深海の黄金色のサンゴ、既にあるどの「科」にも入らず新しい科に コスタリカ大など
コスタリカ大学などの研究チームは、コスタリカ沖の深さ360〜529mで見つかった黄色いサンゴを、新しい種・属・科として報告した。遺伝子1つずつでは仲間が決まらず、ゲノムの多くの領域を比べて独自の系統と分かった。
サイエンス- ●コスタリカ沖の深さ360〜529mで、黄色い木のようなサンゴを報告
- ●既にあるどの「科」にも入らず、新しい科を設けた
- ●遺伝子1つずつでは答えが割れ、多くの遺伝子をまとめて決めた
暮らしにすぐ関わる話ではない。ただ、地球の表面の約66%を占める深海に、名前も知られていなかった生き物の「庭」がまだあると教えてくれる。
筆頭著者はパナマやガラパゴス諸島でも見たというが、同じ種かは確かめが要るとしている。どこまで広がるかは今後の調査で分かりそうだ。
コスタリカ大学などの研究チームは、中米コスタリカ沖の深海で見つかった黄色いサンゴを、新しい「科」の生き物として記載した。記載とは、新しい生き物の名前と特徴を論文で発表することだ。論文は2026年6月30日に学術誌「ZooKeys」に載り、雑誌を出すペンソフト社が8月11日に紹介した。
どこで、どうやって見つかったのか
標本は、シュミット海洋研究所の調査船の2回の航海で、遠隔操作の無人探査機「SuBastian」を使って集めた。2019年にコスタリカの太平洋側の沖を、2023年にココ島国立公園の南西にある海山(海底からそびえる山)「ラス・ヘメラス」を調べた。集めた場所は4か所、深さは360〜529mだ。
ラス・ヘメラスIIでは、クモヒトデ(ヒトデに近い、細い腕を持つ生き物)の一種が岩場をすき間なく覆っていた。その上に、サンゴが林のように立ち並ぶ「サンゴの庭」が広がっていた。ここは酸素がきわめて少ない層で、水温は8.12〜10.8℃だ。この場所の標本からは卵も見つかった。
どんなサンゴなのか
木や扇のように枝を広げる八放サンゴ(触手が8本の小さな個体が集まって育つサンゴの仲間)だ。大きな群体は高さ1mを超え、幅は1.2mに達する。生きているときは鮮やかな黄色で、保存すると茶色っぽくなる。
学名は「Laurinque elenya」。属の名は、トールキンが『指輪物語』のために作ったエルフの言葉で「黄金の木」の意味だ。種の名は「星の」という意味で、星のようなクモヒトデの原にちなむ。
新しい「科」とは
生き物は、似たものどうしを種・属・科・目……と段階をつけてまとめる。たとえばイヌもオオカミもキツネも「イヌ科」に入る。新しい種を見つけたら、まず既にあるどの属・科に入るかを調べる。研究を率いたブリーディ氏も、初めは既知の科や属に入ると考えた。だが形を調べると、どれにも当てはまらなかったという。そこで種・属・科を同時に新しく設けた。
決め手は遺伝子だ。仲間分けによく使う3つの遺伝子を調べると、2つはそれぞれ別の科を強く指し、残る1つははっきりしなかった。そこでゲノムの多くの領域をまとめて比べた。すると、Eunicellidaeという科に最も近い、独自のグループだと強く支持された。ただ群体の形や、体の中の骨片(小さな骨のかけら)はこの科と大きく違うため、別の科とした。論文は、遺伝子1つだけで判断していたら、体の特徴がほとんど共通しない科に誤って入れていたと指摘する。
日本との関わり
著者の所属はコスタリカ・パナマ・米国・カナダの大学や研究機関で、日本の機関は入っていない。論文は誰でも無料で読めるが、英語だけだ。
まとめ
黄金色の「木」は、既にある家系のどこにも収まらない新しい枝だった。論文は、古くに枝分かれした八放サンゴの系統どうしの関係を解くには、数百の遺伝子にもとづく分析が要るとしている。
- Breedyほか「A coral among stars: A new octocoral family (Anthozoa, Octocorallia, Malacalcyonacea) from seamounts in the tropical eastern Pacific」(ZooKeys 1283巻253〜272ページ・2026年6月30日・DOI 10.3897/zookeys.1283.191899)
- Pensoft Publishers「A Coral Among the Stars: New Species Discovered on Costa Rica’s Deep-Sea Seamounts」(2026年8月11日)
チェック済み。この記事は監修者によってチェックされました。(2026年10月23日)
代表取締役。工学部出身で、21歳で起業してからシステム会社の経営一筋で8期目。アプリの受託開発から始め、いまはAIを使ったシステムソリューションを手がけています。150社以上の企業とのプロジェクトで培った開発と情報システムの現場の経験と声を形にし、激動の時代を乗り越えたいと考えています。