額と店を確かめたい。
- イーロン・マスク氏のXへの投稿「To buy stuff, you can just take a picture of your credit card…」(2026年10月10日)
- イーロン・マスク氏のXへの投稿「I just asked Grok @Bot to research the most fun Lego Star Wars kits…」(2026年10月11日)
- Grok Bot 公式Xアカウント「Grok Bot can now buy things on the internet.」(2026年8月28日)
- SpaceXSI「Grok Bot Changelog」(2026年8月28日・9月1日・10月7日の項)
- SpaceXSI Grok Bot ドキュメント「Approvals, security, and privacy」
- SpaceXSI「Consumer FAQs」
- SpaceXSI「Grok Bot Terms」(2026年9月3日更新)
- SpaceXSI「Privacy Policy」(2026年10月11日更新)
- SpaceXSI「Privacy Policy」前の版(2026年8月24日発効)
- Link「Give your agent a wallet you control.」
- App Store(日本)「Grok Bot」
- Numerama「Elon Musk vous encourage à envoyer une photo de votre carte bancaire à Grok (ne l’écoutez pas)」(2026年10月12日)
- TokenPost「Musk Proposes Credit-Card Photos for Grok Bot Online Shopping」(2026年10月11日)
チェック済み。この記事は監修者によってチェックされました。(2026年10月12日)
代表取締役。工学部出身で、21歳で起業してからシステム会社の経営一筋で8期目。アプリの受託開発から始め、いまはAIを使ったシステムソリューションを手がけています。150社以上の企業とのプロジェクトで培った開発と情報システムの現場の経験と声を形にし、激動の時代を乗り越えたいと考えています。