川崎重工、水素100%で航空エンジンの運転試験に成功、安定した燃焼を確認
川崎重工は、水素100%を燃料とする小型航空エンジンの運転試験に成功したと発表した。始動から停止まで安定した燃焼と推力を確認したとしている。小さな炎に分けて燃やす技術で、排出物の低減も図る。
サイエンス- ●川崎重工、水素100%の航空エンジン運転試験に成功
- ●同社によると、始動から停止まで安定した燃焼を確認
- ●小さな炎に分けて燃やし、排出物を抑える方式を採用
飛行機を利用する人にとって、航空機の燃料と排出物をめぐる技術開発の動きだ。
今後は機体・エンジン・燃料タンクなどを統合した地上実証試験で、成立性と性能を検証する予定だ。
川崎重工は2026年10月08日、水素航空エンジンの運転試験に成功したと発表した。水素100%を燃料とする小型航空エンジンで、始動から停止までの動作を確かめた。
何が発表されたのか
試験に使ったのは、新開発の低NOx水素燃焼器を搭載したエンジンだ。NOxは窒素酸化物のことで、低NOxはその排出を抑えることを指す。燃焼器は、燃料を燃やす部分である。
試験場所は、宇宙航空研究開発機構(JAXA)の能代ロケット実験場だ。始動、回転上昇、巡航相当の定常運転、加減速、停止までを試験した。一定の状態を保つ運転だけでなく、回転を変える場面も対象にした。
川崎重工によると、一連の運転条件で安定した燃焼を確認した。エンジンが機体を押し進める力である、推力の発生も確認したとしている。
かんたんに言うと
今回の燃焼器の特徴は、水素を多数の小さな炎に分けて燃やす点にある。これは「マイクロミックス燃焼技術」と呼ばれる方式だ。発電用ガスタービン向けに製品化した技術を、航空エンジンに応用した。
たとえるなら、火を一か所に集中させるのではなく、小さな火に分けて配置する考え方だ。川崎重工によると、これにより局所的な高温を抑えられる。NOx排出量も大幅に減らせるとしている。
単に水素で動かすだけが試験の狙いではない。同社は、航空エンジンに必要な運転の安定性と、低NOx性能の両立を確認したとしている。
開発プロジェクトの中での位置づけ
この開発は、グリーンイノベーション基金事業「次世代航空機の開発プロジェクト」の一環だ。「水素航空機向けコア技術開発」の開発期間は2021年から2030年までである。
今回発表された成果は、その中で行われた小型航空エンジンの運転試験に当たる。確認の対象は、燃焼の安定性、推力の発生、低NOx性能だ。
まとめ
川崎重工は、水素100%による運転と、排出物を抑える燃焼方式を組み合わせて検証した。同社は、世界最高レベルの低NOx性能を実現できる見通しを得たとしている。
今後は、機体・エンジン・燃料タンクなどを統合した地上実証試験を計画している。エンジン単体の確認から、水素航空機全体として成立するか、どのような性能を発揮するかの検証へ進む予定だ。