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海藻の食物繊維が腸内細菌を通じて腸の粘膜の修復を促す 鍵はタウリン、北里大・慶應大などがマウスで解明 患者の試験では主な指標に差なし

北里大学、慶應義塾大学、順天堂大学の研究グループは、海藻に含まれる食物繊維「アルギン酸」が腸内細菌を変え、腸の中の「タウリン」を増やして、傷ついた腸の粘膜の修復を促す仕組みをマウスで明らかにした。潰瘍性大腸炎の患者53人での試験では、症状などの主な指標に差は出なかったが、マウスと同じ方向の体の変化は見られた。

TECHNOVA編集部AIにより執筆チェック済み公開 2026年10月21日 15:38・ 読了 約4分
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サイエンス
画像: 画像生成AIで作成したイメージ(TECHNOVA編集部)
TECHNOVA まとめ
要するに
  • ●海藻の食物繊維アルギン酸が腸内細菌を変え、腸の中のタウリンを増やし、傷ついた腸の粘膜の修復を促す仕組みを、マウスで明らかにした
  • ●増えた細菌が胆汁酸からタウリンを切り離し、そのタウリンが腸の表面の細胞でCyp2c55という遺伝子を働かせて修復を進める
  • ●潰瘍性大腸炎の患者53人での試験では、主な評価の指標に有意な差は出なかった。ただ、便の中のタウリンが増えるなど、マウスと同じ方向の変化は見られた
じぶんごと

潰瘍性大腸炎などで治療を受けている人は、この結果を見て、自己判断で海藻の食物繊維やタウリンのサプリメントを取り入れるのは控えたい。患者での試験では、症状などの主な指標に効果がはっきり出ていない。食事を変えたいときは、主治医に相談するのが先だ。

この先どうなる

研究グループは、この仕組みが人の体でどんな条件のときに働くのかを調べ、腸内細菌やタウリンを目印に、効きやすい患者を見分けられるかも検討する。食事で腸内細菌の「働き」を変えて体の修復を助けるという考え方を、ほかの食べ物や病気にも広げたいとしている。

北里大学薬学部の金倫基教授、慶應義塾大学薬学部の関夏実助教、順天堂大学大学院医学研究科の石川大教授らの研究グループは2026年10月21日、海藻に含まれる食物繊維「アルギン酸」が、腸内細菌を通じて傷ついた腸の粘膜の修復を促す仕組みを明らかにしたと発表した。鍵を握るのは、腸内細菌が作り出す「タウリン」だ。成果は、消化器の国際的な学術誌「Gastroenterology」の電子版に載った。

何が分かったのか

潰瘍性大腸炎などの炎症性腸疾患では、長く続く炎症で腸の粘膜がくり返し傷つく。腸の粘膜は、腸の中の細菌やさまざまな物質と体の中を隔てる壁の役目を持つので、炎症を抑えるだけでなく、傷ついた粘膜を直すことも大切だ。

研究グループは、マウスの実験で、次のようなつながりを見つけた。

  1. 食物繊維: 海藻の食物繊維アルギン酸を食べると、腸内細菌の顔ぶれが変わり、Bacteroides acidifaciensやLigilactobacillus murinusといった細菌が増える
  2. 腸内細菌: 増えた細菌は、胆汁酸にくっついたタウリンを切り離す酵素(胆汁酸塩加水分解酵素、BSH)の遺伝子を持っていて、腸の中のタウリンを増やす
  3. タウリン: タウリンが腸の表面の細胞に取り込まれる
  4. 修復: タウリンがCyp2c55という遺伝子を働かせ、傷ついた粘膜の修復を進める

研究グループは、これを「食物繊維-腸内細菌-タウリン-腸上皮」の新しい修復の経路と呼んでいる。

どうやって確かめたのか

まず、腸に重い炎症を起こしたマウスに、アルギン酸、ラミナリン、アラビノガラクタン、プルランという4種類の食物繊維を与えて、生き残る割合を比べた。いくつかの食物繊維で生存率がよくなり、中でもアルギン酸が最も高かった。

アルギン酸を与えたマウスでは、炎症で減った体重の戻りが早く、腸の傷み具合の点数も下がった。腸の壁の守りがよくなり、表面の細胞も増えやすくなった。ところが、抗菌薬で腸内細菌を乱すと、この効果は消えた。腸内細菌が仲立ちしていることを示す結果だ。

続いて、タウリンや遺伝子の役割を、次のように一つずつ確かめた。

確かめたこと 結果
細菌のいないマウスに、増えた2種類の細菌をそれぞれすみつかせる どちらでも便の中のタウリンが増えた
2種類の細菌を、タウリンのくっついた胆汁酸と一緒に育てる 液の中に、切り離されたタウリンが増えた
タウリンを細胞に取り込む仕組み(Slc6a6)を持たないマウス アルギン酸を与えても、回復は早まらなかった
Cyp2c55を持たないマウス アルギン酸でもタウリンでも回復は早まらず、もともとの回復も遅れた
Cyp2c55を持たないマウスの腸から作った小さな組織(オルガノイド)を傷つける 生き残る割合が下がった

患者での試験では

研究グループは、人でも同じ仕組みが働くかを調べるため、症状が出ている潰瘍性大腸炎の患者53人で試験をした。患者は、抗菌薬を2週間飲んだあと、健康な人の便の中の細菌を腸に移す「腸内細菌叢移植療法」を受けた。そのあと、アルギン酸の入った飲み物か、見た目が同じでアルギン酸の入っていない飲み物(プラセボ)を8週間飲んだ。どちらを飲んだかは、患者にも医師にも分からないようにした。

結果は、症状がよくなったり落ち着いたりした人の割合が、どちらの組も60〜70%台だった。症状や内視鏡で見た腸の状態から病気の勢いを点数にした主な指標では、2つの組の間に意味のある差(有意差)は出なかった。

一方で、アルギン酸を飲んだ組では、便の中のタウリンが増え、マウスのCyp2c55にあたる人の遺伝子CYP2C18が、大腸の粘膜でよく働くようになっていた。マウスで見つけた経路と同じ方向の変化が、人でも見られたことになる。

かんたんに言うと

食物繊維は、人の胃や小腸ではほとんど消化されずに大腸まで届き、そこで腸内細菌のえさになる。今回の研究は、そのえさの違いで腸内細菌の「仕事」が変わり、細菌が作り出した物質が腸の傷の手当てを手伝う、という流れを示した。

たとえるなら、工事現場に届く資材(食物繊維)を変えると、現場の作業員(腸内細菌)の顔ぶれと仕事が変わり、補修に使う材料(タウリン)がたくさん運ばれてくるようになる、という話だ。

日本ではどうなるのか

今回の成果は、日本の大学の研究グループによる基礎研究と臨床試験だ。マウスでは効果がはっきり出たが、患者での試験では主な指標に差が出ておらず、アルギン酸が潰瘍性大腸炎の治療に使えると分かった段階ではない。

研究は、日本医療研究開発機構(AMED)や科学研究費などの支援を受けた。一部は、カイゲンファーマ、キリンホールディングス、メタジェンセラピューティクスとの共同研究の講座の支援も受けている。

まとめ

北里大学、慶應義塾大学、順天堂大学の研究グループは、海藻の食物繊維アルギン酸が腸内細菌を変え、細菌が作るタウリンを通じて腸の粘膜の修復を促す仕組みを、マウスで明らかにした。患者53人の試験では主な指標に差は出なかったが、マウスと同じ方向の体の変化は見られた。食事で腸内細菌の働きを変え、体の修復を助ける研究の手がかりになる。

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TECHNOVA編集部AIにより執筆
この記事は AI が執筆しました。

チェック済み。この記事は監修者によってチェックされました。(2026年10月21日)

監修
佐々木 航株式会社Game

代表取締役。工学部出身で、21歳で起業してからシステム会社の経営一筋で8期目。アプリの受託開発から始め、いまはAIを使ったシステムソリューションを手がけています。150社以上の企業とのプロジェクトで培った開発と情報システムの現場の経験と声を形にし、激動の時代を乗り越えたいと考えています。

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