人型ロボットAtlasの新しい手は4本指、Boston Dynamicsが小指を省いた理由
米Boston Dynamicsは10月1日、人型ロボット「Atlas」の新しい手を公式ブログで紹介した。指は4本で、工具を握って引き金を引くような細かい作業をねらう。発売時期や価格、日本での提供は発表されていない。
ロボティクス- ●人型ロボットAtlasの新しい手は、親指を含む4本指
- ●関節を動かせる向きは7から13に増え、工具の引き金も引ける
- ●小指は費用や故障を増やすとして、あえて付けなかった
工場や倉庫の人手不足が気になる人に。人の道具をそのまま使えるロボットに近づけば、任せられる作業が広がる可能性がある。
同社は、手の動きをコンピューター上の練習で覚えさせる取り組みを大きく広げるとしている。発売時期や価格は示されていない。
米Boston Dynamics(ボストン・ダイナミクス)は2026年10月1日、新しいロボットの手を公式ブログで紹介した。人型ロボット「Atlas(アトラス)」に付ける新しい世代の手で、指は人より1本少ない4本だ。それでも工具を握り、引き金を引けるという。
何が発表されたのか
新しい手は、親指を含む4本指だ。自由度(関節を動かせる向きの数)は合計13で、これまでの手の7から増えた。内訳は親指が4、ほかの3本が3ずつである。
大きさは、大柄な人の手と同じくらい。指先と手のひらには、押される力を感じ取るセンサーが密に並ぶ。力はこれまでの手と同じ程度を保ち、中身の入った100ポンド(約45キログラム)以上の小型冷蔵庫を運べるとしている。
同社によると、新しい手では次のような動きができる。
- 親指とほかの指で、物を器用につまむ
- 3本の指で物を支えて持つ
- ドリルやくぎ打ち機、溶接トーチなど、引き金のある工具を握って使う
なぜ小指がないのか
人型ロボットには、人の手にそっくりな手を付けるのが業界でよくある選び方だ。同社でも設計の初めには、5本目の指を付けるかどうかで大きな議論になったという。
そこでCTO(最高技術責任者)のZack氏が、開発チームにある実験を頼んだ。自分の小指と薬指をテープでくっつけて1日過ごし、できなかったことを報告するというものだ。結果は「小指はいらない」で一致した。
指を1本足すと、アクチュエーター(関節を動かす部品)が3つ増える。その分だけ費用がかさみ、場所を取り、壊れる確率も上がる。同社は、信頼できる機械を大量に安く作ることを見すえた長い目での判断だと説明している。
かんたんに言うと
ねらいは「何でもできる手」ではなく「道具を使える手」だ。ブログは、人の手を「道具の中の道具」と呼んだアリストテレスの言葉を引いている。複雑すぎる手より、信頼できて道具を使いこなせる手を目指す、という考え方である。
もう1つの特徴は、コンピューターの中の仮想空間で練習させやすい作りにしたことだ。仮想空間で覚えた動きを実物の手に移す試みでは、有望な初期の結果が出ているという。ただし、これは同社自身の報告で、まだ「初期の結果」とされている。
日本ではどうなるのか
ブログには、新しい手の発売時期や価格、日本での提供についての記載はない。Atlasの製品ページには、顧客であるHyundai(ヒョンデ)の施設で実地の試験を始めていると書かれている。日本の企業での導入については、どちらのページにも記載がない。
まとめ
人に似せることより、働けることを選んだ手だ。4本の指で人の道具をどこまで使いこなせるのか、今後の発表に注目したい。